お兄さんのお兄さん

「純歌ちゃ〜ん!」


コナン君と一緒にお家に帰って、玄関開けたら視界いっぱいに有希子さんが。


「ん〜!相変わらず可愛い!お姉さんのこと覚えてる?」

【ゆきこさん】

「せいかーい!」


ぎゅーってしてくれて、有希子さんの名前をノートに書いたらまたぎゅーってされて、沢山頭を撫でてくれた。


【おとうさんは?】

「秀君ならリビングで待ってるわ。手洗いうがいして行きましょうか」


うん、って頷こうとした時、景光さんもいるんじゃないかって思い出して、有希子さんの裾を掴んだ。コナン君に景光さんの事内緒だから。
「どうしたの?」って聞かれたけどすぐに察したのか、「景君なら今二階だから大丈夫よ」って、コナン君に聞こえないくらいの声で教えてくれた。

手洗いとうがいをしてリビングに行くと、お父さんと秀吉さんが座ってお話してた。


「太閤名人!?」

「やあ。兄さんにちょっと呼ばれてね。久しぶり、純歌ちゃん。元気にしてた?」


うん、って頷いたら秀吉さんは「そっか」って頭を撫でて、「これどうぞ」って小さなクマの人形をくれた。この前くれたお人形と色違いだからシリーズ物なんだろうな。この前のは黒で、今日のはクリーム色。
ありがとう、ってお辞儀をすると「欲しいものあったらなんでも言ってね」と優しく笑って言われる。それを見ていたお父さんが後ろでため息を吐く。


「娘に貢ぐ前に彼女に貢げ」

「由美たんにもちゃんとプレゼント贈ったりしてるよ!」


由美たんは確か秀吉さんの彼女さんで、警察の人だったかな。一回会ったことあるけど強い女の人っていう感じだった。

秀吉さんはお父さんとの話も終わって、私の顔を見るために待っていただけらしく、そのまますぐに帰ってしまった。


「それで、なんで僕呼ばれたの?」


秀吉さんがいなくなってすぐ、コナン君がそう聞いた。思い出したように、お父さんと有希子さんが「あぁ、」と呟いて、お父さんに二階に上がっているように言われる。言われた通りに二階に上がると、景光さんがお部屋から少しだけ顔を出して手招きされた。なんだろうと入れば、そこには沢山のモニターが。映っているのはリビングだ。

モニターの前の椅子に座ってる景光さんの膝の上に乗せられて、二人で一緒に映っているリビングを眺める。


「有希子さんと、お父さんが俺にコナン君がどういう子か知るためにこれを設置してくれたんだ」

【コナンくん?】

「そう。どういう子か知って、伝えていいかなって思ったら教えるんだって。さっきの太閤名人も同じようにしたんだよ」

【すばるおにいさんが、ひろみつさんってことを?】


モニターを見ると、お父さんが昴お兄さんを自分以外がするかもしれないと伝えている最中だった。この前は優作さんが代理で昴お兄さんをしてくれたけど、いつか出来なくなる日がくるからって。「まだ考え中だがボウヤはどう思う?」とお父さんが聞くと、コナン君はいいと思うって同意してた。

ふと、さっきの秀吉さんとお父さんを思い出して、景光さんの裾をちょいちょいって引っ張る。


【ひろみつさんって、お兄さんいるんだよね】

「ん?うん。高明って名前の兄さんがいるよ」

【もしも、すばるお兄さんのときに、お兄さんにあったら、どうする?】

「え?うーん、そうだなぁ…その時にならないと分からないけど、ちゃんと「沖矢昴」を頑張る、かなぁ…」


「でも兄さんにはすぐにバレそうだな」と少し自信なさそうに笑う景光さん。その高明お兄さんは、とても頭が良くて、カッコよくて、頼りになるって少し前に聞いた。

景光さんはお兄さんの話する時、いつも楽しそうに話す。安室さんのお話する時と同じくらい楽しそうで、この前の波土さんの時も安室さんとお父さん達が協力して事件解決したって教えたら、自分の事のように嬉しそうに喜んでた。

大好きなんだろうなぁ。


「いつか一緒に兄さんに会いに行こうね」

【いいの?】

「勿論!」


でも景光さんは死んだことになってるから、会えないんじゃないのかな。


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