お電話

今日はコナン君に連れられてお昼ご飯はポアロで済ませる事になった。有希子さんが久しぶりに来て景光さんに変装術を教えるとかで、お父さんもお手伝いするから私が暇で。有希子さんから連絡を貰ったらしいコナン君が迎えに来てくれた。


「あの二人今度は何すんだよ…純歌ちゃんは、何するか知ってる?」


お父さんが景光さんの事はコナン君に話してないから、教えていいのか分からなくて「わからない」って首を横に振った。


「お待たせしました」

『!!』


安室さんがパンケーキを乗せたお皿を目の前に置いてくれた。生クリームがいっぱい乗ってて、分厚いふわふわのパンケーキ。私が食べやすいように既に切られてる。
「はいどうぞ」ってフォークを渡されて、ありがとうってお辞儀したら「ゆっくり食べるんだよ」って言われて安室さんはカウンターの奥に戻って行った。

甘いものは大好きだけど、最近はお父さんに言われてあまり食べれてないから生クリームいっぱいで嬉しい。


「美味しい?」


コナン君に聞かれて、頷く。「生クリーム付いてるよ」って言われて、コナン君が紙ナフキンで口の周りを拭いてくれた。


「そういえば、この前ライブのリハーサルの時の事件。純歌ちゃんがコナン君に、マネージャーさんの背中に何かついてるって教えたんだってね」


安室さんがオレンジジュースを入れたコップを持って、机に置いてくれた。ご丁寧にストローも刺してくれてる。


【あずさお姉さんが、おしえてくれたの】

「梓さんが?」

【なにか光ったきがするって】

「へぇ」

【すばるお兄さんか、あむろさんに言おうとおもったんだけど、ふたりともこわかおしてたから】

「え、本当?」


キョトンとした顔の安室さん。自覚なかったのか。


「ごめんね。きっと推理に夢中になって、怖い顔になっちゃったんだね。怖い顔見せちゃってごめんね」

【たいちょうが、わるかったんでしょ?】

「え?」

【ずっとぼーっとしてたから】


違うの?って首を傾げたら、コナン君が「きっと考え事してたんだよ」って教えてくれた。何回か呼ばれて返事してたから、体調が悪いのかお父さん睨んでるのかのどっちかだと思ってたけど違ったらしい。


「じゃあ、あとで梓さんにもお礼を言わないとね」

「そういえば、今日珍しく梓姉ちゃんいないね?」

「梓さんは午前中は用事があるとかで今日は午後からなんだ」

【いないの?】

「うん。まだ来ないと思うけど…梓さんにお話したい事があった?」


うんって頷くと、安室さんは時計を見て「あと二時間くらいは来ないんじゃないかなぁ」って呟いた。二時間かぁ…二時間は長いなぁ。

お話がしたいというか、この前の梓お姉さんが本当に違う人だったのかの確認がしたかっただけなんたけど。

コナン君と安室さんの会話を聞きながらパンケーキを食べていると、この前哀ちゃんから貰った携帯が鳴った。お父さんからだった。


〈も、ひもし〉

《ん?何か食べてるのか?》


開口一番、食べてるのがバレた。パンケーキを食べてるって答えると、お父さんは「コナン君はいるか」と。


〈いるよ〉

《連れてきてくれるか?》

〈わかった〉

《ゆっくり食べて大丈夫だから、気をつけて帰ってくるんだぞ》

〈うん〉


簡潔にそれだけ伝えて電話が切れる。コナン君に「昴さん?」って聞かれて頷いて、家に来て欲しいと言っていた事を伝える。


「電話、出来るの?」


電話で会話している事に驚いている安室さんが、ポカーンって顔でこっちを見ていた。コナン君がアプリの事を説明すると、安室さんは「すごいね!」とキラキラした顔で笑った。


「じゃあ、僕とも連絡先交換したら、お電話出来るのかな?」


頷くと、安室さんは「交換してくれる?」と携帯を差し出してきた。チラってコナン君の方を見ると「いいと思うよ」って頭を撫でてくれた。違う、そういうことじゃない。


【やりかた わからない】

「連絡先の交換の仕方がって事?」


頷いて安室さんの方を見ると、少しぽかんって顔してすぐに笑顔になった。


「携帯貸してくれる?僕がしておくから」


差し出された手に携帯を乗せると、安室さんはすぐに私の携帯に安室さんの連絡先を登録してくれた。はい、って渡されて確認すると、安室透って名前がちゃんとあった。


「何かあった時コナン君や沖矢さんに連絡するだろうけど、もし二人に連絡がつかなかったら僕に連絡してね。それから、沖矢さんには言えない悩み事とかも僕に相談していいからね」

【ありがとう】


お父さんへの悩みは景光さんに言うから間に合ってるんだけどね。


「いつかこのノートが無くても会話できるようになるといいね」


景光さんと全く同じことを、笑顔で言う安室さんにびっくりする。この人も本当は悪い人じゃなくて、景光さんみたいに警察官とかで、怖い組織を捜査してるんじゃないのかなって思ったり。

景光さんと同じこと言ったのは幼馴染で、思考が同じなだけかもしれないけど。


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