お姉ちゃん

その後、小五郎さんによって事件は解決した。

同じホテルの火災で助け出された、ということで気になった加門さんはDNAの鑑定を依頼していた。2人は誕生日血液型共に同じで、お互いの考えていることが分かる事があったようで。そこまでなら「運命だ」となって終わりになるが、幼い頃に同じホテルの火災で助け出された事まで同じとなると流石に疑ったんだろう。
彼女はネイルサロンからお店に戻り、車から降りた時に鑑定結果を電話で知り、愕然とし泣きじゃくり、ネイルサロンで付けてもらったばかりの付け爪が外れる程顔を掻きむしった。だから落ちていた付け爪に血痕と皮膚が付着していた。

ただ、男女の兄妹でDNAが同じになる事はほぼないが、稀に双子の男女でDNAが一致する異性一卵性双生児が誕生する。その場合、女性側がターナー症候群で低身長になりやすい。伴場さん曰く加門さんの身長は140後半らしいから、おそらく2人はそれなんだろう。

つまり2人は結婚する事が許されない双子で、それに絶望し加門さんは自殺した。

そしてその事件から数日後。兄は何を思ったのか、小五郎さんに探偵として弟子入りする事にしたという。その為に小五郎さんの探偵事務所の下にあるカフェでバイトも始めた。


『ということで、来ちゃった』

「来ちゃった、じゃないわよ!!ビックリしたじゃない!」


現在私は、昴さんの住んでいる家の隣。発明家の阿笠博士という人物の家に来ていた。
そこには灰原哀という女の子も一緒に住んでおり、顔を出したら彼女は慌てて私を中に入れてくれた。


「昴って人の名前使って取り入れようったってそうは行かないのよ!!」

『違うよ、昴さんの用事は本当。お姉ちゃんに会いに来たのはついで』

「……本当に?」

『本当に』


阿笠博士の家に来た理由は、昴さんからのお使い。
また昴さんの家に本を借りに来たのだけど、彼は今少し手が離せないとかで書斎に篭っていた。でも、阿笠博士の所に私用で頼んでいた物があって、それを取りに行きたいが手が離せない。だから私が代わりに取りに来た。


「なんじゃ、哀くん。知り合いか?」

「組織にいた時に、ちょっとね。安心して、彼女は信用しても大丈夫だから」


奥から昴さんの頼まれ物を取ってきた阿笠博士は、私にその小さな箱を渡して、カウンターの席に座った。


『そういえばコナン君に会ったよ』

「あら、本当?」

『新一くんって呼んだらビックリした顔で見られちゃった』

「当たり前でしょ」

「な、なんで新一の事知ってるんじゃ」

「この子、ベルモットに気に入られてるのよ。それでずっと彼女の変装を見てるからか、人の変装とかそういうのすぐに気付くの」

『だからお姉ちゃんもすぐに分かったんだよ』

「なるほど…でも、どうしてベルモットに気に入られてるんじゃ?組織の人間じゃないんじゃろ?」

「ジンに銃口を向けられて、それを口に咥えるとかいう奇行をしたのと、変装したベルモットを一発で見抜いたからよ」

「な、なるほど…」

「とにかく彼女は組織とは関係ないわ。たまにジンやベルモットに連れてこられて組織内にいたってだけの一般人よ」

『一般人、ではないかな』

「?」


そう言うと、お姉ちゃんは首を傾げた。

お姉ちゃんが組織にいた頃、よく話し相手になってもらっていた。だから、お姉ちゃんって呼んでるだけで、姉ではない。なんなら私の方が年上だし。

昴さんの頼まれ物も貰ったから、ここに長居する必要も無いと私はすぐに阿笠博士の家から出て、隣の昴さんの家に向かった。


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