はじめまして

転校して数日、学校のある生活にも慣れ始めてきた。

今日は兄がウェイトレスのバイトで家にいないのだけど、雨が降り始めて傘を持って行っていなかったので、義足を付けて届けている最中。

なんだけど、店の近くに着いた時、そのお店には警察が沢山いた。


『あの…』

「はい?」


ちょうど入口近くにいた刑事さんらしき人に声をかけた。この前の高木刑事だった。


『事件かなにか…?』

「ああ、はい。ちょっと…」

『あの、兄がここでバイトしてて』

「お兄さんが?…少々お待ちください」


高木刑事はそう言って、すぐにお店の中に入り、数分で兄を連れて戻ってきた。


「珠雨!こんな寒い中歩いて体調が悪化したらどうするんだ!」

『お兄ちゃん傘持って行ってなかったし…』

「はぁ……すみません、刑事さん。妹は身体が弱くて、おそらく長時間歩いてここに来たんだと思うんです。中に入れて座らせても大丈夫ですか?」

「ああ、はい。店内でしたら大丈夫ですよ」


あっさり許可が出て、兄は私の手を引いて店内に入った。高木刑事が一緒に来ていた目暮警部に今のことを伝え、再度許可が出たところで、近くのソファの席に座らせられた。


「あれ?安室さん?」

『?』


座って、ボーッと刑事さん達が捜査してる駐車場を窓から眺めていたら、声をかけられた。
声の主は、毛利さんだった。


「どうしてここに?最初からいたっけ?」

『あのウェイトレスが兄で…傘持って行ってなかったから届けに来たの』

「へぇ、かっこいいお兄さんだね!ねぇ、事件解決するまで私も暇だし、ここに座ってお話してもいいかな?」

『うん』

「ありがとう!」

『ところで、何があったの?』

「んー、それがね…」


毛利さんは一連の事を話してくれた。

どうやらここで小五郎さんの高校時代の友人である伴場頼太さんと、その婚約者である加門初音さんの結婚祝い兼高校の同窓会をしていたらしい。途中で加門さんが結婚式用にネイルをする為に予約したネイルサロンに行き、2時間程たった頃に酔いの回った伴場さんが少し怒り気味に加門さんに連絡を入れた時に自殺をほのめかすような発言をされ「何言ってんだ?」と聞き返した時、駐車場にある車が爆発し、それが加門さんの車だったらしい。

中にあった遺体は黒焦げだったものの、歯の治療痕で加門さん本人だと判明。車の外に加門さんがネイルサロンで付けてもらったばかりのつけ爪が落ちてあったらしく、殺人の可能性が出てきた。そして、そのつけ爪に付いていた皮膚と、車のトランクにあった伴場さんの旅行用カバンに入れてあったヘアブラシから採取した髪のDNAがほぼ一致したとの事で、伴場さんに疑いがかかっているらしい。


『車は何で爆発したの?』

「スプレー缶だって。パーティーが終わったあとに伴場さんと初音さんの2人で壁紙あててスプレーで車をデコる予定だったって言ってたよ」

『だからあんなに黒焦げに…』


普通、車の座席部分は燃えにくいようになっているのに遺体が黒焦げだったのが少し不思議だったけど、理解した。車の中にガスがあれば確かに燃える。


『でも伴場さんが加門さんを殺害したなら、伴場さん外に出ると思うんだけど』

「んー、私はずっと伴場さんを見ていたわけじゃないんだけど、外には行ってなかったと思うよ。ね、コナンくん」

「え?あ、うん」


近くにいたコナン君に毛利さんは同意を求めると、彼は少しぎこちなく頷いた。


「変装とかして出ていってたら分かんないけど、ずっとお店の中にいたと思うよ」

『…ふーん……』

「…えっと、なぁに…?」

『……んーん、なんでも』


君は本当に賢い子だね。


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