密室

ある程度の事情を聞いた警部さんがコナン君と一緒に部屋から出てきた。石栗さんの遺体も担架で運ばれて行った。


「何ィ!?密室殺人だと!?」

「は、はい」

「遺体が扉をふさぐように倒れてたのに、何で殺人なんだよ!?」

「あ、で、でもコナン君が…大きな音がしたすぐ後に、遺体や花瓶に触ったけど、どちらの血も乾いていたと…」


警部さんが言うには、大きな物音がして目が覚めたコナン君は、花瓶に付いた血と床に流れている血に触れたが乾ききっており、遺体の近くに落ちていたラケットや花瓶の位置も事故死にしては不自然な位置にあったという。それに、寝る前には付いていたクーラーが目覚めた時は切れていて汗をかいていたというから、随分前に消されたんだ、と。部屋にあったお昼代わりに食べると言っていたアイスケーキも完全に溶けていたようだ。


「その大きな音、花瓶が落ちた音かどうか分かりゃしねぇし…だいたい、密室を作るような知能犯がそんなすぐバレる犯行をするわけが…」

「それは犯人にとって、2つの大きな計算違いが生じたからではないでしょうか」


兄は「コナン君が部屋で寝ていたこと」と、「鍵を開けたこと」が原因で計算が狂ったのではないかと発言した。
確かに、鍵が掛かった部屋は鍵がない限り普通は開けられない。最初に言っていたベランダを伝って窓越しに石栗さんの遺体を発見した場合、警察が来る頃には部屋の暑さで血が乾ききっていても不自然では無い。それに発見してすぐに窓を破って入っても注目されるのは遺体で、血が乾いてるなんて普通は確認されない。
警察には「血を流して倒れていた」と言えばいいだけ。


「お手柄だね、コナン君!」

「う、うん…」

「とにかく、元々この別荘に来ていた3人に話を聞かれてはどうですか?殺人の動機がありそうなのは、この方達だけでしょうから」


兄の提案で、順番に事情聴取をする事になった。場所はキッチンで、待っている間は自分の部屋に居てもらうようにして。

最初は別荘の持ち主である桃園さんから。
石栗さんの部屋に行ったかを聞かれると、彼女は「行った」と答えた。本当に冷やし中華食べないのかを聞きに行ったらしい。


「しかし、急に人数が増えたのによく昼食の材料が足りましたね」

「石栗君は大食漢なので、元々多めに買ってあったんです」

「で、その後は?」

「キッチンで昼食を作って食べた後、シャワーを浴びて…」


その後は蘭ちゃんと園子ちゃんの2人と一緒にいて、再度梅島さんと石栗さんの部屋へ様子を見に行ったらしい。

その桃園さんと一緒に石栗さんの部屋に行った梅島さんと事情聴取を交代。シャワーを浴びる前にも一度部屋に行ったそうで、その時も返事はなかったらしい。シャワーの前に行ったのは以前覗かれた事があったから、事前に「私が使う」と伝えるためで、シャワーは桃園さんの後に浴びたと言う。


「その時、石栗さんは部屋にいたか分かります?」

「さぁ?返事がなかったけど、いたんじゃない?クーラー効いてたみたいだし…」

「では、シャワーの前後は何を?」

「昼食の仕度したり、片付けしたり、女の子達のラケットの手入れしたり…とにかく、ずっと誰かと一緒にいたわよ!!」

『キッチンかリビングとかから梅島さんの声はずっとしてたし、いたのは本当じゃない?』

「ほら!この子だってこう言ってるでしょ!!」

「ふーむ…」


現時点で何も言えることがない為、最後の高梨さんと交代した。
高梨さんは、昼食の片付けをしてゴミを出す前に石栗さんの部屋に謝りに向かったらしいが、他のふたり同様に返事はなかったと言う。


「そういえば、その喧嘩…亡くなったサークル仲間が原因でしたよね?」

「ああ…今年の冬、瓜生って奴が死んだんだ。サークル仲間でスキーに行ったロッジの裏で雪に埋もれてな…」


その時は2m程新雪が積もっていたらしく、それを見た石栗さんが「ロッジの二階から飛び込んでも死なない」という冗談を真に受けたのか、その瓜生さんは雪の中で冷たくなって発見されたそうだ。
それで、昨日瓜生さんの誕生日で、去年の誕生日を酷い物にしたお詫びに「来年はちゃんと祝う」という約束をした為にまた集まったらしい。


『酷い誕生日?』

「去年の今頃もこの別荘に集まっててよ。丁度、瓜生の誕生日だから驚かせようって石栗が言い出して…瓜生の部屋にベランダ伝いで窓から忍び込んで、0時になった瞬間に寝てる瓜生の耳元でクラッカーを…」

『うわ…』

「あいつ、ビビり過ぎて泣きじゃくって…それを録画した石栗にネットに流されて落ち込んでたから…」


三人の話を聞く限り、高梨さんと梅島さんは殺すまでは行かないが、言い合いになって殺害したという状況になりそうな動機はありそう。ただ、瓜生さんの事を入れれば三人全員に動機はあるかもしれない。

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