仕事

ベルモットお姉さんが部屋を出て、遅れて兄も部屋を出た。完全に居なくなったことを確認して、すぐに昴さんに連絡を入れた。
万が一盗聴されている可能性を考えてメールを送ると、すぐに「了解」の2文字が返ってきた。

ハッキングされてる可能性もあったけど、昴さんに連絡した方の携帯はベルモットお姉さんやジンお兄さんも知らない、もう1つの携帯。だからハッキングされる心配もない。
そもそもこの携帯、家族と秀一さんと連絡する時しか使わないし。秀一さんは基本「沖矢昴」だからいつもの携帯で出来るし。

やる事もないしどうしようかなって窓の外ぼーっと眺めてたら、扉がノックされた。


『どうぞ』

「珠雨ちゃん、哀ちゃん知らない?」


入ってきたのは蘭ちゃんだった。
どうやらトイレに行ったっきり戻ってこないらしい。


『ううん、見てないよ』

「どこに行っちゃったんだろう…5号車と7号車のトイレも探したんだけど居なくて…」


それはまずいな。動き回られると捕まる可能性が高い。でもお姉ちゃんは周りを巻き込みたくない性格だから、子供達が巻き込まれないようにって一人になるはず。

先に有希子さん達が保護してればいいけど。


『哀ちゃんマスクしてたけど体調悪いとか言ってた?』

「風邪引いてるってコナン君が言ってたよ。咳だけだから大したことないって、哀ちゃんは言ってたけど…」

『もしかしたら、薬飲む為に食堂車でお水貰いに行ったんじゃない?』

「あ、そうかも…もし見つけたら連絡してくれる?」

『うん、分かった』

「…そういえば、安室さんは?」

『結局小五郎さんの方が気になるって言ってそっちに。お兄ちゃんにも哀ちゃん見つけたら教えてって連絡しておくね』

「あ、うん。ありがとう」


そう言うと蘭ちゃんは部屋を出て廊下を掛けて言った。

すぐに昴さんに連絡を入れると、既に有希子さんが保護しているらしい。安心して大きな溜息が出た。

また暫くすると廊下が騒がしくなった。どうせベルモットお姉さん達が何か仕掛けて、それで騒がしくなってるんだろう。

やる事ないと本当に暇だ。


「ただいま」

『あれ、早かったね?』


声がしたから扉の方を見ると、変装を解いたベルモットお姉さんが。


「そう?だいぶ時間かかったわよ。それより、薬飲んだ?」

『あ、』

「…ったく……時間を見なさい、時間を」


腕時計を確認すると、既にお昼を回っていた。ぼーっとしてる時間が長かったんだろうか。いやでも時間が過ぎるの早過ぎないか。

カバンから薬と水を取り出して、薬を飲む。その間にベルモットお姉さんは変装服から私服に着替えていた。


『……もうお仕事終わったの?』

「え?えぇ。バーボンが貨物車に連れて行って爆破したわ。爆破音、聞こえなかった?」

『ぼーっとしてたから…』

「珠雨はやること無くて暇だったものね。後でお買い物でも行きましょう」

『ん、』


頭を撫でたお姉さんは、トイレに行くと言って部屋を出ていった。それとほぼ同時に秀一さんからメールが届いた。コナン君も有希子さんも、お姉ちゃんも全員無事らしい。

じゃあ、貨物車で兄が見たっていう「お姉ちゃん」は誰?

|

[ 戻る ]






×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -