ベルモット

高木刑事が拉致されたその日の夜。コナン君に送った動画を、お姉ちゃんに解析してもらい、それを元に高木刑事は無事発見されたらしい。ただ、北海道の寒空の下、スーツだけで放置されていた高木刑事は体温の低下による凍傷で暫く刑事の仕事を休むことになったらしいと、あの後お姉ちゃんから連絡が来た。
今は無事に仕事にも復帰し、色んな事件現場を走り回っているらしい。航さんに似て正義感が強い人だよ、あの人は。

その数日後、珍しくベルモットお姉さんから連絡が来た。


『ミステリートレイン?なにそれ?』

《オリエント急行を模した列車。行先は不明で、乗客の中から探偵役、被害者役、犯人役がランダムで選ばれて事件を推理するっていうイベントを行う豪華列車ですって》

『へー……それに乗ろうって?』

《そうよ。一緒にどう?勿論バーボンも一緒よ》

『…お仕事じゃん…』


お姉さんが、組織の誰かと一緒に行動する時は「仕事」を兼ねている。私を連れていくって言うことはそんなに難しくない仕事なんだろうか。


《うふふ。でも、こういう機会がないと珠雨とデート出来ないんだもの》

『いいけど……お仕事内容は何?』

《知ってどうするのよ》

『だって、知らないと邪魔しちゃうかもじゃん』

《………フゥー…あなたと仲が良かったシェリーの捕獲。確実にこの列車に乗る事が分かったから…》

『ふーん……わかった』

《あら、随分素直ね?反対すると思ったのに》

『お姉さん達のお仕事に口出ししないって私の中で決めてるから』

《そう、お利口さんね。だから好きよ、珠雨》

『ありがとう』

《じゃあ、そういう事だから。詳細な日時はバーボンから聞いてね》

『うん』


それでお姉さんとの通話は切れた。
「捕獲」と言っていたけど、きっと「始末」だろう。

どうしようか。口出しはしないが、流石にこれは止めないとお姉ちゃんが消される。
お姉ちゃんに連絡……は、多分パニックになって焦って自暴自棄になりかねないな。自分が助かる道考えない子だもんな。とりあえず、昴さんに連絡を入れようか。

|

[ 戻る ]






×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -