カラス

高木刑事を拉致した犯人は、ナタリーの遺体を引き取ったおじいさんだと分かり、佐藤刑事はその人の元へ急行した。しかし、佐藤刑事が部屋に乗り込んだ時に飲んでいたというワインに毒が入れられていたらしく、高木刑事の居場所を聞き出す前に息を引き取った。
一応、佐藤刑事が事実を話したらしく、居場所を言おうとしたらしいけど、毒の回りが早く間に合わなかったと帰ってきた佐藤刑事から教えてもらった。


「でも、肝心の高木君の居場所が分からないと…!」

『ねぇ、映像録画してるんだよね』

「えぇ。見る?」

「ボクも見たいな」


コナン君達も見たいと言うと、佐藤刑事は一度部屋を出て録画してるビデオカメラを持ってきてくれた。ちょうど録画を止めて居たところだったらしい。
カメラをモニターに繋げて、みんなで見れるようにしてもらって映像を眺める。途中、大きくカメラが揺れて地震かと思ったけど、どうやらカメラを固定している棒か何かにカラスが乗って、それでカメラが揺れていた。


「なんだカラスかよ…」

『……このカラス…ニシコクマルガラスじゃない?』

「え?」

「ホントだ…じゃあ、北海道の可能性があるね」

「何で北海道だって分かるんですか?」

『このニシコクマルガラスはヨーロッパのカラスなんだけど、二回ほど日本にも飛んできてて…』

「その二回ともが、北海道に来てるんだ」

「へぇー…」

『でも、カラスだけじゃ北海道と言いきれないし…』

「……あの光、なにかしら…」


佐藤刑事が、ふと映像を止めた。どれのことを言っているのか聞いたら、画面の端の空に細い光の柱のようなものがあった。


『これ、サンピラー現象…?』

「サン…なに?」

「サンピラー現象。日の出や日没後に太陽の光が空気中のダイヤモンドダストに反射して、柱状に輝いて見える現象だよ」

『日本じゃ、北海道くらいでしか見れないのよ。ダイヤモンドダストが発生するのは氷点下20度以下…』

「マイナス20度……!」

「そんなに寒いところにいるのかよ!?」

「高木刑事、凍え死んじゃう…!」

「かなり遠くに見えたから、高木刑事がいるところもそうだとは限らないけど…それくらい寒い場所なのは間違いないよ!佐藤刑事!捜索箇所を北海道に絞るようにお願いして!」

「わかった!!」


佐藤刑事はすぐにまた部屋を飛び出して行った。その間も、私達は映像を確認する。


『……コナン君、ちょっと映像戻してくれる?』

「え?うん…」

『そこで止めて再生して』

「?」

「どうしたの、お姉さん?なにか見つけた?」

『……なにかあるんだけど、早すぎて分からない…コマ送り出来る?』

「うーん……出来なさそうだよ…」

『そっか…もう一回戻してくれる?』


気になったのはカラスがカメラに止まって大きく画面が揺れたところ。何かが映ってる気がするんだけど揺れが大きいのと、本当に一瞬だけしか見えないから分からない。スマホで画面を録画して見返すけど、画質が悪くて分からない。


『うーん…君たち、灰原哀ちゃんって子、知ってる?』

「!?」

「知ってるよ!本当は今日来る予定だったんだけど、博士が風邪引いたって言って哀ちゃんも来れなくなっちゃったの…」

『そう…コナン君も知ってる?』

「し、知ってるよ?どうして?」

『じゃあ、今から送る映像、その子に解析してもらってくれない?それで多分高木刑事の大まかな場所が分かるから』

「わかった…」


引きつった笑顔で頷くコナン君。
この子揶揄うの楽しい。絶対私の事組織のメンバーだと思ってる。

私は君が聞けば組織のこと全部話せる味方だけど、もう少しからかってみたいから黙っておこう。

その後、佐藤刑事が戻ってきてもう遅いからと家に帰ることになった。時間が時間だから佐藤刑事が子供達を送り届けて、私は別の刑事さんに送り届けてもらう事になった。高木刑事の後輩の千葉さんというらしい。


「ごめんね、こんな遅くまで付き合ってもらって…」

『大丈夫。ちょっと不謹慎だけど、警視庁なんて入る機会無いから…』

「そういえば君、大岡さんの時にいた子だよね?」

『うん』

「あの時は本当にスッキリしたよ、ありがとう」

『あれは、私が腹立ったからで…』

「あの後、佐藤さんから聞いたけど知り合いが警察関係者なんだってね」

『うん』

「だからムカついた?」

『うん』

「アハハ、よっぽと好きなんだねその人の事」

『…うん…』


小さく頷くと、千葉さんは更に笑った。
そんな話をしているとすぐに家に着いた。気付いたことがあればすぐに連絡して欲しいと言われ、連絡先を交換して千葉さんが帰るのを見送った。

まあ、私が何も言わなくてもお姉ちゃんとコナン君がいればなんとかなるでしょう。

家に帰ると、最近飼い始めた可愛い犬が出迎えてくれた。

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