お昼

鬼塚さんによる授業が一旦終わって、お昼ご飯の時間になった。鬼塚さんも別室でお昼を食べる為に部屋を出ていったのだけど、その時にさっきのお兄さんに私の分のお昼ご飯を持ってくるように頼むから待っていてと言われて、素直に待ってる。その間に高明さんにメールを打って、返信を待っている間にさっきのお兄さんが自分の分と、私の分のお昼ご飯を持って来た。


「お待たせ澪ちゃん。はい、お昼ご飯」

『ありがとう。その人はお兄さんと仲良い人?』

「まぁね。同じ班の奴だよ」


連れてきたのは、お兄さんと正反対の、爽やかそうな人。昨日、つっかえ棒の役割で作業員の人を支えてた人だった。


「初めまして、諸伏景光だよ」

『諸伏…ねぇ、お兄さんは兄弟いる?』

「え?う、うん、兄がいるけど…?」

『お名前は?』

「諸伏高明…」

『高明さんの弟さん…!じゃあ、高明さんがよく話してる「景光」がお兄さんなんだね』

「兄さんの知り合い?」

『うん』


同じ苗字で聞いたことある名前だから、もしかしてと思ったけど、本当に高明さんの弟さんだった。
よく話に聞いてる「景光」君が目の前にいるのなんかソワソワする。というかよく見たら顔そっくりだなぁ…


「ね〜、なんで諸伏ちゃんの方が打ち解けるのが早いの〜?」


私達の話を聞いてたお兄さんが、不貞腐れた顔で膨らんでいた。


『だって高明さんの弟さんだから。景光さんはいい人に決まってるもん』

「え、俺は?」

『軽そう』

「ふはっ」

「え、ちょっと地味に傷付くんだけど?というか諸伏ちゃんは普通に名前で呼んでるし…」

『ごめんね、お兄さんの名前まだ覚えらんない。榊原さんだっけ?』

「萩原!!」


「もー…」と言いながらご飯を口に運ぶお兄さんと、笑いをこらえて震えてる景光さん。


「人の名前覚えるの苦手?」

『うん。高明さんの名前覚えるのも遅かった』

「そっか。じゃあ、俺は?」

『高明さんからよく聞いてるから』

「そっか」

「ん〜…?澪ちゃん、もしかして諸伏ちゃんのお兄さん、好き?」

『…うん、』

「あら〜〜〜」


頷くと、景光さんとお兄さんは嬉しそうにニコニコしてた。恥ずかしくて顔を逸らすと、お兄さんが「拗ねないで」ってわざわざ立ち上がって私の横に来てまで頭を撫でてきた。


「…ん?諸伏ちゃんのお兄さんって何歳だっけ?」

「27とかそこら辺じゃなかったかな」

「…えっと…澪ちゃんおいくつ?」

『高明さんは28、私は16』

「……わ、わぁ…」


年齢差に驚いてポカーンとした顔で口が開きっぱなしのお兄さん。いいじゃん別に、好きなんだから。


「ま、まぁ…年齢差にはビックリしたけど、何かあったら相談乗るからね!」

「俺も乗るよ」

『…ほんと?』

「本当だよ!恋愛相談なら任せて!」

「兄さんのことなら任せて」

『う、うん、ありがと』

「照れてる?」

『照れてない。研二さんはいい加減あっちいって』


顔を思いっきりぎゅーって押したら、研二さんはぶっさいくな顔になって、痛いって頬を擦って元いた場所に座った。

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