首と縄と銃

『どうしたの?』

「あっ!澪さん…!じ、実は…」


長い事病院生活を送ってきたせいで、勉学が普通よりも遅れており、且つ学校にさえ行けない私は、父の後輩の方達の厚意によって、警察学校の教官達に勉学を教わっていた。
今日も教わる為に来たら、何やら騒がしく、どうしたのかと覗いたら天井から人が二人ぶら下がっていて、しかも1人は首が縄に引っかかってしまってすぐにでも死んでしまいそうな場面だった。

どうやら天井の補修工事をしていた人が落ちてきて、それを教官が助けに行ったら更なる事故で、命綱が首に絡まったらしい。工事していた人は気絶しているようだ。


『あの二人は?』

「おそらくつっかえ棒の役割かと…」

『それ、射撃練習用の?』

「あ、はい」

『借りるね』

「ちょ、ちょっと…!」


近くに座り込んで何やらカチャカチャいじっている人がいたけど、こっちの方が早い。

射撃練習に使った銃と弾を借り、弾を装填して縄目掛けて撃った。縄は切れて、そのまま教官と作業員の人は地面に落ちてきたのを、つっかえ棒の役割をしていた人と、その土台の役割をしていた二人が受け止める。


『教官息ある?』

「……ぶはっ!!」

『あ、よかった生きてた』

「ケホッ!ゲホッ!!澪さ……!」

『とりあえず医務室に運んであげて。そこの作業員さんも一緒に』


そう言うと、別の教官と生徒の人達が数人掛りで作業員の人と教官を医務室の方へと運んで行った。
つっかえ棒とその土台の役割をしていた人へと近づき、怪我がないかを聞くと「大丈夫」だと笑って答えられた。


『違和感あったらすぐに医務室行ってね』

「ああ。ありがとなお嬢ちゃん」

「では澪さん、そろそろ行きましょう」

『うん。それじゃあ…皆さん、頑張ってね』


そう言うと、教官の一人に車椅子を押されて資料室の方に連れていかれた。勉強はいつもそこで行われるんだけど、今日はさっき医務室に運ばれた鬼塚教官が教えてくれる日だから、ここに来る必要ないと思うけど。

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