動画
「なるほど。大体分かった」
兄に言われた現場の状況を大和さん達に伝えた。
「で、その話を聞いた嬢ちゃんは現状何か思う事はあるか?」
『くじ作る為に皆に紙を配った人が犯人だと思う』
「ど、どうして?」
『えっとねぇ…』
由衣さんが首を傾げていたから、説明より実践の方が分かりやすいだろう。自分のカバンからメモ帳を取り出して一枚破いた。それに九等分になるように折り目を付ける。
『くじを作る為に紙をちぎったのと、皆に配ったのと、くじで箱から取り出した人は同じって話はしたでしょ?』
「ええ…」
『まず、これをちぎって、この真ん中に被害者の人の名前を書かせるの』
「…ああ、なるほど」
四角の紙が九つになるように折り目を付けた紙の、真ん中を指差すと大和さんはそれだけで理解したらしい。でも由衣さんはまだ分からないという顔をしていたから、そのまま説明を続ける。
『そうしたら、この綺麗な角があるのが八枚。綺麗な角がないのが一枚。その一枚に名前を書かせたら見てなくても触っただけでそれが分かるでしょ?』
実際に破いて由衣さんに渡してみる。機械で精密に切られたそこと、手で破いて少しザラつきのあるそれ。四辺全てがそれであれば、一見全てがランダムに見えても、実際は一枚だけ意図した場所に連れて行けるくじが出来上がる。
あとは予め仕掛けておいたボーガンの場所にその人が行くようにすれば、全員がバラバラの場所にいても殺害が可能ということ。
『だから、くじを作って引いた人が犯人じゃないかなって』
「なるほど…!珠雨ちゃんって頭の回転が早いのね!」
『そんな事ないよ。この前読んだ本に似たようなことがあったから』
「それでもすぐに思い出してるんだから十分凄いわよ!そういえば、珠雨ちゃんにお兄さんがいたのね。てっきりひとりっ子だと…」
「高明とも面識があるのか?」
「いえ、私は…」
『高明さんと出会った頃、兄は寮生活だったから面識ないよ』
間違えたことは言ってないと思う。多分時期的にはそれくらいだろうし、一度だけ面識はあるとか昔聞いたことがあるけど無いことにしないと後々困るのは私達だから。
そんな話をしていれば、小五郎さんから現場の状態を撮影した動画が大和さんの携帯に送られて来た。携帯をパソコンに繋ぎ、動画を再生する。
トイレらしき場所で頭を一突きされていて、遺体の前には掃除用具入れがあった。動画内で小五郎さんが説明をしてくれていて、掃除用具入れの中にボーガンが仕掛けられ、開いたら発射する仕組みだったらしい。二本目の矢は仕掛けられていないようで、現場検証時用に掃除用具入れは開きっぱなしにして仕掛けもそのままにしておくと言っている。
その小五郎さんの後ろに、ばっちり映っている零さん。映らないようにって言わなかったっけ?何を撮影中に遺体確認してるの。終わってからやりなさいよ。
『連絡しなきゃいけないところあるから、ちょっとだけ外に出るね』
「ついて行きましょうか?」
『大丈夫です』
黒田さんに連絡する為に一言言ってから会議室の外に出る。高明さんが着いてこようとしてたけど聞かれたら意味が無いので断った。
連絡先から黒田さんを探して電話をかける。
《どうした?》
『長野で零さんが小五郎さんと一緒に事件に巻き込まれちゃって、その現場を撮影した動画が長野県警に送られてきたんだけど…』
《映ってるのか》
『うん。撮影が小五郎さんだったから』
《アイツから何も連絡はないが…》
『山奥の廃教会だから、電波悪いのよ。ただでさえ今日雪が凄いから』
《なるほど、把握した。あとはこちらでやろう》
『うん、ありがとう』
それだけ伝えて電話を切る。
電話越しでも威圧か凄いなぁ、この人は。
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