お祝い
「じゃあもう籍は入れたんだ?」
『うん』
「なるほどね。それで盛り上がって腰を痛めたと」
『うるさい』
しないって言ったのに、朝起きてすぐに高明さんと致してしまった。なんだかんだその気にさせてしまう高明さんって本当にズルいよ。
落ち着いた頃にはお昼近くになっていて、父に連絡を入れて書類やらなんやらの手続きを全てやってもらう事になった。まあ、私が身分偽ってるから仕方ない事なんだけど周りに結婚したよーって言えないからね。長野県警の偉い人には父から話をして、役所に提出するべき物も全てやってくれるとの事だったので任せることにした。
その後少し高明さんと話をして、彼は長野に帰って行き、私も安室の家に帰宅。零さんが「おかえり」って出迎えてくれたので、一通りの事を説明したら「おめでとう」って小さな拍手をくれた。
「今日は休んで、お祝いは明日しよう」
『…祝ってくれるの?』
「え?うん。だって友達が結婚したんだよ。お祝い事だろう」
『……そっか。そうだね。ありがとう』
「それに、高明さんの代わりにヒロにも報告しなきゃだろ?」
『うん』
零さんに手伝ってもらってソファに座ると、ハロちゃんがぴょんと飛び乗って来た。頭を撫でてあげると嬉しそうにしっぽをぶんぶんと横に振る。
『今初めて降谷さんと友達で良かったと思ったかも』
「どういう事かなそれは」
『いはい』
ハロちゃんを撫でながらそういうと、零さんは軽く頬をつねってきた。力を入れずにむにって優しく抓られてるから全く痛くないのだけど、反射で「痛い」と口から出た。
「まあ、とりあえず今日はゆっくりして。明日は念の為に学校は休みの連絡を入れておくから」
『ありがとう』
「頑張って「仕事」終わらせようね」
『うん』
零さんは頭を撫でた後にハロちゃんの頭も撫でて、笑ってキッチンに向かった。今日のご飯を作ってくれるらしい。その間にハロちゃんと遊んでいれば、携帯が鳴る。画面には蘭ちゃんの文字があり、出ると明るくて可愛い声で「珠雨ちゃん?」と聞こえた。
『どうしたの?』
《突然で悪いんだけど、来週長野に行くことになって…よかったら一緒に行かない?》
『長野に?』
《うん、お父さんが仕事の依頼で行くんだけど…来る人数を決められてるみたいで》
小五郎さんに入った探偵の依頼が少し妙で、話を聞くために依頼人にそちらに行くと返事をしたら四人で来るようにと返ってきたらしい。小五郎さんとコナンくんと蘭ちゃんで三人だから、あと一人探してるんだという。
《急だから安室さん…えっと、お兄さんはポアロのシフトとか調整とかあるし…諸伏警部と昔から知り合いなんだよね?だから、もし何かあっても知り合いがいるなら大丈夫かなって思ったんだけど…》
『うーん…ちなみに長野のどこなの?』
《山奥の廃教会って言ってたかな?》
山奥かぁ…今の時期だと雪凄いから、もし何かあった時に高明さんがいるとはいえ絶対足手まといになる未来しか見えない。車椅子だと絶対無理だからこの時期は義足つけて行ってるけど、雪の上歩くの苦手なんだよね。
『山奥だと足手まといになると思うから…悪いんだけど辞めておくね』
《そっかぁ…そうだよね。滑ったら私達より危ないもんね…ごめんね、急に電話しちゃって》
『ううん、こちらこそごめんね。もし人いなかったらお兄ちゃん連れて行って大丈夫だよ。私が変わりにポアロ入るから』
《あはは、そう?だったら最後の切り札にしておくね!じゃあ、また学校でね!》
『うん、またね』
通話を切ると零さんが呼ばれたからか、「何か?」と顔を覗かせた。聞いた事をそのまま伝えると「ああ、」と納得した顔でまたキッチンに戻って行った。会話が終わりかと思ったけど、そうではないらしく、奥から声が掛けられる。
「行ってよかったんじゃない?」
『山奥の廃教会だもん、着く前から足手まといだよ』
「それは確かに難しいね」
『それに絶対コナンくんにバレちゃう』
「知ってるならいいんじゃないか?」
『黙ってた方が面白いよ』
「…澪さんってたまに性格悪いところあるよなぁ…」
『降谷さんよりはいいよ』
「それはそう」
東京サミットのあれに比べたら、まだ可愛い方でしょう。そう言おうと思ったけど、どうやら性格悪い自覚はあるらしい。
そんな話をしていればご飯が出来たようで、机にお皿が幾つか並べられる。ハロちゃんがぴょんっと膝から降りれば、零さんに抱えられて車椅子に乗せられていつもご飯を食べる席に移動する。
渡されたお箸を受け取っていただきますと手を合わせてから、いつも通りの美味しいご飯を口に運ぶ。
『…ん…このパスタ美味しい』
「本当?よかった。昨日思いついたんだよそれ」
『作り方教えて』
「勿論いいよ」
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