組織の人
帰ってる途中に女性がマンションの下で血を流して倒れていると報告があり、近いからと黒田のおじ様は車を向かわせ、近くに停めて私に待っているようにと言うと、現場であるマンションの方向へと走っていった。
その間もう一度さっき見たばかりの書類を見返そうと、まとめられた紙を捲っていれば、外から窓をノックされた。持っていた書類をカバンに仕舞って窓を開けると、派手なオレンジ色の髪が見えてくる。
「やっぱりお前か」
『珍しいね、キャンティお姉さんが歩いてるの』
「今日は一人だからね。コルンはジンに取られちまったよ」
ジンお兄さんが海外でやる事があるとかで、コルンお兄さんを連れていかれてしまい、今は任務の帰りになんとなく散歩していたらしい。それだからか、いつものライフルケースではなくギターケースを背中に背負っていた。車だと隠せられるけど、背中に背負っていれば職質逮捕待ったナシだもんね。
この人見た目が派手だからバンドマンで通用するの便利だよね。景兄なんて全然バンドマンに見えなかったのに。
「で、何してんのさこんな所で。これ誰の車だい?」
『ちょっと事件に巻き込まれて、聴取の帰りで送って貰ってる途中。だからこれ警察の車だから離れた方がいいかも』
「あ〜?面倒ごとに巻き込まれたってのか?放っておけばいいものを…」
『人多かったから放置出来なくて…』
「ったく…ジンには黙っといてやるよ」
『ありがとう』
面倒くさそうに言う彼女は、きっと巻き込まれたくないからが本音なんだろう。見つけた時点で始末しろ、とか言いそうだもんねジンお兄さん。もしかしたら始末してないからってキャンティお姉さんも消されるかもだし。言わない方が吉ではある。
「じゃあ、アタシは行くけどあまり変なことするんじゃないよ。ジンやラムにバレたら大事になっちまう」
『うん、気を付ける』
頷くとキャンティお姉さんは私のおでこを軽く小突いて、手を振って歩き出した。
お姉さんが離れて数分後に黒田さんが戻って来て、送り先が家ではなくポアロ付近に変更すると確認を取ってきた。被害者の女性が今朝の事件同様に交通課の人だったようで、警察官を狙った連続殺人事件だから急いで本部に戻って捜査会議を開かなければならなくなったらしい。
「先程、現場付近の野次馬に紛れてあの少年がいた。おそらく事件の捜査をしているんだろう」
『少年……コナン君?』
「ああ。事件について聞かれたら、お嬢が知っている事を全て教えてあげなさい」
その言葉に頷いて暫くすればポアロの近くまで来た。黒田さんは路肩に車を止めて、車椅子を取り出すと後部座席のドアを開けて抱えて乗せてくれた。
「送れるのはここまでだ。ここからすぐ近くだから行けるだろう」
『うん、ありがとう』
「報告によると、近くに組織の人間がいるらしい。気を付けなさい」
『分かった』
そう言うと黒田さんは車に戻り、警視庁へと走っていった。
組織の人がポアロ付近にいるなんて話聞いたことないけど、本当かな。考えながら車椅子を動かしてポアロまで向かうと、ポアロの隣にあるお寿司屋さんから眼帯を付けたおじさんが出てきた。
『…あ…?』
「ん?」
『…?』
「あっしの顔に何かついてますかい?」
『あ、いや…知り合いに似てた気がして。人違いです、ごめんなさい』
そう言うと、おじさんはにっこり笑った。
「案外、どこかで会ってたりするんじゃないですかい?」
『んー…そうかな…』
「ジンの隣、とかでね」
『え』
今なんて言ったこの人?誰の隣って言った?
私がその言葉で固まっていると、おじさんは「これからどうぞよろしく」と行って、お寿司屋さんの中に入っていった。
ジンお兄さんの隣?ウォッカお兄さん?それにしては身体が小さかった気がする。誰?組織の人間なのは確かなんだろうけど…本当に誰?
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