ニュース
今日はお昼から新しい監視兼護衛の人との顔合わせ。眞鍋さんが「絶対仲良くなれる」って言うだけあってかなり話が合う人だった。
苗字がものすごく珍しくて、本人曰く「多分自分の親族しかこの苗字いない」らしい。長いし覚えにくいだろうから下の名前で覚えて欲しいと言われ、秋に橙で「しゅうと」と読むと教えてくれた。上に二人兄姉がいて、その一人も警察官らしく鑑識課所属だから気を抜いたらいつか会うかも、なんて笑ってた。
特に問題なく平和に顔合わせが終わり、来週から配属してもらうことになった帰り際。見送ってくれると廊下を歩いていたら、そういえばと秋橙さんが口を開いた。
「昼頃のニュース見ました?」
『ううん、見てない』
「帝丹高校の工藤新一君が生きてたとかで話題になってましたよ。澪さんが行ってる学校って確か帝丹高校でしたよね」
『え、』
今なんて言ったよこの人。
「ほら、ネットニュースにもなってるんですよ。死亡説が出てた工藤新一君が、先日京都で起こった事件の現場中継に映ってたって」
秋橙さんが見せてくれたスマホの画面には、京都で起こった事件のニュース映像が流れていた。そのまま見ていると、現場にいるリポーターさんが映った瞬間、その後ろに確かに工藤君と平次君がバッチリ映っていた。
時計を見ると現在夕方の四時を過ぎた頃。小学校低学年なら下校しているくらいの時間だろう。慌てて自分のスマホを取って連絡先から「江戸川コナン」を探し出して電話をかける。
《も、もしもし?》
『何をやってんのよあんたは!?』
大きな声で言えば、電話先のコナン君も隣にいる秋橙さんもビックリしたような声を出した。
ニュースになっている事を見たと伝えれば、コナン君も先程知ったばかりで困っているらしく、今博士と一緒にどうするか考えていたところだと教えてくれた。
一応現場にリポーターがいたことも知っていて、映らないようにしていたつもりだった事と、事件関係者には口止めしていたのだけど、別のところから漏れてしまったとの事。
『報道規制掛けるようにお願いしてもいいけど…』
《してくれるかな?》
『君一応組織の重要参考人だから説明すればしてくれると思うけど…それすると逆に組織が怪しむと思うのよね』
《そう、だね…》
今工藤家にいる昴さんはどうしているかを聞くと、まだ江戸川コナン=工藤新一だとは伝えていないから「知らない」で突き通してもらっていて、一緒に現場にいた平次君の方は学校に報道陣が押し寄せてしまっていてなんとか対応するとだけ聞いたが、どうするかは聞いていないらしい。
『そもそもニュース映像だけなら他人の空似とか、そっくりさんで騒がれると思うんだけど…何がどうなって最初から工藤新一ってなってんのよ…』
頭を抑えてそう言うと、秋橙さんが肩を軽く叩いてタブレットの画面を見せてくれた。工藤家の大ファンを名乗る人物が修学旅行先の京都にいて、その人が意気揚々と「あの事件に関わっていたのは工藤新一」だとSNSで発信してしまったのがきっかけで、そこからニュース映像に映っているのが見つかり騒がれているのだとか。
『……大変ね、あなた…』
《う、うん…》
有名人も大変だけど、その子供も倍くらいに大変だわ。
『ファンを名乗ってるのに、修学旅行にまでついてくるのはどうかと思うけど』
「それは自分も思いましたね」
《え、誰かいるの?》
『新しい護衛の人。この人が君の事教えてくれたのよ』
《そうなんだ…》
『出来る事はやってあげるから、とりあえず今はマスコミの対応をそっちでどうにかして』
《わかった。なんとか考え出してみる。組織側で何かあったら連絡頂戴?》
わかったと返して電話を切って、大きなため息。
予想してなかった自体なだけにどうしたらいいか分からない。確かあの子、零さんにもまだ正体明かしてないから相談も出来ないし、だから私が言ったとて信じないだろうし。
工藤新一は組織の開発した薬で小さくなって生きててそれが江戸川コナンですとか、普通誰も信じないでしょう。ピンガお兄さんでも両手叩いて爆笑するわ。
いや、あの人は少しの証拠さえあれば信じそうだわ。
なんとかしてって言ったけど、何とかできてるなら既にやってるんだよね。そう思ってもう一度ため息を吐くと携帯がメッセージを受信した。送信者は有希子さんからで「後で時間あったら工藤家に来て欲しい」って。
口止めでもされるんだろうか。
とりあえず手土産買いに行こう。
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