修学旅行

『修学旅行?行かないけど』

「そっか…」


話したいことがあるからと定期検査に着いてきたコナン君。特に問題もなく検査が終わって病院からの帰り道に、修学旅行に行くかを聞かれた。


『どうして?』

「いや、その…工藤新一として行くつもりなんだけど、薬が途中で切れた時とか、何かあった時に助けてくれる人が欲しくて…」

『…戻れるの?』

「え?あ、うん。一時的なものではあるんだけど、灰原が解毒剤作ってくれてるから」

『うーん……行ってあげたいのは山々なんだけど、私も何かあった時に誰もいないの困るから行けないんだよね…元々通ってた学校でも修学旅行とか行けなかったから、今回も多分許可出ないし』

「そっか…」

『公安の人…に頼んでも目立つしなぁ…』

「いやそれは流石に遠慮するよ」


頼んでも出来ないと思うし、と首を横に振るコナン君。多分なんだけど組織関係の重要参考人って言えば尾行か護衛くらいならしてくれるよ。

でも修学旅行には行きたいよね。特に高校生の修学旅行なんて、青春の一つだし。私行ったことないけど憧れはする。

コナン君が言うには、薬が切れる時に誤魔化すことは出来るのだけど、どうしても「コナン」でいる時間が長かったから染み付いた癖が出た時に助け舟が欲しいのだそう。


『平次君とかは?』

「でもアイツも学校あるし…」

『でも頼れるの彼しかいないよ?有希子さんは来てくれるだろうけど』

「目立つから母さんはパス」

『だよね』


そうなると自動的に平次君くらいしかいないわけで。

結局平次君に頼んでみることにしたようで、その場で電話を掛けてみた。申し訳なさそうに眉を下げてるコナン君とは真逆に、明るい平次君の声が離れているのに聞こえた。

会話の内容的におそらく了承してくれたのだろう。電話はすぐに終わって、一旦の安堵の息をコナン君は吐いた。


「服部が来てくれるって」

『よかったね』

「うん。あ、買ってこれるかわかんないけど、お土産何がいい?」

『なんでもいいよ。蘭ちゃんとどれだけ進んだかのお話だけでも構わないよ』

「は、はぁ!?」

『よく知らないけど、修学旅行ってそういうのが付き物でしょ?』

「知識の偏りを感じる…」


困ったような顔で笑うコナン君。気がつけば探偵事務所まで来ていて、そのまま別れて彼は帰って行った。ポアロに入ると梓さんがいて、テーブル席の椅子を一つ片付けて空けてくれた。

皆から修学旅行の話聞くの楽しみだな。

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