宝石言葉

しばらくすればコナン君は、奥さんが話してくれた旦那さんの話や奥さん自身の話から推理して、紙のある場所と、なぜ見つからないのかの理由が分かり、皆に実践して説明した。ならばと小五郎さんが私の横にある料理本のまだ見てないのを手に取って目次から「肉じゃが」の項目を探せばいいだけだと行動した時、キッドが館内の照明を全て落とした。
次郎吉さんが予備電源に切り替えるようにスタッフさんに指示すると、どこからかオルゴールの音が聞こえ、コナン君と小五郎さんがすぐに箱がある場所へ走って向かった。


「あの曲だったかしら…?」

『多分開けてないんじゃない?』

「でも、オルゴールの音が…」

『はい、これ』


一冊の料理本を奥さんに渡すと、肉じゃがのページから小さな紙を見つけ出した。予備の電源に切り替わり照明が付くと、すぐに奥さんは嬉しそうな顔で紙を持って箱の方に向かって行った。
少しして別のオルゴールの音が聞こえたから、さっきのはきっと携帯か何かで適当なオルゴールの音楽を流して「箱を開けましたよ」と思い込ませたかったんだろう。

その本人は先程腹痛がするからとトイレに向かっていたのを確認した。その後からコナン君と昴さんも向かったから、何か話しをしに行ったんだろう。キッドかそうかを確認したいと言う次郎吉さんに一言伝えて私もトイレへと向かった。女子トイレじゃなく、男子トイレに。


『よ…い、しょ。ごめんねコナン君、お話中に』

「は!?お、おい、危ねぇぞ!?」


コナン君が個室のドアをよじ登って、中にいるキッドと会話をしていたから、私も同じようによじ登る。後ろで昴さんが支えてくれてるから大丈夫なんだけど、中にいる彼から見れば私は今宙ぶらりんの状態。足があろうとなかろうと危ないわな。


『大丈夫。それよりもう帰るでしょ?その前に聞きたいことがあって』

「聞きたいこと?」

『うん。さっき宝石言葉教えてくれたでしょ。それ、全部分かる?』

「まあ、大体は…」

『じゃあこれ、宝石言葉ある?』


首に掛けてたネックレスを取って、キッドに手渡した。ネックレスというか、二つの指輪をチェーンにかけたものなんだけど。


「んー?……エメラルドと、モルガナイトか?」

『多分?宝石名は分かんない』


一つがエメラルドなのは知ってるんだけど、もう一つは知らない。おそらく合ってると言った彼はそのまま宝石言葉も教えてくれた。
モルガナイトは愛とか優美とか、色がピンク色だからか「愛」にまつわることが多く、エンゲージリングとかに人気。エメラルドも同じように、幸福とか愛とか。モルガナイトが「愛を育む」ならエメラルドは「愛の成就」。浮気防止で相手に渡したりする事もあると。


『へぇ…』

「プレゼントで貰ったもの?」

『ひとつはね。そっちのモルガナイトだっけ?は母の形見』

「形見か…それにしても綺麗だな、ほら返すよ。大事にしろよ」


返してもらって、今の体勢のままだとつけられないから一旦胸ポケットに入れた。そのまま昴さんに手伝って下ろしてもらって、キッドに「またね」と言えば、「体調気を付けろよ」とドア越しに言われた。
確かに最近肌寒くなってきたし、気をつけないと。

次郎吉さん達がいる所へ戻ると、奥さんが大事そうに箱に入っていたんだろうノートと宝石を抱えて、どことなく先程より嬉しそうな顔で小五郎さん達に探すのを手伝ってくれたお礼をしていたところだった。


「珠雨、どこに行ってたの?」

『お手洗い』

「そう。あら、また停電…」

「おそらく予備の電源から主電源に切り替えておるんじゃろう」


ほんの一瞬だけ停電した。すぐに電気が付いたから次郎吉さんはそう言ったけど、多分トイレの方で昴さんに何か言われて逃げるために消したんじゃないかな。その昴さんもコナン君と一緒にすぐに戻って来て、箱は開いたから帰る時に、念の為キッドの変装じゃないかを外にいる警備員達が軽く確認してから解散の流れになった。

変装かどうかの確認を終えた時、奥さんが小走りで私の所に来た。


「これ、お約束していた肉じゃがの作り方ですわ」

『これは二人分の分量?』

「いつも多めに作っていたので、三人分くらいかしら」

『今度作ってみる。教えてくれてありがとう』


丁寧に書いてくれたそれを、折りたたんで無くさないように財布に入れた。

肉じゃがは明日にでも試しに作ってみるかな。
試食は公安の誰かしてくれるでしょ。


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