羽田浩司殺害事件について

『PUT ON MASCARA?』

「うん」


昨日、博士の発明したハサミを持って亡くなったおじいさんがいて、そのハサミの説明をする為に博士は目暮警部に呼ばれたらしくコナン君と昴さんの三人で現場に行ったらしい。被害者は自宅にある離れの洗面所で殺害されており、割れたガラスのコップが散乱していて且つ水道の水が流しっぱなしになっていたと。昴さんが言うには、17年前に起こったある事件と似た現場だって。

その17年前の事件は羽田浩司が殺害された事件。当時将棋の四冠王だった彼は、趣味のチェス大会に出場する為に海外に行き、大会前日に宿泊ホテルで何者かに殺害された。部屋はかなり荒らされていたようで、羽田浩司も必死に抵抗した形跡があったものの、未だに未解決事件となっている。
同日、同じホテル内でアメリカの資産家のおばあさんも殺害されており、そのおばあさんがボディーガードとして連れていた「浅香」と呼ばれていた人物がその日以降行方不明となっている事から、警察はその浅香を最重要容疑者として行方を追っている。

どうやらその羽田浩司は、コナン君とお姉ちゃんが飲んで小さくなった薬、APTX4869を飲まされ殺害された人物リストに載っているようで、コナン君は組織が関わっているんじゃないかと調べている最中だと教えてくれた。


『で、羽田浩司が殺害された現場にあった鏡に書いてあったのが、そのマスカラをつけようみたいな文章ってこと?』

「うん。でね、割れた鏡にはP,T,O,Nが残ってたんだけど、他の割れて無くなった文字を入れ替えると「ASACA」と「RUM」になるんだ」

『あー…確かに』

「珠雨さんはラムの事、赤井さんより詳しいって聞いたから来たんだけど…何か知らない?」

『うーん…その羽田浩司殺害事件の事は警察学校に出入りしてた時に聞いたことはあるけど…』

「警察学校?」


首を傾げるコナン君に、そう言えば言ってなかったっけ?と昔私の世話を見る人がいないから、父の目の届く範囲である警察学校に数年通って教官達から勉強を教わったりしていた事を伝えた。


「へぇ…じゃあ、安室さんと出会ったのって警察学校?」

『うん。で、話戻るけど…ラムのおじ様から羽田浩司の話を聞いたことはないよ』

「じゃあ、浅香って人は?」

『どうだろ…少なくとも私は知らないと思う』

「思う?」

『人の名前覚えるのが苦手で…今はなんとか覚えてるんだけど、昔会った人とかは分からないの』

「そうなんだ、意外だね…」

『流石に新一君みたいに有名人とか、コナン君みたいな珍しい名前は覚えるけどね』


そう言うとコナン君は引き攣ったような顔で「そ、そっか…」と笑った。「江戸川コナン」が珍しい名前というか、ネーミングセンスが無い事は自覚しているらしい。
まあ、薬で小さくなってこれから「工藤新一とは別人」として生きていく中で急に名前つけろっていわれたって困るよね。咄嗟に付けた名前にしてはあまり違和感ない名前ではあると思うよ、私は。


『その羽田浩司殺害事件に詳しい人を知っているからそれとなく聞いてはみるけど…覚えてるかなぁ…』

「え!?いるの!?」

『うん。ただ誰かは教えられない』

「…公安の人…ってこと?」

『そういうこと。あ、秀一さんには一応内緒ね』

「うん」


コナン君が聞きたかったことはそれで終わりのようで、話したいことも全部話したからとコナン君は帰って行った。

羽田浩司ねぇ…秀一さんの弟さんが、羽田家の養子に入ったことくらいしか知らないのよね。

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