ハートマーク

コナン君が出ていって暫くして私の電話が鳴った。


『外で電話してくるから、警察の人呼びに来たらそう伝えてくれる?』

「ええ、いいわよ」


二人にそう言って沙弥さんの部屋を出る。画面には「黒田」とだけ。内容は「また現場にいるのか」っていう説教。

仕方ないじゃん、コナン君が首突っ込むんだもん。
あまり目立つ行動は避けたいし、するなとも言われてる。だけど巻き込まれるのはまた話が別じゃん。

話半分で説教を聞き流していると、黒田さんの方に別の人から電話が掛かってきたと。「とにかく言動行動を慎むように」と言われて電話が切れた。

事件捜査に非協力的だったらそれはそれで文句言う癖に…


「珠雨さん?」


切れた電話を睨みつけていると後ろからコナン君に声を掛けられる。どうやら犯人もトリックも動機も、全て分かったようでこれから目暮警部達を呼びに行くそうだ。


「あ、そうだ。珠雨さん、ちょっと手伝ってくれない?」

『?いいけど…』


首を傾げるとコナン君は笑顔で「ついてきて!」と言い歩き出した。目暮警部達のいる殺害現場の部屋の前に着くと、「抱えてくれる?」と。言われた通りにすると、コナン君は呼び鈴を鳴らして扉の覗き穴に携帯の画面を押し当てた。
少しして扉が開き私たちを見た目暮警部は驚いた顔で「阿笠さんは…?」と聞いてくる。阿笠博士なんて最初からいなかったよね。


「阿笠博士なら、504号室で警部さんを待ってるよ!この部屋の真下にある、犯人の部屋でね!」

「ま、真下の504号室って…タレントの北見沙弥さんの部屋じゃないか!」


驚く目暮警部に、コナン君は「そうだよ!」と自信満々に頷いた。


「あのねぇ、コナン君。君には難しくて分からんかもしれんが、部屋は密室になっていて」

「け、警部!こ、コナン君の言う通りにしろと…か、管理官が、電話で…」

「ええっ!?」

「珠雨ちゃんも何か言ってるのなら、尚更だと…」

『え、私?』


部屋の中で高木刑事が電話していて、相手はどうやら捜査一課の管理官。その人が、私とコナン君の言う通りにしろと指示しているとかで、高木刑事と目暮警部、コナン君はキョトンとしてお互いの顔を見合わせていた。

警視庁捜査一課の管理官って松本警視正じゃなかったっけ。名前と顔は知ってるけど、話したこともないからそんな指示するとは思えない。私の知ってる人に変わったのかな。
「何か知ってる?」というような目線をコナン君から送られ、分からないと言うように首を傾げれば、同じように首を傾げられた。私も知りたいんだよ。

管理官が言うならと、目暮警部と高木刑事と一緒に504号室の沙弥さんの部屋に向かうことになり、四人で下の階に下りた。

部屋に入ろうとすると、コナン君に止められ耳打ちで扉の前にいて欲しいと言われる。


「さっき僕を抱えたように灰原を抱えて欲しいんだ」

『お姉ちゃんを?』

「うん!…ねぇ、ついでに聞きたいんだけどなんで灰原の事「お姉ちゃん」って呼んでるの?珠雨さんの方が歳上だよね?」

『「安室珠雨」は志保ちゃんより歳下でしょ?』

「…じゃあ、灰原は珠雨さんの本名とか…」

『知らないよ』

「そうなんだ…」

『とにかく、お姉ちゃんを抱えればいいのね』

「うん、よろしくね!」


そう言ってコナン君は部屋の中に入っていった。隠れていたのか、それを確認した少年探偵団の皆が角から出てくる。お姉ちゃんが扉の前に立ち携帯をポチポチと触って「よろしく」と言うように私を見る。コナン君と同じように抱えれば、覗き穴に携帯を押し当て呼び鈴を鳴らした。
数秒すれば「もういいわよ」と言われて降ろし、少し下がると扉が開いて目暮警部が出てくる。


「い、今のは君たちが?」

「ええ、そうよ。あらかじめ博士の動画を録画しておいて、その動画をこの覗き穴にかざして流したのよ」

「じゃあ、さっきの阿笠さんも?」

「ああ、そうじゃ!同じ事をコナン君にやらせたんじゃよ」


驚いている目暮警部に、中にいる阿笠博士が説明をする。さっき桜子さんが言っていたハートマークが書かれた封筒は、ハートマークの部分が切り抜かれており、そこにカメラが来るように携帯を入れて動画を録画状態にして覗き穴の下にそれを貼り、その動画を使って被害者の部屋に沙弥さんは入った。
だから桜子さんじゃないのに被害者が扉を開ける状況が作られたと言う。

阿笠博士の話を子供達と一緒に廊下から聞いていると、また電話が鳴った。画面にはまた「黒田」の文字。

なんなのよ一体。


「あら、どこか行くの?」

『うん、電話』

「そう」


その場から離れようとした私に、お姉ちゃんが聞いてくる。携帯を持ってそう言えば特に気にすることなく「行ってらっしゃい」と送ってくれた。

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