高木刑事と

すぐに目暮警部と高木刑事が駆け付け、捜査が始まり状況を説明した。彼女は桜子さん以外の誰が来ても扉は開けないと言っていたらしいが、何故か扉を開けて犯人を中に招き入れ殺害された。


「桜子さん以外の誰が来ても?」

「ストーカーよ。以前彼女、スタッフを装ったストーカーにホテルで襲われそうになった事があって…それ以来、事前に約束した人じゃないとたとえ顔見知りでも部屋に招き入れなくなったとか」

「それ、自分も週刊誌で読んだことがあります」

「色々大変だねぇ、芸能人は…」


本当、大変そう。
芸能人じゃなくても容姿が原因でイジメやストーカーやらあるんだから、人間ってホントめんどくさい。

もう少し部屋を調べるからと、第一発見者である桜子さんと沙弥さん、コナン君と私の四人は沙弥さんの部屋で待機して欲しいと言われて部屋を出る。その直前に高木刑事に呼び止められ、何かと振り返ると「気になったこととかある?」と聞かれた。


『あるけど…まだ頭の中で整理できてない』

「そっか。じゃあ、何か分かったらすぐに教えてね」

『うん、いいけど…高木刑事、私の事信用しすぎじゃない?』

「え!?そ、そうかな…!?」

『だって、お兄ちゃんとかコナン君とか、探偵さんがどれだけいても私に意見求めるでしょ?この前の澁谷先生の時だって、FBIの人達もいたのに警察でも探偵でもなんでもない私に聞いてきたじゃない』

「あ、あ〜…佐藤さんに、伊達さんと知り合いだって聞いて…そういえば昔、伊達さんに珠雨ちゃんらしい子の話を聞いたことがあるなぁって…」


照れくさそうに話す高木刑事。
刑事になりたての頃、教育係だった航さんに「知り合いに病弱で車椅子でも自分にやれることを頑張ってる女の子がいる」って話を聞いて、健康で五体満足の自分も頑張ろうと思っていたんだって。「どんなこと聞いたの?」って聞けば「運動以外はなんでも出来るようにしたのと、自分からトラウマを克服しようとしていたのを聞いたよ」と教えてくれた。

身バレしそうな話だな。

それでどうして頼るのかと聞けば、航さんが事故に遭う少し前に私の話をして、「自分の知り合いの中で誰よりも頭の回転が早く、絶対に事件解決するから何かあったら頼れ」と言っていたと。航さんそんなに私の事褒めてたのか。


「その子は自分を含めた同期達の、妹のような人だとよく言っていてね。名前は聞いてないから珠雨ちゃんの事かどうかは分からないんだけど特徴が一緒だったから…でもごめんね、少し頼りすぎてたかな」

『ううん、大丈夫。なんでかなぁって気になってただけ』

「そう?なら、いいんだけど…あ!でも、嫌なら全然言ってくれて大丈夫だからね?」

『うん』

「じゃあ…呼び止めてごめんね。コナン君達と一緒に待機していてくれるかい?」


頷いてエレベーターの所まで行くと、桜子さんが待っていてくれた。部屋の場所が分からないだろうからと、沙弥さんとコナン君で先に部屋に行ってもらって、大事な話かもしれないからとここで待っていてくれたと。お礼を言って一緒に沙弥さんの部屋に向かう。彼女の部屋は事件現場の真下にある504号室。呼び鈴を鳴らすと沙弥さんが扉を開けて、中に入れてくれた。

中に入ると、沙弥さんが飲み物を入れてくれると言ってくれて、桜子さんが紅茶で私は緑茶をお願いした。


「へぇ、意外と渋いのね」

「珠雨さん病弱で、カフェインとかあまり飲んじゃいけないってお医者さんから言われてるんだって」

「そうなんですか?」

『うん。だから紅茶とかコーヒー飲めないの』

「失礼だけど、身体の事もあって病弱って大変ね…」


沙弥さんがそう言うと空気が少し重くなった。それをどうにかしようと桜子さんが「そ、そういえば!」と話題を変えるために声を出す。


「扉のアレ、なんだったんですか?」

「ああ、ファンのイタズラだったみたい」

「アレってなぁに?」

「変な封筒よ。沙弥さんの部屋の扉に貼ってあったの。黒い大きなハートマークがあって、覗き穴真下くらいに貼ってあったかな?」

「ふーん…」

『大変だね、芸能人』

「え、えぇ…でも、それだけ私のことを好きでいてくれてるってことだから」


笑って沙弥さんが頼んだ紅茶と緑茶を持ってきてくれた。

沙弥さんと殺害された彼女の為にと、ホテル側が用意してくれた部屋は広い角部屋で、快適に過ごせる部屋だったのが、事件が起こったことによってドラマの撮影どころかドラマごと白紙。明日にはここを出ていかなきゃだなぁと残念そうに沙弥さんは呟いていた。
そんな彼女を他所に、コナン君は携帯の画面を見ていて、何を見ているのか桜子さんが聞けば沙弥さんのブログだと。

そういえば、この子。皆でケーキ食べてる時も携帯見てたな。殺害された女優さんのブログだったかな。


「沙弥さんのブログって、杏奈さんと全然違うなーって」

「え?」

「杏奈さんのブログの写真はみんな自分が写ってるけど、沙弥さんのはほとんど写ってないじゃない!写ってるのもあるけど、小さく見えるくらいだし」

「あぁ。杏奈さんと違って、写真で自己アピールが苦手で…私を見たいならドラマを見て!って感じかな」

「ふーん…」


彼女は笑ってそう言うが、コナン君が座ってるソファの後ろにある棚の上。最近よく見る自撮り棒が乗っていた。自撮りする人が持っているならまだしも、写真での自己アピールが苦手だと公言した彼女が持っているのはいささか不自然な気がする。

彼女が犯人なら、殺害した道具がコレなんだろう。


「そういえば、アレどうしたの?プチファルコン!ケーキバイキングのところで飛ばしてたでしょ?」

「ああ、あれ?上手く飛ばないからどこかに捨てちゃったわ!」

「えー!?勿体ない!飛ばしっこ出来ないじゃない!」

「飛ばしっこ?」


コナン君の発言に沙弥さんが首を傾げると、丁度呼び鈴が鳴った。コナン君が扉を開けるとそこには阿笠博士と子供達が立っていて、今話をしていたプチファルコンを買ってきたと博士がコナン君に渡した。受け取ったコナン君は早速部屋の中でそれを飛ばし、コントローラーを使って上手くそれを操作していく。途中、部屋の天井に付けられたエアコンに引っかかり、落とすためにキョロキョロと部屋の中を見渡した。


「棒、棒……」

『棒なら、桜子さんの後ろに…』


桜子さんの後ろの自撮り棒を指さしてそう言うと、沙弥さんが立ち上がって机の上に足を乗せた。そのまま天井に引っかかったオモチャのヘリコプターを取ってコナン君に渡す。
広いところで飛ばせば?とお姉ちゃんに言われて、コナン君は子供達と博士と一緒に部屋の外へ行ってしまった。

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