帽子の裏

ケーキを食べ終えて帰ろうとロビーに向かうと、フロントで桜子さんが何か騒いでいた。コナン君がどうしたのかと聞くと、さっきの金髪の女優さんが呼び鈴鳴らしても出てきてくれなくて困ってるんだそう。


「それ、かなりマズイですよ?」


騒ぎを聞いて来た沙弥さんが、後ろからそう言った。


「私の撮りは今日は無いけど…杏奈さんはあと30分で撮影始まるから…メイクの時間とかもあるし、もう現場に入ってないと…」


スマホの画面を見ながらそう言った沙弥さんに続いて、桜子さんがマスターキーで扉を開けて欲しいとお願いすると受け付けの人がボーイさんを呼んで沙弥さんと一緒に女優さんの向かった。
何か気になるのかコナン君もついて行き、博士達が止めたものの振り向きもしないからら博士に子供達を見ていてもらって私がコナン君について行った。


『すぐ首突っ込むんだから』

「だって、気になるじゃない。ただの寝坊ならそれでいいけど、そうじゃないかもしれないじゃん」

『だとしてもよ』


ボーイさんに案内されて女優さんの部屋の前に着き、マスターキーで鍵を開けてもらって桜子さんとコナン君がすぐに部屋に入った。


「杏奈さん!どうしたんですか?」

「撮影始まっちゃいますよー!」


二人に続いて沙弥さんが入り、被っていた帽子を扉の近くにあった帽子掛けに掛けようとして落とした。それを拾ってまた帽子掛けに掛けて、沙弥さんは部屋の中に入っていく。
掛けられた帽子の先端、帽子のつばの部分がやけに尖っていて、中に重いものでも入っているのかを手を伸ばせば小さくカチャって音がした。沙弥さんがこちらを見ていないのを確認して、帽子の中を確認するとつばの部分に先程元太君のケーキに突っ込んでいたオモチャのヘリコプターが両面テープで帽子に貼り付けられていた。


『なんでヘリコプター…?』


首を傾げて、帽子掛けに掛け直した時。部屋の奥から桜子さんの悲鳴が聞こえた。すぐにそこに行けば、部屋の奥で金髪の女優さんが頭から血を流して倒れていて、傍にはこの部屋のものと思われるカードキーが。

コナン君がボーイさんに救急車と警察を呼ぶように頼むと、すぐにフロントに走って行った。
車椅子で現場が荒れないようになるべく遺体の傍には近づかないようにしていると、コナン君が近付いて来て二人に聞こえない声で話しかけられる。


「ねぇ、珠雨さん。カードキーの近くに生クリームが落ちてたんだけど…どう思う?」

『もうそれ決定じゃない?』

「でも証拠が…」

『彼女の帽子の裏にね、さっきケーキに突っ込んでたヘリコプターがあったの』

「帽子の裏に?」

『落として拾う時にくっつけたんじゃない?両面テープで貼り付けられてたよ』


それを伝えると、コナン君は顎に手を当てて考え込んだ。桜子さんが言うにはこのホテルはオートロックじゃないから、カードキーが部屋にあって鍵が掛かっていたのはおかしいと。つまりあのヘリコプターは部屋を密室にした道具である可能性が高い。

まさかあの小さなオモチャのヘリコプターがこの部屋に入り込んで、それをカチャカチャしてたら彼女の頭にあたって死亡。なんて訳じゃないだろうし。

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