『あれ、お兄ちゃんどこか行くの?』


ポアロに行くと、兄と小五郎さん。それに、コナン君と毛利さんが出かけるようで、探偵事務所の階段から降りてきた。小五郎さんのお仕事に皆で同行するらしく、そのまま「行ってらっしゃい」と見送って、自分はポアロに入った。


「珠雨ちゃん、いらっしゃい。ちょっと待ってね、椅子退けちゃうから」

『ううん、自分でやるから大丈夫』


店に入ると、梓さんが出迎えてくれた。
窓際の席に行き、椅子を退けてそこに車椅子を止めて、梓さんにサンドウィッチと紅茶を頼む。
暫くしたらサンドウィッチと紅茶が運ばれてきた。、


「今日は、甘いもの大丈夫なの?」

『うん。過剰に摂取しなければいいよってお医者様が』

「あら、じゃあこれからはケーキとか食べられるのかな?」

『小さいものなら?』


そんな風に暫く梓さんとお話したり、本を読んで時間を過ごす。
本を読み終わり、ふと窓の外を見るとちょうど小五郎さん達も帰ってきていた。長かったなぁ…なんて思いながら支払いを済ませてポアロを出ると、探偵事務所から銃声のような音が聞こえた。

急いで車椅子から降りて、這って階段を駆け上がる。


『なんの音!?』

「あ、安室さん…!」

「蘭!警察に連絡だ!!」


開いたままの扉から事務所を覗くと、トイレのドア付近に全員が立っていた。
隙間から見えるのは縛られているのか、女性が座り込んでいるところ。

毛利さんは小五郎さんに言われて、すぐに警察に連絡を入れた。


『どうしたの?』

「それが……いや、とりあえず珠雨はここに座っていて。先生、妹の車椅子を安全な所に置いてきます」

「分かった。大丈夫ですか?」


地面に足を付けたままの私を、兄は抱えてソファに座らせた。車椅子がない為、どこかに置きっぱなしだということを察した兄はすぐに階段を駆け下りていった。
小五郎さんは、地面に座っていた女性を立たせ、私の横に座らせた。女性は俯いたまま、何も話さない。


『コナン君』

「ん?」

『何があったか簡単に教えて貰ってもいい?』


コナン君に聞くと、漸く現状を知ることが出来た。

小五郎さん達は、ネットで依頼してきた依頼人の樫塚圭さんにメールで、約束の場所を探偵事務所からコロンボというレストランに変更したいと言われてそこへ向かったものの、一向に依頼人が来なかった。
暫くして小五郎さんが、依頼してきた時と予定場所変更希望のメールアドレスが違うということに気づき、もしかして友人の携帯からメールをして来た為、変更をOKしたメールに気付いてないのでは、と帰ってきたらしい。
しかし、帰ってきてすぐに「今来たから皆で来て欲しい」というメールが来て、怪しいと思ったコナン君と兄が、一旦探偵事務所から出てもう一度入る事を提案すると、トイレから銃声が聞こえたという。すぐにトイレに入ると、この女性がガムテープで縛られており、トイレの中では男性が拳銃を握って死んでいた。というのが現状のようだ。


『じゃあ、あなたが樫塚圭さん?』

「えぇ、」

『無理矢理探偵事務所に連れ込まれたとかじゃ、ないんだよね』

「依頼のために事務所を訪れたら、あの男が出迎えたの。毛利探偵の助手って言ってたわ…事務所に入ったらすぐに、多分、スタンガンか何かで気絶させられたんだと思う…気がついたら靴を脱がされてて…縛られて、トイレに…」

『で、小五郎さん達が帰ってきたのを知った彼が拳銃で自殺…?』

「えぇ…」

『ちなみに、依頼内容って…?』

「コインロッカーの捜索を。亡くなった兄の遺品から出てきたのだけど、どこのコインロッカーかが分からなくて…彼、ずっとこの鍵はどこのかを知りたがってたわ…」


彼、とは自殺した彼のことだろう。

何か重要なものが入ってるのかな。例えば、この最近ずっとニュースになってる銀行強盗に使われた拳銃とか?


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