ハリポタ 人を愛した死神 番外 | ナノ
年末年始2009
「年末に休みを貰えるっていうのは嬉しいね」
そう意気揚々と言ったのは、医者だから通常勤務から夜勤までといつも病院に居座って日々人の命を守っているキリー。
年末年始、今までは毎年お願いされて断れずに仕事していたらしい。
救急センター勤務率の高さはナンバーワンだったとか。
理由を聞けば、独り身だし、仕事以外やる事ないし、というつまらない理由だった。
もっと『人の役に立ちたくて』とか、偽善面した事を言えば鼻で笑ってやれたのに。
人を愛した死神
番外 年末年始
キリーにとってどれだけ新年の意味があるのかは知らないけれど、キリーは僕の下着を新しくしたり、新年に着る服を新しく買ったりしていた。
「何でそんなにはしゃいでるの」
「何でって、トムが居るから」
「意味が分からない」
「分からなくても楽しめれば良いんだよ。周りが楽しんでいるのに、私達だけ楽しまないのは損でしょ?」
ね?と僕の鼻をつつくキリー。
鬱陶しいよ。
「今日は何が食べたい?」
「え?」
キリーはまた突拍子のない事を言ってくる。
明日が新年だから、明日何食べたい?なら分かる。
なのに、今日食べたい物?
今日は……。駄目だ、よそう。
「……別に、無い」
「と言う事は食べたい物があるんだね。何が食べたい?」
何で分かっちゃうんだろう。大人ってずるい。
「ケーキ」
「ケーキ?」
「ワンホールのケーキが、食べたい」
キリーが驚いた顔をする。
大きなケーキを欲しがる僕に、キリーは首を傾げた。
だって。
だって、今日は。
「今日は、僕の誕生日だから」
「……トムの、誕生日?」
「うん」
キリーはまた驚いた顔をした。
今日が僕の誕生日だと知らなかったのだろうキリーは、たちまち眉を八の字にした。
「知らなかったとはいえ、何もせずに普通に過ごしててごめん。それから」
キリーは僕の正面にしゃがみこんで、抱き締めてきた。
ぎゅうっと抱き締められて、息が苦しい。
「お誕生日おめでとう!」
「えっ」
「産まれてきてくれてありがとう」
「……そんな」
そんなこと、言わないでよ!
鼻がツンとして、痛くなるじゃないか!
「よし。私が腕によりを掛けて、ケーキを作るよ。トムはイチゴが好きだったよね?イチゴのショートケーキで良い?」
抱き締めるのをやめて、肩に手を置いたキリーはにこりと笑いながら言った。
「キリー」
「チョコレートの板に名前を書こう。それから、蝋燭も立てる?」
「それは、恥ずかしい」
「恥ずかしがらないの」
キリーは台所に入って、スポンジ作りから始める。
今は正午。夜にはケーキが出来るとキリーは言った。
キリーのはしゃぎっぷりに、僕も楽しくなってくる。
僕の産まれた日。
こんなに誕生日が楽しいって、変な気分だ。
きっと、新年も楽しく迎えられる。
〜戯言〜
リドル誕生日おめでとう!
日常の中で誕生日がリドルは一番好きではないと思います。
だから、誕生日を楽しんでもらえたら嬉しいです。
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