ハリポタ 僕らの時代 番外 | ナノ
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だって俺たちは男なんだぜ?
健全な男児たるもの、女の子を目で追うのは不可抗力な訳で。
それらの雑誌や映像に男が群がるのは当然であって俺も周りの奴らもそれを餌に毎夜楽しんでいるのだ。
たまに先輩や同級生、下級生で可愛い子がわざとスカート短くしてチラリズムしてくれたり、こちらに視線向けてわざと胸元のボタンを外したりと、そりゃもう俺たちのいわば三大欲求の一つをおおいに満たし、かつ話題となってくれるのだから、健全な俺たちにとって此処での生活は結構潤っている。
毎日あの子が可愛い、あの子の胸が良い、足が良い、付き合いたい、等々の話題でもちきりだ。
女子はそれを表立って話す男子を下品だというが、女子だって俺たちが居ないところではそういう下品な話をしている事を知っている。
つまり男は女の話題で、女は男の話題でもちきりなのだ。
だというのに、だ。
スリザリン寮に居る二人の男はそういう話題に一切乗ってこない。
一人は最初は聞き流しているが、しつこく絡むと嫌悪感丸出しな顔をしてくるのだ。
しかも顔が綺麗な分(女子の中で顔が綺麗な男No.1らしい。それは俺たち男も認めている。例えるならビスクドールだ)、嫌悪感に満たされた顔をされたらこちらも口を閉ざして深追いが出来なくなる。
しかもそういった噂も一切無いからツッコミを入れる隙間が無い。
だからあいつがどんな女が好みで、どんな風に夜を過ごしているのか皆気になっているが確認は出来ていないのだ。
淡泊そうだから、何もないんじゃないか?と言うのが有力候補。
もう一人の男は話題に乗ってくるし発言もよくするけれど、それは他人の意見を引っ張りだすものだったり、女性一人を話題にしない極めて“ジェントル”な内容だ。
しかもこいつは世渡りがかなり上手くて、俺たちから情報を引っ張りだすだけ引っ張りだしたらさっさと行方を暗ます。
本当に食えない奴なのだ。
こいつの顔は先程述べた男のように小綺麗ではないが格好良い方面に秀でているし、へらへらしてて愛敬も良いし話題も豊富だから総合点で言えばさっき述べた男より女子の中で人気があるだろう。
しかも良家のボンボン。
神様はこいつーーナチーーに色々与えすぎだと嘆く男は少なくない。
そんなナチは、ナチを好きだと狙ってる女が多い分、勝手な噂が流れたりして●●とデキてる、とか**とキスしたところを見た、とかいう噂が流れても、何故か『またふられた腹癒せに女が自ら噂流したか、その女の友達が噂でナチを追い込もうと考えて噂を流したな』と思わされるのだ。
それは多分、ボンボンで口が達者なナチは女に期待を持たせる発言はしても自分の経歴に傷が付くようなことはしないし、そもそも女を手玉にとって傷物にしたり、遊びで手を出すような奴ではない。というよく分からない認識をされているためにそう思わされているのだろう。
ナチの事よく思いすぎじゃね?実際色んな女に手を出してるかもよ。と言う奴もいるが、ナチはスリザリンという嫌われ寮に居るくせに、他の寮にまでナチの性格というか性質は知れ渡っている。
本当に良い奴だよ、と万人に訊けば万人が答えるだろう。そんな奴なのだ。
否、万人というのは嘘か。
ナチは極一部の純血主義者にはとことん嫌われている。
それはナチが個人の性格や性質を大切にしていて、生まれで人を差別しない“純血の良家”出身だから仕方が無いことなのだ。
本来ならば純血主義者側の筆頭ポジションに居るべき人物なのだから。
まぁそんなこんなで、俺はナチともう1人の子嫌いな顔をした奴ーーリドルーー二人の女性関係が気になるが毎回玉砕している。
こいつら二人の性格を思えば、何もないが回答なのだろう。
だが、俺が好意を向けている女子が二人のどちらかを明らかに好きなのだ。
どちらか、と言うのは、リドルとナチはいつも一緒に居るから彼女が向ける目線の先がどちらなのかまだ分かっていないからである。
もしも二人のどちらかと彼女の気持ちが互いに相互関係しているならば、俺は潔く手を引きたい。引きたいのだが、二人がどうなのか分からないから手が引けないというジレンマに悩まされているのだ。
「なぁ二人とも、ちょっと良いか」
夕飯時、サラダをつつくトムと、トムの分の果物を剥いているナチに声をかけると二人が俺を見た。
「何?」
と言ったのはナチ。
手の動きは変わらず、ラフランスの皮を剥いている。
トムは皿に置かれた瑞々しいラフランスにフォークを突き刺して、当然のように口にした。
なんだこの親子関係は。
「メリーの事、お前らどう思ってる?」
「興味無い」
「可愛いと思うよ、性格も良いしね」
トムは一刀両断。
ナチはメリーを誉めた。
なんてこった。ライバルはナチか。
勝てる気がしねぇ。
「お前とメリー付き合ってんの?」
「まさか。僕は現在進行形で独り身貴族だよ」
「自分で貴族言うな。じゃあ興味は?」
「んー、恋人云々は無いね。友達としては、良好な関係を築けそうな子ではあるかな」
「その言葉、嘘偽りはないな?」
「神に誓って」
両手を上げて、裏切りの指切りはしていないとアピールする事も忘れない。
こいつは本当に出来た奴だ。
「君、メリーが好きなんでしょ?いつ告白するのか僕は気になって夜は熟睡してるんだけど」
「いきなり何だよっ!って言うか熟睡してんじゃねぇかよ!」
「まぁまぁ、僕の事を気に掛ける前にメリーを気に掛けなよ」
「うっせ!」
「ほら行った行った。まずは話し掛けなきゃ。何も始まらないでしょ」
ナチはやっぱり良い奴だ。
疑っていた俺の事を嫌わずに背を押してくれる。
本当に、何なんだよ、こいつ。
「ありがとな!」
「お礼は結果で示してね。いってらっしゃい」
俺は駆ける。
途中先生に咎められたが、青春の1ページには良い思い出になるだろう。
*****
「ねぇ、メリーって誰?」
「ハッフルパフの子だったかな?そばかすがある、心身共に健康そうな子だよ」
「……知らないな」
だろうね、という言葉を飲み込む。
剥いて一口サイズに切ったラフランスを皿に置いたら、リドルはフォークを突き刺して口に運んだ。
リドルは本当に果物が好きだね。
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