ハリポタ 僕らの時代 | ナノ
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それでも、やっぱり決心は揺らぐものなんだ。
まして君は、僕が初めて残った冬休みのクリスマスパーティの日に、僕に向かって喧嘩の原因を聞いたよね。
覚えているかな?
僕が女の子に平手打ちされたの。
あの時はどうしようかと本気で焦ったよ。
女子を怒らせた原因は弱い自分が原因だったのだから。
僕の存在を認めてくれて、僕をサハラ家なんて関係なく、ナチとして見てくれる人が居る。
けれどその解釈の仕方が誤りで、僕はサハラ家の為に存在すると考えなくてはならない。
お家の為にというあの子の発言は決して間違いではないだろう。
けれど、僕には理解出来なかった。理解したくなかった。
だから彼女の言葉を聞いていたら、何て表現したら良いのだろうね、冷や水を浴びせられた様に心がすっと冷めたって言えば良いのかな?
ダンスを踊るのが億劫になって、エスコートなんてする気にもならなかった。
自分の価値すら見分けられない、家名ばかり着飾った奴が人の事に口を出す。
どいつもこいつも人の事ばかり干渉してきて邪魔だ。
冷めた自分の中にその考えだけがあった。
だからわざと困らせて、ついでにちょっと何か言ったら平手打ち。
笑っちゃうよね。
気に入らなかったからすぐに叩く。
口で勝てないって分かっているからだ。
こんな事が原因だとは知らず、君は問うてくるんだよね。
原因を話すとなると弱い自分を晒すはめになる。
家の事に触れられるだけで感情が消え失せるなんて、正気じゃない。一種のノイローゼだよ。そんな僕を見せるわけにはいかない。
けれど、こんな僕でも君なら受け入れてくれるかもしれないと期待していた。
期待は凄く膨らんで、抑えが利かなくなりそうだった。
それでも僕が言えなかったのは、君を信用していないのでは無く、君が僕にとって最後の砦だったからだ。
最後の砦の君に受け入れてもらえなかったらと考えると怖くて仕方が無い。
君に受け入れてもらえないんじゃ、誰も本当の僕を受け入れてくれないだろう?
皆は僕をナチと呼ぶけれど、やはり僕をサハラとして見ているからね。
サハラ家の人間だから、僕に価値があるんだよ。
それに、もしも受け入れてもらえたとしたら、僕は君から離れられなくなりそうだ。
受け入れられた時の方がタチが悪い。君を手放せなくなる。
依存してしまう。僕は君から離れられなくなる。
そんなの嫌だろう?
僕だって嫌だ。
一人で立っていられない。
支えが無くては何も出来ない。
そんな自分、冗談じゃない。
君は一人で立っていられない僕を想像した事も無いだろう?
僕は強い自分で弱い自分を隠していたのだから、君が弱い僕に気付く事は無かった。
それは君が悪いのでは無く僕が悪い。
隠す僕が悪い。
だから言わなかった。
言えないよ。
信頼しているのは君で、君になら言えると思いながらも、結局は言えない。
大切だから言えるのは当たり前だけど、大切だから言えない事もあるのだと知ったよ。
嫌われたくないから。
相手を傷付けてしまうかもしれないから。
言いたいけれど知られたくない弱い自分。
だから話をそらして、最後には笑わせて、それでオシマイ。
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