ハリポタ 僕らの時代 | ナノ
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学校での僕は冗談ばかり言って、馬鹿な事やって……そうすれば皆はナチとして見てくれた。
馬鹿な事をするのはサハラ家の誰かさんではなく、ナチなのだとでもいうように。
君も、仕方無いなとかまた言ってるよとか、そう思いながらも受け入れてくれた。
僕が作り出した、僕が理想とする自分の像を受け入れてもらえた。
弱いところはない、恐いものなんてない、いつも余裕綽々で飄々とした態度で笑っているのが周りの知っている僕。
気が付けば皆の中で僕のイメージは固まっていた。
別にそれで良かったよ。
僕がナチだと見てもらえればそれで良かった。
たとえ式典に出る時の僕に少しおちゃらけた部分をつけたのが学校での僕だとしても構わなかった。
ギャップが欲しかったわけではないからね。
でも、親しくなればなるほど、周りにイメージがつくほど、弱い自分を隠すのに気を付けなくてはならなかった。
本当の自分は家名に振り回されて、自分の存在を周りに認めて欲しがる様な女々しい奴だからね。
そんなの知られたらって、考えるだけで恐くなったよ。
気持ち悪いと思うかもしれない。
拒絶するかもしれない。
皆の中での僕は弱いところはない、恐いものなんてない、いつも飄々とした態度で笑っているんだ、本当の自分とは対極だよ。
そんな僕を見せられるはずが無い。
少しも見せては駄目なのだと自分に言い聞かせた。
恐かったんだよ、自分の立ち位置が崩れてしまうのが。
本当の自分を受け入れてもらえなかったら、どうして良いのか分からない。
皆が受け入れるのは強い僕でなくてはならないのだと分かってしまったら、もしかしたら弱い自分も受け入れてもらえるかもしれないという淡い都合の良い期待すら潰れてしまったら、どうすたら良い?
学校も休みの時も、すべて強い僕だけが求められているのだとしたら……?
無理だよ。
恐い。
知る事が恐い。
知らない方が幸せな事だってある。
だから、期待は胸の底にしまった。
それで自分が満足出来るのならば、それにこした事はないのだからね。
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