はいでえ!比嘉中!! | ナノ
8/7 コネタ
テストが終わって、部活して帰って……
「知念君」
「ぬーが?」
「おばさんが呼んでましたよ」
「分かった」
母さんがいる奥の間に向かう。
「ぬーが?」
「あ、寛。買い物行ってきて」
「はーい」
買い物リストの書かれた紙とお金を受けとる。
そのまま市場に向かおうかとも考えたけど、一応一言伝えておこうかと思って皆がいる大広間に一度戻った。
「今から買い物行ってくるさぁ」
「わんも行ちゅん!」
凛君が挙手して、畳の上に寝転がっていた体を起こす。
「凛君テストで3時間しか寝てないから疲れてるでしょ、家にいたほうがいいさぁ」
寝不足で寝転がっていたのに、行きたいと騒ぎ出す凛君。
「どうして行きたいの?」
「えー……」
「平古場君、何考えてるの」
永四郎君が凛君のよそよそしさに反応する。
確かに、何か隠してる。
市場に何かあったっけ?
「一緒に行ったらお菓子買ってもらえるかなーって」
「君ねぇ、知念君にたからないの」
「えーでもわんチョコ食べたい」
「だったら帰り道で花火買った時に買えば良かったじゃない」
「花火の方に気がとられてたさぁ」
凛君が頭を掻きながら唇を尖らせている。
よほど、甘い物が食べたいらしい。
「凛君勉強頑張ったからね、お菓子買おうか」
「しんけん!?」
「うん」
永四郎君がため息をつく。
「甘やかしちゃ駄目でしょ」
「でも凛君、勉強頑張ったさー」
「本来なら赤点を取る前に頑張るべきなんですけどね」
もっともな事を言われて笑ってしまう。
凛君は気にした様子もなく、起き上がって隣に並んだ。
「わんは行ってくるさー」
「200円までだからね」
「わーってるよ」
「凛ずりー!」
「悔しかったら裕次郎も補習に出れー」
「わんは補習になる前に頑張ったんばー!」
「関係ありませーん」
「木手ー!わんになんかご褒美ちょうだい!」
「俺に話をふらないで下さい」
「木手が冷たいー!」
「元々やっしー」
「そうだな」
さっきまでの嘆きは何処に行ったのか、あっさりと凛君の台詞に同意する裕次郎君。
永四郎君がため息をついた。
「じゃあ、行ってくるさー」
「はい行ってらっしゃい」
一緒に出かけると、凛君は隣で嬉しそうに変な歌を歌っている。
「それ何の歌?」
「知らん。クラスの奴等が歌ってて、テンポ良いから覚えたさー」
市場へ向かって、母さんに渡された紙を見る。
豚の耳と魚とスイカ。一体何の組み合わせだろうか。
「明日はミミガーか?」
「今夜かも」
「おばちゃんはもう夕飯作ってるさー。これは明日のだ」
「楽しみだね」
「楽しみさー!」
「先にお菓子見ようか」
「おう!」
お菓子売り場に行くと、凛君は真剣にお菓子と向き合う。
どうやら皆で食べるつもりらしく、ファミリーパックの前に腰を降ろして色々品定めしている。
「わんこれにする」
買い物籠に入ったのは、チョコレートのファミリーパック。
上が白いチョコで、下が黒いチョコのそれを持ったまま、豚耳と魚を見に行く。
魚を二人で選んで、レジを済ませて店を出る。
「チョコレート、冷凍庫に入れる?」
「今日は花火さー。川に行くんだから、袋ごと川に入れとけば冷える」
「そうだね」
買い物袋を提げて、家路に着く。
母さんに魚と豚耳を渡して、皆の居る部屋に向かう。
「ただいまー」
「たっだいまー!」
「お帰りなさい」
「おっかえりー」
「遅かったな」
凛君がチョコレートをかざす。
裕次郎君と慧君がおお!と嬉しそうな声を出す。
それを見て、永四郎君はまったく、と呟いた。
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