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お前は私に逆らうべきではない
お前は私に
逆らうべきではない
我が軍が劣勢だと伝令は告げた。
陣を崩した駒共に怒りを感じても状況は好転する訳ではない。
今は新しい策を練るべきだ。
「元就様」
思考を中断させる声に苛立ちを隠す事無く黙れと告げれば、また名を呼ばれた。
「何だ。申したい事があるならばさっさと申せ」
ただの駒ならこれだけ言えば怖気て退くはずなのに、伝令は怯むことも無く顔を上げる。
その面には血が付着していた。
「お逃げ下さい」
「何だと?」
真剣勝負の戦場で、尻尾を巻いておめおめと逃げろと?
我にそんな愚かな行為を取れとこいつは申しているのか。
馬鹿にするな。
「持ち場に戻れ」
「え?」
「聞えなかったか?持ち場に戻れと申した。そしてそこに居る者に伝えろ、決して今ある陣営を崩すなと、駒は駒らしく働いてみせよと!」
「ですが元就様!」
噛み付くように口を開く伝令に腹が立った。
「貴様らが手下どもを引きつけ時間を稼げ。我が直々に将を撃ちに行く」
引いて一生恥を晒すくらいならば、我が直々に出向いてやる。
使えぬ駒共に命令を出して陣を立て直すよりも、その方が早かろう。
「危険です元就様、なりません!」
「喧しい!」
知恵も無いただの伝令が反論など、何を出しゃばった真似を。
「良いか、貴様は我の手持ちの駒だ。駒が主に楯突く事は許さん!分かったらさっさと己が成す事だけをせよ!」
伝令は俯き、立ち上がると一礼をして去っていった。
駒が我に逆らうなど、許しはしない
07/05/11
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