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お前でなければ、誰が私を守るというのだ
お前でなければ、誰が私を守るというのだ
流れ者で稀に姿を見せては戦に加勢して、報酬を受け取るとまたふらりと姿を消す傭兵が一人。
「貴様、また来ていたのか」
「お金がつきましたので」
へらりと笑ったそいつに苛立ちを覚える。
此処は戦場。
何処の軍にも属さない軟派者が、金目当てに顔を出すような場所ではない。
「賊退治等で小銭を稼いでいれば良いものを」
「またまたそんな事を仰って」
へらへら笑うそいつが気に入らなくて頭を掌で押し退ける。
首が退け反っても声を出して笑っている。
何をすれば笑うのを止めるのだ、こいつは。
「此度の戦は大変なようですね。周りの兵から不穏な気を感じます」
「ふん、小心な駒が勝手に騒いでいるだけのこと。我の策の通りに動けば問題無い」
兵力はこちらがやや劣性だが、我の知略があれば勝てる。
それを駒達が勝手に慌てているだけの事。
「左様ですか」
戦の何がそんなに楽しいのだろうか。
毛利家を護る為以外の戦に加わりたい等と、我は思いもしない。
こやつは何故、こんなに楽しそうなのか。
そう言えばこいつ、我の軍が劣性の時にばかり現れるな。
運が悪いのか、狙っているのか。
後者ならばただの変態だ。
「それで、私の配置は自由なんですよね」
「貴様は言っても命令に背くからな。それに……」
それに、こいつは常に我の回りに居るからどこかの工作員というわけではなさそうだ。
回りをうろちょろされると邪魔ではあるが、不本意ながら道を切り開くのにこいつは毎回一役買う。
ついてくる数人の部下より使い勝手の良い存在なのは確かだ。
今では稀に現れる身元も分からぬ輩の方が、部下より背中を預けやすいなんて、とんだ話だ、まったく。
「それに?」
問うてくる相手に口の端をつり上げる。
「我を守るのが貴様の役目であろう?」
駒は駒らしく、我の為に身を捧げると良い。
07/05/11
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