デスノ 短編 | ナノ
1日の終わり
どこまでも続く真っ白な床
最近越してきた此処はとても広い
窓の外は高層ビルの立ち並ぶ世界が見渡せる
でも私は、以前の住まいが好きだった
狭い方が、彼を近くに感じるから
一日の終わり
外を眺める。
今は夜だ。
都会だけに、夜景が凄い。
星の輝きすら飲み込む、地上の光。
「リキー」
名前を呼ばれる。
先程入ったばかりなのにもう風呂から上がったのかと思いながら、Lの元に向かった。
Lの事だからまたシャワーだけで済ませたのだろう。
ちゃんと暖まった方が良いのにと、心の中で呟いた。
Lは風呂から上がったばかりで、髪の毛からは雫が垂れている。
癖の強い髪も今だけはLの目を覆う垂れ幕だ。
Lは私の姿を髪の隙間から確認した。
私が床に落ちた雫を見ていると、Lは髪の毛をタオルでガシガシと無造作に拭く。
すると毛先は重力を無視してあちこちを向くから面白い。
ドライヤーがあるのにどうしてLは使わないんだろうと、毎日思う事を今日も思った。
「そろそろ食事にするか」
そう言って、Lは台所に行ってしまった。
今日はワタリさんが来られない。
食事の準備はしてくれているので困る事は何一つ無いけれど、Lが台所に立つ姿を見るのは変な気分だ。
Lは私と自分の食事の乗った食器を持って、リビングに向かう。
私はLの後に続いてリビングに入った。
Lはいつも通り、床に置いたパソコンの前に胡座をかいて座る。
そして自分の隣りに私の食事が乗った食器を置いた。
Lは前髪に視界が覆われているのにパソコン画面を眺めている。
毎度毎度思うが、前髪は邪魔じゃないのだろうか。
Lはマグカップに注がれている(自分で注いだようだ)コーヒーを飲んだ。
私は牛乳を飲む。
Lはコーヒーばかりを飲むけれど、栄養や胃への影響を考えると絶対牛乳の方が良い。
一度Lが試しに私にコーヒーを飲ませようと私のコップにコーヒーを注いだ時があった。
あの時、顔を背けて断固拒否をしたのは記憶に新しい。
Lは食事を摂る。
私も食事を摂る。
私は食べるのが遅い。
だから、食べ終わったLに頭を撫でられた。
Lは私の頭を撫でるのが好きだ。
好きというより、癖のようなもの。
パソコンと向き合いながら隣りにある頭を撫で続けるのだ。
私が食べ終わると、Lは私の頭が動かなくなったので私を見る。
「食べ終わったのか」
Lは口の端を上げた。
Lは食器と私の食器を手に持ち、リビングに行く。
私はその後をついて行く。
袖をまくったLは食器を洗う。
水の流れる音
食器の音
骨張った手が泡だったスポンジを持っている。
私はLの仕草一つ一つが好き。
眺めているだけで、心が暖かくなる。
私は、幸せものね
食器を洗い終わったLはまたリビングに戻ってパソコンの前に座る。
私はLの隣りに座る。
するとやはり私の頭を撫でてきた。
Lの骨張った手はとても大きくて、私の頭を包む。
と、急に耳たぶを持たれた。
時々Lは私の耳たぶを持ったりするから、私は特に動じない。
でも、引っ張るのは止めて欲しい。
ちょっと痛い。
私が顔を振ってLの手から耳たぶを逃すと、Lは私の方を向いた。
「はは。済まない」
そう言って私の頭を撫でてくる。
私はそっぽを向いたままだけれど、そういう風にされるとついつい、Lの方を向きたくなる。
「リキ、機嫌を直してくれないか」
そんな事を言われたら、私は向かずにはいられない。
私がLを視界に入れると、Lは笑みを浮かべた。
暫らくして、Lは伸びをした。
私は欠伸をする。
「もう眠いのか?」
頷いて返事をする。
Lは私の頭を撫でる。
Lの手に撫でられるのは気持ち良い。
私はよりいっそう眠くなって床に寝転がった。
「だいぶ眠そうだな」
Lは笑った。
パソコンの電源を落とす音。
Lは私を骨張った手で軽々と抱き上げる。
「寝ようか」
私は頷いた。
Lは私を抱き上げたまま寝室に向かう。
部屋に入って、ベットに降ろされた。
枕元のオレンジ色の電気の中でLはベットに入る。
私はLの頬にキスをした。
Lは特に動じず電気を消す。
「おやすみ、リキ」
「ニャー」
おやすみなさい、L
〜戯言〜
いかがでしたでしょうか?
最初、ヒロインは何者だと思いましたか?
食器を持つのも洗うのもLだし頭撫でられたりなので、ヒロインは子供だと思われたのならば万歳です!
ヒロインは猫だった、という話でした。
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