デスノ 跡継ぎ 番外 | ナノ
文章修行家さんに40の短文描写お題
文章修行家さんに40の短文描写お題
です。
決まりは65字前後で文を書くというもの。
気紛れにちまちま更新します。
注意事項はタイトル横に表記。
本文後、一行空けた下にあるのは蛇足です。
01 告白 【65字】
彼女は私の過去を知っていて、私は彼女の過去を知らない。それを言えば彼女は苦笑を浮かべた。
そして一言。
「過ぎた事は忘れるタチなんだ」
その笑顔が貴女の過去を物語る。
02 嘘 【65字】
出かける際にドライブを提案して断られるのは何度目か。元気に振る舞う彼女に、病気は誤診だと嘘でも良いから言って欲しいと思う身勝手さ。
貴女が元気なら、他に何も望みません。
病気など嘘だと、笑って言って欲しい。
03 卒業 【65字】
長いことLと共にいて、Lは私の力など必要ない位に成長した。
私はもう、Lを降りよう。
さぁL、巣立ちなさい。
君の力で未来を掴みなさい。
でも、稀には帰ってきてくれると嬉しいな。
勿論私からも、会いにゆくよ。
04 旅 【65字】
仕事で沢山の国を回ったが、一度も観光はしなかった。ただある物を見て感動する性格ではなかったから。
けれど今は、日常すら美しいと思う。
私はこんなにも変わった。
変わる事が出来た。
世界の美しさに胸が苦しくなる。
ああ、どうか、一日でも長く、生きたい
05 学ぶ 【65字】
大人は子供に沢山教える事がある。
それは、生きていく為の知恵だ。
対して、子供も大人に教える事がある。
それは愛し方と、世界の美しさだ。
遠い昔に置き去りにしてきた感覚、思いを君は思い出させてくれる。
そんな君が、愛しい。
06 電車 【65字】
隣に座るLがもたれかかってきた。
今日は電車で隣町まで行って散策したから疲れたのだろう。
揺れる車内。
橙の光が射し込んで、Lを染めた。
起こすのが忍びない。
しかしもうすぐ、降りる駅だ。
どうしようか……。
07 ペット 【63字】
庭に迷い込んだ猫を抱き上げたL。止めなさい、引っ掛かれでもしたら細菌が入るよ。言おうとして止める。Lは猫を愛しげに撫でていた。
野良猫だろうか?
飼いたいとワイミーに伝えてみよう。
08 癖 【66字】
ワタリは嘘を吐くと笑う。
Lはそれを知らないから、ワタリの嘘に騙される。
「L、実は私と彼女は伯父と姪なんですよ」
「そうなんですか!?」
……何で騙されるかな。
それだけ私を信頼してくれているのですよ。
信頼を失うぞ、ワタリ。
つい反応が可愛くて。
09 おとな 【64字】
彼女とワタリは稀に議論をする。
その内容は日常の事から未知の世界の話までで、いつも議論に参加できない自分に少しだけ淋しさを感じた。
あなたたちの話についていきたい。
けれど私はまだ浅はかで……。
早く大人になりたい。
10 食事 【65字】
「こら」
ペチ、と伸びた手を叩けばねめつけられた。
Lは大人になって偏食ぶりが加速した。
今では主食が甘い物。
どこで育て方を誤ったのか。
こういう時、叱るのが彼女だったら言う事を聞くのだろうか?
11 本 【65字】
書庫に溢れた本から一冊を選び開くとページが取れて、はらりと落ちた。時間と共に傷んだ本は、彼女が己に言い聞かせていた詩を私に教えた。
青いラインが引かれた詩。
Is not miserable to be blind.It is miserable to be incapable of enduring bulindness.
『盲目が不幸なのではない。盲目に耐えられない事が不幸なのだ。』
12 夢 【65字】
Lを降りたら何をするか?
君のバックアップに決まっているだろう。
え?他にやりたい仕事?
そうだな、先生をやってみたいな。
え?嫌?何で。
「私だけの先生でいて欲しいんです」
「……」
「黙らないで下さいよ」
ビショップが可愛い事を言ってくれるからだよ。
13 女と女 【65字】
Lが模試を受けたいと言うので受験させたら、七学年上のクラスで満点を取った。それにより、近所の教育熱心な主婦に捕まる事が多くなった。
「どのような教育をなさっているんですか?」
「特にこれと云って、変わった事はしていませんよ」
「またご冗談を。ビショップ君は七学年上の勉強が出来るんですもの、並大抵の学習方法ではないでしょうに」
一般的な勉強方法を知らない私に言われてもな。
14 手紙 【65字】
「ワタリ、手紙」
新聞と共に届いた紙切れはワタリを笑顔にした。
Lが興味津々に手紙を見ていて、私達に手紙は来ないよ、とは言えなかった。
そうだ、今度、Lに手紙を書いて郵便ポストに投函しよう。
嗚呼でも私が差出人はな……。
学会にでも参加するか。
そうすれば手紙が来る。
15 信仰 【65字】
絶対なんて無いと彼女は笑う。
けれど私には彼女の存在こそが絶対だ。世界が白と言おうと彼女が黒と言えば黒になる。
それは危険なまでの……
誰かに従順になるなどあってはならない。
なのに彼女の存在は、私の中では神にも勝る、尊い存在。
16 遊び 【65字】
庭に水を巻いているとLが寄ってくる。
そしてLがびしょ濡れになるまで続く水遊びを、Lは存外気に入っている。
だだっ広い庭が活気づく夏。
この庭で子供の笑い声がする日が来るとは思いもしなかった。
17 初体験 【65字】
L、と呼ばれたと思えば後ろからぎゅうっど抱き締められた。温かいね、と言って私を包む彼女のほうが温かい。
私は私を抱く腕に抱きついた。
抱き締めた腕にしがみつくのは初めてだ。
嫌がられてはいないだろうか。
そんな心配を払拭するように、ケイは私をぎゅっとより強く抱き締めてくれた。
18 仕事 【66字】
犯罪者と英雄の違いは、腐敗と醗酵の違いと同じと言います。では、私達の仕事は?
問う少年に、彼女は一言。
「己が信念で動くか動かないかだ」
「例えば政治家から頼まれて、誰かの悪事を捏造するとか、ね?他にも、色々」
「そんな仕事が来るんですか?」
「ビジネスだからね」
信じられないという君に、小さく笑う。
知らないほうが良い。
君は君の道を歩みなさい。
19 化粧 【65字】
ドレスアップした彼女に言葉を失う。
犯人に接近する為に社交界へ行くらしい。
「綺麗です」
危険だと言うつもりだったのに、本心が先に出た。
「紳士だね、ありがとう」
笑うケイに、危険だからやめて下さいと言えなくなった。
20 怒り 【65字】
平素朗らかな人ほど怒れば怖いと言う。
では彼女は怒るとどうなのかとワタリに聞けば
「彼女は他人に腹を立てる事はありませんよ」
と言われた。
ケイが腹を立てるのは己の過失に対してだと、ワタリは淋しそうに言った。
他人に期待をそもそもしないから、腹を立てる事もないということだろうか。
-------new!-------
21 神秘 【65字】
Lについて調べると、Lは世界の頭脳でその素性は誰も知らないとあった。彼女を見る。彼女は私の視線に気付いて、穏やかに微笑んでくれた。
誰も知らないはずのケイを私は知っている。それは、奇跡のようなもの。
22 噂 【65字】
あの豪邸に住む人は奇異な人だと言われている。男性は発明家、女性はフリーター、子供は突然現われて居座った。
人は口々に言う。
近づくなと。
しかし午後に庭を見ると、庭に水を撒く女性と子供の姿が見られる。二人は楽しそうにしていて、奇異には見えない。
23 彼と彼女 【65字】
「ワタリ」
「はい」
名を呼ぶだけで意思が伝わる二人。彼女とワタリの間にある関係が羨ましい。私もいつか二人と、そう思わずにいられない。
「ケイ」
名を呼ぶと彼女はこちらを見て、少しの後に手招きした。近づけば、膝の上に座らされて、抱き締められた。
「どうして分かったんですか?」
驚く私にケイは一言。
「Lの事だからだよ」
24 悲しみ*ヒロイン亡き後 【65字】
人が住んでいない家は、庭も荒れ放題だ。彼女が作った家庭菜園も、雑草が覆っていて。彼女がいた証拠が徐々に消えゆく世界に、胸が軋んだ。
写真も残さなかった、記憶にしか存在しない貴女。唯一形としてあった証拠すら、時の流れに消えていってしまう。
25 生 【64字】
「子供は元気だな」
そう呟いた彼女の笑みの中に少し疲れが見えた。決して笑みを崩さずにいる彼女の体の限界、生の短さを垣間見た、瞬間。
「ケイ!」
ビショップの声に、ケイは表情からパッと疲れを消していつもの笑みを浮かべた。
「そんなに心配させたくないのですか?」
少年に歩み寄る彼女に小さな声で問えば、こちらを向いたケイは困ったように笑っていて。本当はワイミーにも心配させたくないのだがな。と言われた。
26 死 【66字】
Lになってからは死体など見慣れていた。だから、Lが鳥の死骸を見つけて顔を歪めた時、本来ならば畏怖の念を持つのかと、そんな事を思った。
様々な骸を見ていると、いつしか感覚が麻痺して骸もただの物になる。
27 芝居 【66字】
「オペラを見に行こう」
彼女の突然の提案に驚きつつも、支度をする。
生のオペラは声が凄くて、鳥肌が立った。
これが衝撃、というのだろうか。
帰りの車内。
余韻に浸っていると、ケイは微笑んでこう言った。
「稀には芸術に触れるのも良いだろう?」
28 体*夢主の過去捏造 【66字】
ノックを忘れて彼女の部屋に入った事がある。彼女は丁度上着を着るところで、その体に数多の傷があるのが目に入った。
彼女はすぐに服を着た。
「どうしたのかな?」
服を着たケイは、何でもない調子でそう言った。私は言葉が出なかった。
目に、ケイのボロボロの背中が焼き付いて、離れない。
29 感謝 【65字】
リビングへ行くと、朝食の用意が成されていた。稀に二人が私を労って、家事をすべて引き受けてくれるのだ。私は感謝を述べて、席についた。
「今日はまた、何でですか?」
「今日はワイミーが初めて特許をとった日だ。お祝いして当然だろう?」
ビショップがゼリーを持ってくる。
起きたての胃の調子を考えて、ケイとビショップが作ったのだろうゼリーは美味しくて、胃にすんなり納まった。
30 イベント 【64字】
庭に椅子を置いて、座る。ビニールシートのような物が首から下を覆った。「では、切るよ」彼女は銀の鋏を持つ。月に一度行われる、理髪。
「はい、目を閉じて」前髪を切るケイ。出来上がりを見て、ケイは本当に何でも出来るのだと、知る。
続きはまた後日。
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