※ヒロイン攻めです。 全てがツいていなかった。 デートをこの日にいれたことも、その日にバイト仲間の田村さんが風邪を引いたことも、そのせいで私が代わりに入るはめになったのも、お詫びにケーキを買いに地元のケーキ屋さんに寄ったのも、サプライズ的なノリでトキヤに連絡をしなかったのも、扉をノックもせず開けてしまったことも。 「トッキヤー!おまたs、!?」 「!!!」 思わず扉を閉める。 今、私は何を見た? え、マジで? 見間違い? え、いや、でも。 混乱する頭がどうしても見間違いであって欲しいと叫んでいるが、理性が言っている。 あれは、見間違いじゃないと。 なんでこんなにしっかりばっちり見えちゃったんだ、あの一瞬で。 ベッドに前屈みになって、下半身を晒して、自分のモノを擦っていて、おまけに前のデートの時に置き忘れた私のハンドタオルに顔を埋めていたような。 なんで見えちゃったんだ、こんな鮮明に。 廊下に佇むこと約5分。 段々と冷静になってきた私は、そろそろ中のトキヤに話し掛けてみるべきかと考えた。 うん、多分トキヤからは出てきづらいだろう。 今度はサプライズをすることなく、はっきりと、大きな音でノックを2回鳴らした。 「…」 待っても返事がない。 うーん、と対処法を考えてみたものの特にいい案が思いつかなかったので、ストレートにいくことにした。 「はい、開けるよー」 ドタンバタン、ドンガラガッシャンと中からコメディみたいな音がした。 「ごーよんーさんーにーいち、」 ゼロ、と同時に扉を開ける。 部屋を見回す必要もなく、トキヤは明らかにこんもりとしたベッドの掛け布団の中に引きこもっているようだ。 「お邪魔しまーす」 こんもりお山に向かって呼び掛けると、一度もぞりとお山が動いた。 返事はしてくれるらしい。 「ケーキ買ってきたよ」 「…」 お山が動かない。 「トキヤには低カロリーのキャロットケーキ買ってきたから」 もぞりとお山が動く。 どうやらキャロットケーキはお気に召したらしい。 「冷蔵庫に入れていい?」 もぞりと動くのを確認してから私は慣れたようにキッチンに行き、ケーキの箱を突っ込んだ。 なんとなく野菜室を覗いたら、大量の野菜が入っていた。 さすがトキヤ。 さて、トキヤの元に戻ってきてはみたが、相変わらずこんもりお山と化したままだ。 これでは会話もまともにできない。 「あー、今日遅れてごめんね」 もぞりと動く。 「怒った?」 動かない。 「寂しかった?」 もぞりと動く。 あ、寂しかったんだ。 困ったなあと頭をかく。 私に会いたくて寂しかったのならさっさと布団から出てくればいいのに。 アンタ乙女か。 割りと(結構) がさつな性格の私には、今のトキヤの行動がよく分からなかった。 いつまでも隠れてたって仕方ないのに。 まあ、今そんなこと言ったら一生布団から出てこないでニートにでもなりそうだから、ここは穏便に事を済まそう。 「トーキヤ、出ておいで?」 「…」 「私、トキヤの顔見たいなあ?」 「…」 「私なーんにも見てないからさ?」 「…」 布団のもぞもぞ動きもなく、まるで私が独り言を言っているみたいだ。 ああもううざい! 「たかがオナニー見られてなにそんな落ち込んでんの!?女々しい!私そういうの嫌い!!」 ちょっときつい言葉を選んだが、効果は抜群のようだ。 肯定でもないのに、お山がもぞもぞ動いている。 そうして、ゆっくりとトキヤが顔を出した。 「お邪魔してます」 「………ええ」 明らかにテンションが低いトキヤ。 目元が若干赤い気がする。 あれ、まさか泣いた? 「…目、赤くなってるよ。冷やさないと」 「…はい」 ひとつ返事をしてふらりと洗面所に消えていった。 いつの間にか下を履いているトキヤは器用というかなんというか。 タオルを濡らして目元に当てながら、トキヤは重たい足取りで戻ってきた。 笑顔で迎えてやろうとにっこり微笑んで見せたら、顔を歪ませて泣きそうな顔をする。 だからなんなんだ。 「…私を、…に、…ましたか?」 「はい?」 ぼそぼそ喋られても聞き取れない。 耳に手を当てダンボちゃんにして聞き返したら、トキヤが思い切り抱き付いてきた。 勢いがそれなりにあったため、支えきれず後ろに倒れる。 床に頭をゴンと打ち付けて若干不機嫌になる私。 「なーに、もう…」 「…私を、嫌いになりましたか?」 ラグビーのようにお腹の辺りにタックルをかまされたため、トキヤが私を見上げるような体勢になっていた。 クール系担当だったはずなのに、なんだかどこかの誰かさんと同じくわんこみたいだ。 「別に嫌いになってないよ」 「ですが、貴方さっき嫌いって…」 「ああ、あれは言葉の綾。うそうそ、好き好き」 可愛いトキヤに免じて優しく慰めてやろうと濃紺のさらさらの髪を手櫛でとかした。 笑顔もオマケして。 そうすればトキヤも微笑んで、さっきのこともなかったことにして、さあデートを仕切り直そう! そう、思ってたのに。 足に違和感。 思わず鋭い目でトキヤを睨んだと思うが致し方ないと思う。 一方トキヤはそんな私の視線に気付かず、頬を赤く染めてもじもじしていた。 「……あのさ、抜いたんじゃなかったの?」 無意識に冷ややかな声が出た。 足に当たっていたトキヤのズボン越しに固くなったソレを膝で小突いたら、正直に身体をぴくんと跳ねさせる。 もうなんなのコイツ。 「ん、…名前が来たから、イけなかったんです、」 私のせいか。 えええ、これどうしたらいいのなんなの私が悪いの? 「………お手洗いに行ってきます」 ゆらりと起き上がったトキヤは若干前屈みになりながらトイレに向かった。 そして、私は何故かそんな彼の腕を掴んで引き止めていた。 「離して、下さい」 トキヤは辛いのか、息を上げてそう言った。 「………責任、とるよ」 「!」 あーあ、言っちゃった。 「それって、」 「た だ し !最後までしないから!私が手伝うだけ!オッケー!?」 「お、おっけー…」 「はい、じゃあさっさとベッド行く!」 トキヤが可哀想に思えて言い出したのは私だけれど、この状況にトキヤ以上に対応できてない気がする。 だって、トキヤのこんな状況に出くわしたことないし、アレだってみたことないし、ソレだって見たことないし、触ったことないし(あ、さっき膝で触ったわ)、兎に角なにもかも初めてなんです私!!! 「えーっと、取り敢えずズボン脱ごうか…?」 「はい…」 ベッドの上で膝立ちになったトキヤは、カチャカチャとベルトを外してズボンを膝まで下ろした。 見えるのはこんもりと盛り上がった股間。 狼狽える私。 頑張れ、頑張れ私…!! 「さ、触っていい?」 「はい」 手をそろりと伸ばし、下着越しに優しく撫でるとソレはぴくんと動いた気がした。 何度か擦ると、トキヤは恥ずかしそうに長い睫毛を伏せ小さく吐息を漏らした。 なんかちょっと楽しい。 私に加虐性があったつもりはないが、こんな可愛い反応をされたら意地でも気持ちよくさせたくなる。 先の方をぐりぐりと指で刺激したら、さっきよりも気持ちいいのか眉間の皺が深くなった。 ぐっぐっと力を込めると、イヤイヤと首を横に振られる。 「ダメ、です」 「ダメ?痛い?」 「いえ…」 「はは、気持ちいいんでしょ?」 意地悪く笑ったら、トキヤはカッと顔を赤くさせた。 どうやら図星のようだ。 まあ、そうだよね、気持ちよさげだし、ソレは固いまんまだし。 「さあて、パンツ脱ごうか」 「え!?」 「なに?パンツベタベタに汚したいの?」 「そうではなく…」 言葉を濁したトキヤは、視線をうろうろとさ迷わせた後、ちらりとこちらを見て言った。 「…貴方は平気なのですか?」 「何が?」 「その、…私の、見れますか?」 「ああ、無理だったら無理って言うよ」 「それはそれでへこみますね…」 本当に落ち込んでるトキヤの頭を犬の如くよしよしと撫でると、下ろした掌に頬をすり寄せてきた。 本当に犬みたいだ。 「下ろすよー」 一声掛けて、私はパンツの左右に指を引っ掛け、一気に膝まで下ろした。 すると、びよんと飛び出てくるトキヤの息子さん。 初めて見る男の人のソレに好奇心を抑えきれず、じいっと観察した。 うん、なんか、予想してたよりも大丈夫かもしれない。 もっと赤黒くて、血管が浮き出ていて、毛がもじゃもじゃで、兎に角グロテスクなものだと思っていたけれど、なんだかそうでもない。 ピンクっぽいし、血管はまあ確かに浮いてるけど、毛も控えめで、グロテスクとは違う気がする。 「…ちょっと、いつまでそうしてるんですか」 頭上から声を掛けられて我に帰る。 「大丈夫だった!トキヤの息子さん可愛いね」 「なっ!?」 顔を真っ赤にさせて、切れ長の目をまんまるく見開き、口をパクパクとさせ何か言いたそうだ。 普段見ることのないトキヤの間抜け面が可笑しくてつい笑ってしまう。 「貴方って本当に…」 「なによ」 「……いえ、なんでもないです」 そんな途中まで言っておいて気になるじゃないか。 けれど、膝立ちで下半身を晒し、恥ずかしそうに太股をすりすりと擦り付けているトキヤの方が気になって仕方なかったので、取り敢えずそっちの相手をすることにした。 明確になった先端を親指で擦り、竿の部分は軽く握って上下に扱く。 やればやるほど熱を帯びるソレに、トキヤが気持ちいいのだと実感する。 「ん、っは、ぅ、」 小さな喘ぎ声を頭上に聞きながら、私は如何にソレを気持ちよくするかを考えた。 ぶら下がっている袋を揉みながら刺激するとより気持ちいいのだと研究の末明らかになった。 あと、トキヤは先端に爪を立てられるのがイイらしい。 Mなのかな、とか思う。 暫くするとくぷっと我慢汁が溢れてきて、ねっとりするそれを指で伸ばしてみる。 「、名前、ん、う」 恥ずかしがって嫌がる姿はまるで女の子のそれだ。 私も女だけれど、これは堪らない。 もっと、もっとしていいかな? トキヤが目をぎゅっと瞑っている隙にたらりと汁を垂らした息子さんに口を寄せた。 舌をちろりと出し、先端の溢れてくる部分をぺろりと舐める。 「ひっ、ちょ、何やってるんですか貴方!!」 「何って…。ダメ?」 我慢汁は苦くて美味しいとは言えないけれど、なんかトキヤのなら平気かも。 愛ってやつなのかな、これは。 「ダメですよ!汚いでしょう!?それに不味いでしょうし!」 「うーん、確かに美味しくはないけど、トキヤのならなんか平気」 「!」 ちょっと笑ってみせて、もう一度口を付けた。 咥え込んで口を窄めて頭を上下に動かすと本格的なフェラになってくる。 カリをぐるりと舌で刺激すると、びくっと動く口内のソレ。 「っん、」 唇を噛み締めて必死に快感に耐えようとするいじらしい姿を見上げながら、ラストスパートをかけるようにじゅぽじゅぽと激しく扱く。 口一杯に苦味を感じるし息苦しいけど、なんとか耐える。 「じゅ、ん、じゅぽ、じゅ、」 「ん、名前っ、も、出ます、…っく」 トキヤは目元に涙を溜めて、低く呻いたと思ったら、ドクンと脈打つ口内のソレ。 急なことで私はなんの構えもできず、喉の奥に熱い液を吐き出される。 ズルリと力なく抜けていったトキヤのモノから溢れていた残りの液が私の顎を伝っていった。 「っは、名前、ペッて、なさい」 イった余韻で疲労感を出すトキヤが、ベッドサイドにあったティッシュケースからティッシュを数枚取り出し、私の口元に持ってきた。 私は素直にそこに吐き出す。 喉のネバネバした感じは拭えなかった。 「…すみません、口の中に出してしまい…」 罪悪感があるのだろうか、ベッドの上で項垂れるトキヤが小さく見えた。 まあ確かに口内に出されて嬉しいとは思わないけど、トキヤが口内に出したいというなら別段構わないかなあとも思う。 その旨を伝えると、トキヤは涙の溜まった目尻を赤く染めて眉をハの字にさせた。 「貴方って人は…」 「だーかーら、なによ?」 唇の周りに残っていたトキヤの精液を舐め取る。 苦い。 「!…………いい加減、私をこれ以上貴方に依存させないでください」 「ん?」 よく意味が分からなくて首を捻ると、トキヤは私の唇に自分の唇を重ねて、舌を吸い上げてきた。 「…今度は私に、貴方を愛させてくださいね」 そうして、私から離れられなくなってください。 そう言って、トキヤはもう一度私に軽いキスをした。 「あ、オナニーで使ってた私のハンドタオル、ちゃんと洗って返してね」 「…(覚えてましたか…)」 |