「みょうじさんが目を開けました!」


目を開くと白い天井で高い女性の声が響いた。聞き覚えのない声に戸惑うも前にお世話になった病院のベッドの上にいると考えてから分かった。

医師や先程の声をもった看護師がこちらに駆け寄ってくる。2人とも笑顔を私に向ける。
頭がクラクラとしつつ、声を出そうにも久々に出していないかのような枯れた声が口から溢れた。私は一体何が起きたのだろう。


「みょうじさんが起きてくれて本当に良かったよ。気分はどうかな?」


医師は気さくに声をかけてくれる。
大丈夫です、と何とか声を振り絞る。
日々仕事があるせいか医師の髪は前にお世話になったときより少し白髪が増えたような気がする。私が怪我をしていなければここまで迷惑かけることはなかったのに、と少し後悔した。


「手足は動かせるかな?」


手足…?何故そのようなことと思いながら身体を動かすと変な感覚に陥る。
手足は動かせるのだが、動かしたという感覚が通常時より弱い気がしたのだ。


「…変な感じですね」
「少し違和感があるんだね?」


そのまま検査を受けることになった。検査室へ行くまでフラフラと態勢が安定せず何回も転んでしまった。
自分の身体がおかしい。確かに以前は脇腹を銃弾の擦り傷を受けたが手足は動かせた筈だ。それなのに今回は背中を刺されて足がおぼつかないフラフラとした感覚に加えてどこか足が浮くような、しっかりを地面を踏んでいるのかよく分からなかった。
終始看護師と松葉杖に支えてもらうことになり、看護師に謝り続けることになった。


「心配してたのです、みょうじさんは背中を刺されてしまったので脊髄が損傷されてるのでは…と」


医師の話を聞き続けると、やはり妙に感覚が弱いのは背中を刺されたことによる軽度の損傷だったようだ。まだ軽度で済んだのが幸いで奇跡のようなものだったらしい。


「それとね、筋力が落ちているんだと思う」
「はぁ………筋力ですか?」


頭にはてなマークをたくさん作りながら医師に問いかける。ふと医師のデスクを見ると卓上カレンダーが置かれていた。カレンダーを覗き見ると先程の医師の話が吹き飛んでしまった。そこには私が思っていた日付と違かった。


「…5月?」


思わず口に出した。おかしい。総理のお見合いも、SPから山小屋へ逃げたとき、総理の就任パレードだって冬だった筈なのに。


「みょうじさん。驚くかもしれないけど、君は4ヶ月は眠っていたんだ」


5月…その言葉を反芻させて無理矢理理解しようと試みても今の私には不可能だった。ただ愕然とするばかりで窓の外をじっと見つめることだけだった。


「あれから…どうなったのですか?」
「そうだね、みょうじさんがここに運ばれた所から話せばいい?」
「……はい」


まるで操り人形のようにカクンと頭を縦に振ると医師は口を開いた。


「そうだね…あのときは連日みょうじさんのことで報道されていたね」
「え、報道?」
「そう、名前や顔は伏せてね。未来機関の人間が刺されたという事実に当時の石丸総理はパレード後の会見で真剣に語ってくれたよ…」


話の中で総理の名前が出てきてつい反応してしまう。医師の話から私の頭の中で総理の姿がうっすらと思い浮かぶ。


「…『平和を脅かす絶望の残党を処刑する』…総理の言葉は非常に過激的な発言だったが彼を非難する声は一切上がらなかった」
「…総理がそんなことを…」
「ああ。未来機関は絶望の残党を保護したかったらしいが当時の国民は未来機関に反発する者が多かった。
だって身内や友人がそいつらに殺されているのだからね。未来機関は保護した後どうするかの情報を一切出していなかったから。総理の処刑の言葉に国民だけでなく世界中が賛同した」


弱々しくなった手でぎゅっとシーツを掴む。彼は本当にあの総理なのだろうか?彼なら未来機関のように保護派だと思っていたのだけれども…私が長い間眠っているときに彼の心境が変わったのだろうか。


「総理の言葉に未来機関もやむなく処刑の動きを見せた。それから1ヶ月ぐらいだったろうか。江ノ島を遂に捕らえ、処刑を執行したんだ」
「え、江ノ島…あの江ノ島盾子ですか?」
「ああ、彼女は抵抗しなかったらしい。最後に行った彼女の処刑によって絶望の残党は1人残らず全滅した」


江ノ島盾子…彼女はもうこの世にはいない。きっと本当のことなのだけれど、私は江ノ島が何処かで生きているのではと不穏なことを考えていた。彼女があっさりと死んでしまうのか。いや、死ぬことの絶望を期待して死んでいってしまったのか。いずれにせよ彼女はもういないし、彼女の気持ちも理解出来そうになかった。


「そしてその後だよ…総理が辞職したのは」

「…えっ?」


その言葉に驚かずにはいられなかった。心臓が一瞬にして高鳴り、反射的に背筋をピンとさせる。


「そう、石丸総理は自ら総理を辞職したよ。辞職を惜しむ声も上がったが総理は考えを変えなかった」
「そ、それで石丸総理は…」
「いや、テレビから本当に姿を消しちゃったよ。どこかの議員になっているかと思ったけどその様子も見られなかったしね」
「…そ、そうですか………」


その言葉に酷く力が抜けた。私はテレビ越しでも総理…石丸さんの姿を見たかった、声を聞きたかったのだ。
もうテレビに出ないとなるともう会えない。取り残された孤独感を感じ、胸がチクチクと痛み出す。


「……話は以上だよ。私はそろそろ戻ろう」
「すいません、長々と」
「私も長話をしたかったからね。…そうだ、みょうじさんに渡さなきゃだね」


個室の中に入る数名の看護師達、彼女達の手には綺麗にラッピングされた箱や手紙が私の手元にやってきた。


「…あ、あの!どういうことでしょうか?」
「これらは全てある人物から贈られてきたものだ」
「ある人物…?」
「みょうじさんが目を覚ましたら渡してほしいって書き置きされていてね。みょうじさんのことを大事に考えているんだね」


その人の為にも頑張って退院しないと。
そう言い残して医師や看護師は去っていった。個室は私1人。無音の部屋の中でラッピングされているリボンを解く音だけが響いた。


「…綺麗」


箱の中はドーム型のプリザーブドフラワーだった。ガラスのドームに囲まれて咲き誇るのは鮮やかな赤色を持つ一本薔薇だ。
綺麗な贈り物をそっと隣のテーブルに置き、多くの手紙を読む。

律儀に日付まで書かれている為、折角だから古い日付から読むことにした。


「っ!」


手紙を開くと書かれていた文字に息を飲む。達筆な字、筆圧の濃さ…このような文字を書く人は私の周りでは1人しかいなかった。

仕事の話や近況報告が殆どだったものの、節々から私のことを心配するようなことも書かれていた。
その仕事内容も先程医師から聞いたものと全く同じであった。

手紙の日付をたどりながら読んでいき、遂には後1通だけになってしまった。
日付は3日前とかなり最近のものだ。今あの人は何をしているのだろうか。
しかしその手紙には今までのような長文ではなかった。

『ずっと君を待ち続けている』

この一文だけだった。よく見ると右下に住所が書かれている。その住所は以前私が働いていたあの洋館だった。間違いない。差出人は石丸総理だ。
私は退院後にそこへ向かうと決意した。


決意した日から1ヶ月程で退院出来た。今では手足の感覚も戻りつつあるが、やはり万一のこともあって松葉杖を暫く借りることになった。車であの場所まで送ってもらうと酷く驚いた。そこは住宅街になっていたのだ。
前までは洋館だけあって他は外から守るように木々が生い茂っていたのに。
ここ数ヶ月で変わってしまったんだなとノスタルジックに浸る。
住宅街でも変わっている所を発見する。庭が家一軒分ある広さでその真ん中にドンと二階建ての家が建っていた。何よりもそこの表札がみょうじと書かれていた。

恐る恐るインターホンを鳴らす。すると聞こえるのは男性の声…なのだが思っていた声とは違う。この鋭い声は聞いたことがある。

もしかすると…そう思い声に出してみた。


「…十神さん、でしょうか?」
「…ああ。俺と分かれば充分だな」


インターホン越しでも鼻で笑われたような気もするが、十神さんの部下と思われる人が出てきて門を開けてくれる。玄関まで歩くと十神さんが出てきてくれた。


「…すいません、わざわざ開けていただいて」
「構わん。"お前の家"なのだからな」
「え?でもここは…」
「代われ」
「はいぃっ!?」


唐突に情報が出て来てパニックになる。その姿を見て十神さんは深い溜息をついた。


「俺はこんな所でボディガードやってる場合じゃないんだ。喜べ、俺が直々にお前を認めてやる。ボディーガードの素質があるってな」
「はぁ…」
「今までよりは楽な仕事だぞ?」


じゃあな、と何人かの部下を引き連れて十神さんは車に乗って行ってしまった。
失礼します、と小さく声を出しながら玄関に上がる。


「みょうじくんか!?」
「…!」


タタタと足音を立てて玄関までやってくる。その人物は間違いなく石丸総理だった。また一段と大人の風貌になりつつある彼は私を見た瞬間にブワッと涙を零し私を抱きしめた。外見は変わっても中身はとても彼らしかった。


「総…石丸さんっ!?」
「意識が戻ったというのは本当だったのだな!ああ、夢なんじゃないだろうか!?うう……みょうじくん…」
「石丸さん…っ、く、苦しいです!」
「はっ!ああ、すまない…」


彼の腕からやっと解放される。途端に会いたい気持ちがやっと叶ったのと同時にもらい泣きをしてしまったようだ。


「みょうじくん…大丈夫かね?苦しくて泣いていたのか?」
「いえ、感動しちゃって…上がってもいいですか?」
「ああ、もちろんだ!というより"君の家"に僕はお邪魔しているのだからな!」
「私の家…?」
「まず部屋に行こうではないか。お茶を淹れるぞ!」


リビングで石丸さんが淹れてくれたお茶を飲む。彼らしいお茶でとても懐かしい気持ちになる。


「とても美味しいです」
「そうか、それは良かった」
「あの、石丸さん…ここって私の家なんですか?」


そう言うとああ、と彼はニコリと笑った。


「僕が総理大臣を辞職したのは…」
「存じてます、でも何故辞職を?」
「そうだな…最初から話すと、僕がパレードに参加したときに君は絶望の残党によって意識不明の重体に陥った」
「…はい」


そう頷くと彼の顔は深刻そうな表情になり暫くお互い沈黙だったものの石丸さんの方から口を開いた。


「……未来機関の者が刺されたと聞いた僕は思わずそっちへ近づいたのだ。それがみょうじくんだったと知って酷くショックを受けてしまった。それと同時に自分の不甲斐なさと絶望の残党に対する憤りが僕の中で膨れ上がった。

…みょうじくんを守れなかった僕に何が出来るだろうか。そう考えた結果、僕は最後に残った考えに辿り着いた」
「……絶望の残党の処刑、ですか」


彼は私から目線を逸らさずにゆっくりと縦に頷いた。


「…今思えば僕らしくない感情的な決断だった。そうしてみょうじくんが絶対に意識を取り戻す訳でもないのに。それでも僕についてきてくれた未来機関や国民の人々には感謝している」
「…そうですか。……でもその決断は正しかったと判断しています。だって今もこうして平和なのですから」
「…ああ、ありがとう。…平和になったからこそ、全てを終わらせた後にこうして辞職することにした。建前としては綺麗な辞め方…とでも言うのだが、本当は絶望の残党を間接的に殺す命令を出した自分を精神的に追い詰めてしまってな」
「倫理的な問題ですね…しかし世論は石丸さんが辞めた後でも石丸さんを支持している者が圧倒的に多いです」
「それでも、だ。僕はこれからも罪を償おうと思ってる」
「…実に貴方らしいです」


そう呟き、お茶をゆっくりと飲む。私の眠っている間、石丸さんはそのような気持ちで今を生きていたんだと思うと無知すぎる自分が励ましや慰めの言葉をかけてもいいのだろうかと疑問に思う。


「辞めた総理大臣にでも護衛はつく。今日は十神くんが来てくれたのだ。…すぐに帰ってしまったようだが。表札も僕の名字を使うと特定される恐れがあるのだ。だから勝手ながらみょうじくんの名字を使わせてもらった」
「…そうですか。それは構いませんがこのような住宅街だとやはり近隣住民には…」
「大丈夫だ!この住宅に住んでいる者はみんな未来機関に所属している者だ!」
「…なるほど。石丸さん、そういえば縁談があったのでは?」
「それは僕が辞職すると言った途端に破談になってしまった…政略的なこととは分かっていたがショックは受けたな…」
「……それは、お気の毒です」


物悲しそうに話す石丸さんを見てどう声をかければいいか分からなくなってしまった。
何か話題はないかと頭をフル回転させると持ってきた紙袋から貰ったプレゼントを取り出す。
テーブルの上にそれを取り出すと石丸さんの表情は笑顔に戻り、ニコニコしながら話しかけてくる。


「おお、開けてくれたのだな!」
「…ええ、こんなに綺麗な物をありがとうございます」


ドーム型のプリザーブドフラワーを見ながらお礼を言うと心なしか彼の頬が赤くなっていくのが分かった。


「僕は前々から思っていたのだ…紫色のブローチをつけていたからかみょうじくんは紫色の高貴な印象を受けていたのだが、何となくしっくりこなくてな。僕なりに考えたのだが赤色の花が可憐な君に似合うと思ったのだ!」


急に恥ずかしいことを言い出す石丸さんに私は物凄く照れてしまい、思わず服に着けていたブローチを撫でた。褒められることに慣れていないせいかすぐに体の体温が上がっていくのが分かった。


「な、何を言うのですか!…けど凄く嬉しいです。ありがとうございます」
「ハッハッハ!素直な所も君のいい所だ!」
「…石丸さん」
「ん、何かね?」


彼の名前を呼び、当の本人は首を僅かに傾けて私の言葉を待っている。
ずっと言いたかった言葉が何回も喉につかえるが勇気を振り絞って口に出した。それと同時に何故か分からず涙が自然に溢れ出た。


「やはり貴方を忘れて普通の生活なんて出来ませんでした」
「…………」


石丸さんは目を見開き何か言いたげな顔をしつつも私の言葉を待つように黙っている。


「どうしても貴方のことを忘れられなくて、パレードのときだって本当はその場を動かないで他の人に連絡さえすれば良かったんです。実際警備場所はパレードからかけ離れた所で……。でも貴方が危険な目に遭うかもしれないって考えたら居ても立っても居られなくて…」


ひとしきりに言葉を吐き出した。涙は私のブローチにあたり、それによって悲しげにアメジストが輝いた。本当はもっと伝えたいことがあるもののそれらの全てはこの一言で片付いた。


「…私、石丸さんのことが大好きです。仕事に励む姿も時に見せる笑顔も話すときのその声も。大好きだから守りたいんです、生きててほしいです。その為なら私の命くらい…」
「みょうじくん」


そこまで言ったところで彼の声が聞こえ、ピタリと私の口から言葉が出なくなる。石丸さんを見ると眉間に皺を寄せ、口の前に人差し指を当てていた。


「それ以上は言ってはいけない」


その言葉は石丸さんの想いが入った気がして何も言葉が出なかった。


「…君が僕の為に命を投げ出す必要はない。パレードのときも君の携帯の通知記録を霧切くんが調べていたのだが非通知が入っていた。結果的にそれは絶望の残党のものだった。
それを知った瞬間、みょうじくんは僕の為にパレード近くまで来て結果襲撃された…。君は危うく命を落とす所だったのだ。もし"僕のせい"でみょうじくんが亡くなってしまったら…そう考えた僕はどうなるんだ?」
「…っ!」


グサグサと胸がナイフで刺されるような痛みを感じる。こんなに低い声を彼が出すことがあっただろうか。怒られているようで暫く黙ることしか出来なかった。
すると彼は立ち上がり椅子に座っている私を背後から抱きしめる。


「……僕は君の傍にいたから誰よりも知っている。君は僕のことになると少し…暴走気味だ。自分のことを大切にしたまえ」
「はい…」


背中から伝わる温もりと彼の言葉にまた一筋の涙が溢れる。こんなに温かいものがあったなんて。生きてて良かったとそう思えるのだ。


「…そんな君も愛おしい」
「え?」


私の背後から優しい声が聞こえてきたのを私は油断していたせいか聞いていなかった。


「な、何て言ったのです?」
「いや、何でもない。こっちの話だ」
「ダメです!教えてください!今さっき石丸さんが言ってたじゃないですか!私は石丸さんのことになると暴走するって!石丸さんが言うまで問い詰めます!」


そう言うと言葉が詰まった彼は非常に焦り苦悩していた。


「む、た、確かにそう言ったな…。……それなら正面から伝えようではないか!」


待っててくれと言い石丸さんがリビングから離れるもすぐに足音が聞こえてきた。戻ってくるのが早いと思い、ドアを見ると目を見開いてしまった。

彼の両手には小さい赤薔薇が沢山入った花束を持ってきたのだから。


「えっ!?」
「…みょうじくん、」


私の目を見て名前を呼んでくれる石丸さんに小さく頷いた。これから言われる言葉に何処かドキドキとしていた。


「僕はさっきも言った通りこれからの人生は罪を償って生きていくつもりだ。僕を非難する者も実際にいる。君にも迷惑がかかるかもしれない。それでも君はいいか?」
「……はい、覚悟の上です。そうやって私は石丸さんと働いていたのですから」


そう言うと彼の顔は一瞬だけ憂愁の影が差すも小さく笑った。


「…そうか」


彼は私の近くまで近づき、私の前まで跪いた姿勢をとった。あまりにも綺麗な姿勢にドクンと鼓動が高鳴る。


「…みょうじくん。僕が君に別れを告げたあの日から僕は気持ちが晴れなかった。仕事をしていると傍にいてくれたみょうじくんがいなくて、寂しかったのだ。

その矢先に君が意識不明になった。お見舞いに行きたかったのだが…処刑のことを公言してから狙われやすい位置に立ってしまい、君が眠っている間お見舞いに行けなかった。せめてという思いで、君の回復を信じて手紙を送り続けた。プレゼントも君が喜んでくれると思って贈ったのだ。

僕は…みょうじくんがいてくれないと駄目なのかもしれない。
真面目な所と優しい所、そして…ひたむきに僕のことを考えてくれる君のことを愛している。

だから僕の為に死ぬのではなく、僕の為に生きてほしい。

…結婚してください」


石丸さんの彼の真剣な表情と私の為に思ってくれた言葉は私を泣かせるのに充分だった。それでも彼の返事は笑って返さなければならない。我ながら不器用な笑顔を作って石丸さんが差し出してきた薔薇の花束を受け取った。


「はい、喜んで…」
「みょうじくん、いやなまえくん…ッ!大好きだ…!」
「はい、私も石丸さんが、清多夏さんが大好きです…!」


彼は泣きながら立ち上がり、真正面から私を抱きしめた。私も片手に花束、もう片手は彼の背中を思い切り抱きしめた。

薔薇の香りに包まれながら、暫くお互いの温もりを感じ続けていた。


END


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