今日も綺麗な夕焼けだ。
私は空を見上げながら、とあるカフェの扉を開く。

「おはようございます!」

そう元気な挨拶を店員の人と交わし、入り口の扉に続いてSTAFF ONLYの扉を開けた。

私はここのカフェ『カーネリアン』のアルバイトをしている。
カーネリアンとは、赤い宝石でリラックスという意味があるらしい。きっとここでリラックスしてほしいという意味合いであろう。
だからか、制服はよくあるカフェの制服とカーネリアンのように赤いリボンが付いている。男の子は赤いネクタイだ。
トレードマークの赤いリボンを付け、店員専用の扉から出勤する。

カフェから歩いて数分した所には、希望ヶ峰学園というスカウトされた人しか入れない学校もある。
でも私はそこの生徒ではない。何の能力も持たない大学生だ。
カフェに来てくれる生徒から聞いたが、人によっては高校生で実績を出してからスカウトされることがあるらしいから、クラスの人達と年齢がバラバラなんだとか。
そういう点では大学に似ている。

「なまえちゃん、今日もお願いね」

そう言うマスターの顔は優しく、今日も頑張ろうという気にさせる。

いつもはサラリーマンや大学生のお客さんが多いがちらほらと希望ヶ峰学園の生徒さんがいる。
希望ヶ峰学園では学食があるみたいだが、どうやら超高校級の料理人が手掛けているようでそれは常時長蛇の列らしい。
混雑を嫌う生徒さんが訪れるのがこのカーネリアンというカフェだ。
味は超高校級には及ばないがこの地域の中でも上の方に入ってると自負している。
なんていったってマスターやベテラン店員さんの作るランチやディナーは絶品なんだから。
私はまだベテランの域ではないからドリンク全般やデザートの一部メニューしか任されていないけど…。

「お待たせしました、アイスコーヒーでございます」

そう言い、アイスコーヒーを置く。
お客さんはスーツ着た男性だ。サラリーマンだろうか。

その後は注文やドリンク作りにと対応が立て込んでいたので店内を歩き回っていた。

おや、さっきアイスコーヒーを注文したスーツの男性が会計に向かっている所だ。

「ありがとうございます!」

すれ違い様にお客さんにそう言うと男性はこちらを見る。
あれ、何かあったのかな?と戸惑うと同時に男性の口が開く。

「ご馳走様、さっきのアイスコーヒーは君が淹れたのかい?」
「え、はい。私が淹れましたが…」
「そうか、君だったか。仕事場から近いから寄ったけど美味しくて気に入ったよ。ありがとう」
「あっ、ありがとうございます!また来てください!」

突然褒められて片言のような感じで話してしまった。
ありがとうとはよく言われるが、あんなに褒められることはないから少し照れくさくなってしまう。

またバイトの日になったら頑張ろう、そう思った。






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