突如集められた俺達16人はウサミという謎の生き物?から修学旅行を命じられた。
希望のカケラを集め、課題をこなすことが俺達の目的らしいが…やらないと帰してくれなさそうなので皆渋々と始めた。

だが、日が進んでいくとある程度の奴と仲良くなれて課題もサクサクと進められるようになった。


「おーい、日向!早くちゃっちゃと終わらせよーぜ!」
「ああ、分かった」


特に仲良くなれたのは超高校級のメカニック、左右田和一だ。何て言うか他の奴より高校生らしくて妙にウマが合い、すぐに仲良くなれた。今日はこいつと海へ採掘に行く。
海というのはいいものだ。この天気の中、山に行くよりはよっぽど快適さが違う。

……だが何故だか今日の左右田は元気が無いように見える。前ならヒャッホーとか言って九頭龍や田中と楽しそうに泳いでいたんだがはあと溜息が出ている。
このままだと皆が心配するかもしれない。俺の方から声を掛けてみるか。


「どうしたんだ?」
「ん、いや…修学旅行の50日っつーのは長いようで短いと思ってたんだよ。みんないいヤツだし、スッゲー楽しいから」
「ああ、俺もだよ。それがどうしたんだ?」
「いや…やっぱ親が恋しかったりしねーか?」
「ああ、そういうことか」


そういう話は他の奴からも聞いている。終里もちびっ子が心配だったり、ソニアも国民が、九頭龍は組の人と妹が、花村もお母さんが心配だと。やはり何日も長く、連絡が取れない所から離れると恋しくなってしまうものだろう。


「左右田でも恋しくなるものなんだな」
「でも、って何だよ!そりゃ…まぁ…おう」


左右田がもごもごと声が小さくなっていく様子を見て確信した。絶対おかしい。何か隠している。


「お前、どうした?」
「な、何でもねーよ!オレだってノスタルジックに浸ってもいいだろ!」
「俺の勘だけど、親に会いたいってだけならそんなもごもごしないだろ」
「うっ…」
「他に会いたい奴がいるのか?」


そう言うと図星だったようで目が泳ぎながら目線を俺から逸らし、座り込んでしまった。
俺も左右田に続いて、ある程度の貝殻と真珠が入ったバケツを砂浜に置いた後に座り込む。


「日向、オメーとはソウルメイトだからオメーにだけは言うぞ。ぜっってぇ他のヤツには言うなよな!?言ったらオメーの末代まで呪う!」
「わ、分かったよ!」


かなり用心深い。末代まで呪うという言い方が本気に見えたので左右田にとっては秘密にしたいものなのだろう。俺は周りを見渡して誰もいないことを確認しつつ左右田に目を向けた。


「前に言ったけど…オレはあまり人を信じられねーんだ。まぁ過去に色々あったせいなんだけどよ」
「あんなこと起きたら誰だって不信になるだろう」
「今はだいぶ落ち着いてられるけど、当時は親に対しても疑う位に本当に酷かった。…日向に初めて話すんだが、"アレ"が起きた後すぐに中学の修学旅行があったんだよ」


ああ、と同情した。キツイな…ここの修学旅行とは違って集団行動が多い行事が"アレ"の後にあったなんて。


「行きたくもねェし、サボりてェって思ったんだけど、親にこれ以上の心配かけたくねーし我慢して行ったワケ。乗り物酔いもあるから誰にも全く話しかけなかったんだ。まぁ誰も話しかけてくれなかったけど。ずっと窓の外の景色を眺めてて。旅行先の乗り物に乗ったときから早く帰りたいって思ってたよ」
「うん。それは辛かった…な」


どうフォローすればいい。ただ聞いているだけでいいのだろうか。それで左右田は落ち着いてくれるだろうか。俺の中で"話を聞いてあげる"という選択肢にシフトしようとした所、左右田は僅かな笑みを浮かべるのに気づく。


「そこでオレにとって運命的な出会いをした」


へぇ、すごい気になる。俺はずっと左右田の話を聞くことにした。








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