休日昼下がり



私の彼氏は人一倍真面目。真面目ランキングなんてものがあれば世界一になれるに違いない。そんな生真面目な石丸君の意外な所はいっぱいある。それに気づいたのは大人になって一緒に暮らし始めてからなんだけれど。

石丸君は昔から変わらず机に向かって勉強している。勉強内容は高校の内容とは違って難解な社会のしくみだった。政治とか法学とか経済とか気難しい内容に熱心に取り組んでいる。
私なら頭が痛くてすぐに投げ出しちゃうな。
そう思っていると石丸君は立ち上がり、冷凍庫からアイスを取り出す。おやつ休憩かな。甘い物食べるのは意外だなぁと見つめているとカップアイスのラベルに目がいった。


「石丸君その手に持ってるのって中々高いアイスでは…?」
「ああ、そうだが」
「お坊っちゃま、だ…」
「何を言うか!僕はただの一般市民だ!」


からかうと本気で突っ込んでくるからそこが面白いよ、なんて言ったらまた何か言われそうだから心の中で留めておく。とはいえ、いつの間にそのアイスを買っていたのだろう?


「石丸君、一口くーださい!」
「別に構わないがスプーンは別で用意してほしい」
「めんどいー、あーん、して?」
「だ、ダメだ!」


ふてくされているフリをしていると石丸君は黙々とアイスを食べ始める。
恋人らしいことしてくれたっていいのに。
石丸君の勉強熱心な所は他人から見たら良い印象だと思うけど、私からしたらちょっとだけデメリットだ。恋愛に疎いというのは知っていたけど、今時の同棲カップルのようにイチャつきたいなって欲はある。
……でも、ま、いっか。
石丸君が私を好きでいてくれるのならこのままで。


夜の9時。石丸君は椅子を引いて腕を伸ばしている。どうやらひと段落ついたみたいだ。
タオルと着替え一式を持ってお風呂場へ向かっていく。
そして暫くして石丸君がお風呂から上がってくる。お風呂上がりの姿もまたカッコいい。


「休みの日にまで勉強って大変だね」
「日々変わっていくからな。遅れを取ってはならない」
「それじゃあ寝よっか。頭を休ませる時間ってご飯とおやつの時間だけでしょ?」
「そうだな」


寝室で一緒にベッドに入り電気を消そうとした瞬間、急に抱き寄せられ、耳元で囁かれる。
聞いた事のない優しい声で好きだ、なんて。平静を装おうとするも装いきれないじゃない。


「前々から沢山言い合ったじゃないか」
「それでも、」
「ハハ、まだ照れているのか?」


図星を突かれてそのままリモコンを使って電気を消した。温度が上がりきった私の顔なんて恥ずかしくて見せられない。


「……好きだよ。石丸君」
「ああ。いつも頑張っている君に負けない位努力をせねばって常日頃思っている。そう思うことで勉強が捗るんだ。本当に感謝している」
「ありがとう」
「良い夢を、おやすみ」
「おやすみなさい」


彼の腕の中で毎晩眠りにつけるこのときが幸せ。次の休みの日にはもっと甘えてくれたっていいのに。


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