6話

「目が覚めたか」

「キリ……?」

「腕の中で寝てしまうから、正直焦ったぞ」

「私、寝てた……?」

「あぁ。思いっきりな」

 口元を緩めるキリ。

「心配するな。あいつ等なら大丈夫だ。私が守ってやる」

「ありがとう……キリ……」

 目に涙を溜め、これでもかというくらいに顔を歪ませる。と、そのときだ。

「こーはるっ」

 小春のよく知る、優しいアルトの声が聞こえた。

「みつ、よし……!?」

「よぉ」

「こんなところにいたとはな」

「海李……咲人……」

 光吉と、その後ろに海李と咲人が隠れていた。

 それを見て震え出す小春を庇うように、キリが三人の前に立ち塞がる。

「邪魔だよ、キリ姉さん」

「黙れ。お前達は小春を傷付けた。お前達に小春を連れ去る権利はない」

「黙れ。姉さんには分からないさ。俺達が今、どんな思いでここにいるかなんて」

「知りたくもないな」

 キリの言葉を聞くと、仕方ないというように光吉は溜息を吐いた。

「本当はこんなことしたくなかったけど、キリ姉さんが悪いんだよ?」

 そう言うと光吉は、キリに向かって腕を伸ばした。

「キリっ!」

 小春が声を上げたが、もう遅かった。

 何かが放電するような音と同時に、キリの視界は真っ暗になった。





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