※『お犬さま騒動!』の暗転部分です。



犬耳と医務室と



 医務室に二人きりになってから原因不明の犬耳と尻尾が生えたマークを眺める。
 本人は困っているというのに、俺は不謹慎ながら今の状況をおいしいなんて考えていた。
 だって唯でさえ可愛い彼になおさら可愛いパーツが加わった訳なんだから、これは愛でなければ損だろう。
「ほんとに可愛いなぁ……」
 困り顔を浮かべているマークの頬を掌で包み顔中にキスを降らせる。
 額に頬にといつもやっている順番に繰り返すと、それの意図する物を理解した彼はまた顔を赤くした。
「……カズヤ、やりたいのか?」
「うん。マークがいいのなら、だけど。嫌かな?」
 意地悪に返すとマークは俯いて顔を隠してから首を振る。
 相変わらずの可愛らしい反応に少し笑ってから、再び顔を上げさせて口付けをした。



 ベッドに上がってからマークの着ているジャージを脱がすと、ズボンに抑えられていた尻尾がぴょこんと飛び出す。
「ほんとにお尻から生えてるんだ」
 白いお尻のちょうど真ん中あたり、穴より少し上の位置からふわふわとした青い尻尾が生えていた。
「触っていい?」
「うん」
 マークの承諾を得てから触りたくて仕方のなかった尻尾に手を伸ばす。
 見た目よりも柔らかい毛質をしたそれを軽く握り、根元から先端に向かって何度か手を滑らせる。
 するとギュッと目を瞑る物だから気持ちいいのかと思ったが、やがて手を止められたので顔を見合わせた。
「くすぐったいからやっぱりやめてくれ」
「これってくすぐったいの?」
「なんか……ゾクゾクするんだ」
 つまりは気持ちいいって事なんじゃないかな。
 そうも考えたけど本当にくすぐったいだけの可能性もあるから大人しく触らない事にして置く。
 代わりにこれまた気になっていた頭部の犬耳をふにふにと触ってみると、マークの身体が小さく震えた。
「あっ! んゃ……」
「耳が敏感なのは人間の時と同じなんだね」
 違うのは触れる度に犬耳がピクピクと動く事で、面白くて今度は甘噛みをする。
 やがてへにゃりと力の抜けた彼の身体を自分に凭れさせ、脇の下から腕を通して胸の飾りも愛撫した。
「あ……んん、あっ」
 まどろっこしそうにマークが脚を摺り合わせ出した所で今度は後孔をほぐし始める。
 既に自身から溢れていた先走りが後ろまで流れているおかげでスムーズに指を出入りさせられた。
「んっ……カズヤ、もう大丈夫だから」
 三本の指を軽く銜えられるようになった所で手を止められる。
 いつもはもう少し慣らしてから挿入するのだが、潤んだ瞳で懇願されてはこちらも我慢が利かない。
 マークを抱き締めていた腕を離し、抱えるようにしてその身体を横たえさせた。
「マーク、手を付いて」
「ん……」
 言われた通りに手を付き、四つん這いの体勢になった彼の腰を掴み自身を後孔にあてがう。
 受け入れる事に慣れた入口は軽く押し進めただけで簡単に自身を呑み込んでしまった。
「あっ、あぁっ! カズヤぁっ……」
 一度腰を引いてから一気に貫くと、マークの腕から力が抜け這い蹲る体勢に変わる。
 その背中に覆い被さると自身が内壁の奥を突いたのか、後孔の入口が一際きつく凝縮した。
「大丈夫? 動いていい?」
「いいからっ、早く……」
 いつもより積極的なマークに急かされるまま彼の身体を揺さぶる。
 自身をギリギリまで引き抜いてから叩き付けるように挿入すると、その度に甘い声があがった。
「はぁっ! あっあっ! いいっ、あっ……」
 マークの嬌声に加え、ベッドの軋む音と肌同士がぶつかる音がやけに響く。
 快感のせいか犬耳や尻尾もピンと跳ねていて、突き上げる度にふるふると揺れた。
「んぁっ、あぁ! ひゃう!」
 奥を突きながら完璧に立ち上がったマークの自身を扱くとすぐに先端から精液が溢れ出す。
 それを塗り広げる形で亀頭を刺激すると次から次へと精液が流れて来た。
「んっ……くぅ、ああぁっ!」
 尿道に爪を食い込ませつつ根元から絞るように手を動かすとマークは呆気なく達してしまう。
 しばらくすると俺も絶頂が近付き、胎内から自身を引き抜いて目の前の背中に精液を放った。



 力が抜け荒い呼吸を繰り返すマークの身体をシーツで拭う。
 ピンと張っていた犬耳と尻尾も射精と同時に萎れてしまったようだ。
「……ん?」
 名残惜しくて犬耳をやんわりと触っているとピクピクと動き始める。
 何が起きているのかわからずぼんやりと眺めていると、だんだんと小さくなりやがて消えてしまった。
「マーク! 犬耳が消えたよ!」
 ぐったりとしたマークの身体を揺さぶり起こす。お尻を見ると尻尾も消えているようだ。
「え? あ、ほんとだ! 良かった……」
 身体を起こしてから自分の頭とお尻を触り、犬耳と尻尾が消えた事を確認した彼は安堵の声を漏らす。
「セックスしたから治ったのかなぁ」
「そんな訳ない……だろ……」
 思わず口から零れた言葉だったのだが、マークの声は気恥ずかしそうに小さくなって行った。
 単に時間が経過したからなのかも知れないが、やった直後に消えた物だからそんな風に考えてしまう。
 犬耳が消えたのは少し勿体ない気もしたけど、マークが元気になったから結果オーライかな。



end

あんまり犬化を利用してない気もする。


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