ロコ→ウィンっぽい感じかも。



ふとした瞬間に



「ゴーシュとドラゴってずるいよな!」
「ずるいって……なにが?」
 ぼふん、と僕の寝転がっていたベッドに座りながら文句を零すウィンディに視線を移す。
 ノックもせずに部屋へ入って来た事に関してはもう何も言うまい。
「だってさ、同い年なのにあんなムキムキで……腹筋なんか六つに割れてたぞ」
「それはずるいんじゃなくて体質とか筋トレの成果でしょ」
 パジャマ代わりに着ているシャツの裾を捲ってお腹を出すウィンディが無防備すぎて目のやり場に困る。
 ゴーシュやドラゴの腹筋の話よりもそっちのほうが気になってしょうがないんだけど。
「でも同じサッカー選手なのにさ……なんで脚以外もあんなに筋肉が付いてるんだ?」
 そう言いながら今度はジャージのズボンの裾を捲り始めるウィンディ。
 言いたい事はわかったから服を捲るのは止めなさい、とお母さんみたいな言葉が頭をよぎった。
「腕もさ、こうしたらボコッてなるんだぜ」
 今度はシャツの袖を捲って腕を曲げて見せる。力瘤を出したいのだろうが正直あまり出ていない。
「ウィンディの腕は柔らかいね」
 露になったウィンディの二の腕をぷにぷにと触ってみる。
 柔らかくて触り心地が良いので別に筋肉なんて付かなくてもいいと思うけど。
「ロココのはけっこう硬いな」
「そりゃあキーパーだもん」
 お返しとばかりに僕の腕を掴んでからウィンディは若干悔しそうな表情を浮かべた。
「身長だってちょっと前までは俺のほうが高かったのにさ、急に成長しやがって」
「ここ二年で二十センチは伸びたかなぁ」
 確かに身長は中学に入る前までウィンディのほうが少し高かった。
 しかしどうやら僕は成長期になると急激に伸びるタイプらしく、今ではリトルギガントの中でも四番目くらいに高い。
「あーもう! ロココもずるい!!」
「うわ、ちょ、やめてよ!」
 縮め! と無理難題を叫びながら頭をぐしゃぐしゃと押さえ付けられ、勢い良くベッドに押し倒される。
「むー、筋肉硬いな」
 僕のお腹に馬乗りなったウィンディは腹筋や胸筋のあたりを掌で触ってはずるいずるいと文句を零した。
「えーい、お返しだっ!」
「うわっ!?」
 されるがままだったがそれも飽きて来たので勢いを付けて上体を起こす。
 ころんと転がったウィンディのお腹に体重を掛けないようにして乗り、先ほど自分がされていたようにお腹や胸を触ってみた。
「あはは、くすぐったいって!」
 楽しそうに笑うウィンディの顔は段々と赤くなり目尻には涙が溜まって行く。
 その表情と今の体勢とが相俟って嫌らしい事をしているような気分になり、恥ずかしくなって手を止めた。
「? どうしたんだよ、顔赤いぜ」
「な……何でもないっ」
 下からキョトンとした瞳で見上げられ、慌てて目を逸らし跨ったままだった身体を降ろす。
「ほ、ほら! もうすぐ晩ご飯の時間だし食堂に行こう」
「あれ、もうそんな時間か」
 時計を見ると時間は六時半ごろ。
 夕食は七時に集合だからそろそろ行かなくてはおかずの争奪戦に不戦敗してしまう。
「よぉし、悔しいからドラゴのデザート食っちまうか」
「やめときなよ……」
 腕捲りをして争奪戦に備える幼なじみの背中を見ながら、まだ跳ねている胸を押さえる。
 ドラゴの怒号が食堂に響くまであと数分。



end

ウィンディはぷにぷに体型だったらいいな。あと八重歯。


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