風丸と男の娘ズで円風オチ。何故かリュウジと佐久間が同時期に居ます。



男前と男の娘



 ジャパンエリアに美味しいクレープ屋がオープンしたらしい。
 マネージャー達が頻りに噂しているため気になって居たのたが、一緒に行きたいなんて言えるはずもなく。
 かと言って一人で食べに行く勇気もないので苦肉の策として甘党仲間の吹雪を誘う事にした。
 当日、吹雪を誘いに部屋まで行くと何故か緑川と佐久間まで一緒に居る。
 どうやら吹雪を通して美味いクレープ屋の情報が甘味好き仲間に広まったようだ。
 予定外だったが別に人数が多くても困らないので結局は四人で行く事になった。



「男一人でクレープ買うのってけっこう勇気が要るよな」
 クレープ屋に向かう途中で横に並ぶ三人に話し掛ける。
「わかるわかる」
「そうかなぁ?」
 頷く佐久間と首を傾げる緑川。やっぱり緑川はどこか感覚がズレている気がする。
「一人が恥ずかしいならその辺の女の子を誘えばいいじゃない」
「吹雪……」
 にこやかに言う吹雪に呆れつつも何故か懐かしさを感じる。
 最近は女の子と一緒に居る姿をあまり見なかったがモテるのは相変わらずらしい。
 クレープ屋に着くとまずはみんなでメニューをチェックする。やばい、どれも美味そうだ。
「迷うな……」
「どれも美味そうだな」
 佐久間と並んであれもいいこれもいいと唸っていると、吹雪がある提案を出した。
「じゃあバラバラの種類を買ってみんなで食べ合いっこすればいいんじゃない?」
「あ、それいいじゃん」
 その意見に一番に乗ったのは緑川で、俺と佐久間も続けて「いいな」と頷く。
 佐久間は性格的にそういうのを嫌がると思っていたが別に構わないようだ。
 プリンが入ってるやつとかアイスが入ってるやつとかをそれぞれ注文し席に座って待つ。
 四人も居て誰もサラダ系を頼まないのが不思議な気もしたが甘党なのだからそんな物だろう。
 運ばれて来たクレープをみんなでつつきながら食べていると、途中で見知らぬ外国人男性に話し掛けられたので手を止めた。
 英語がわからないため吹雪や緑川と目を合わせて居ると佐久間が流暢な英語で応対を始める。
 なにを話したのかは知らないが、しばらくして佐久間が相手に殴り掛かりそうになったので慌てて羽交い締めにした。
「なに怒ってるんだよ」
「コイツら俺達を女と勘違いしてやがる」
 苛ついた口調の佐久間が言うにはどうやら俺達はナンパされているらしい。
 相手に同性だと説明するにも言葉は通じないし、唯一通じる佐久間は今にも噛み付きそうだしでどうにもならない。
 最後の手段として俺達が取った行動はクレープを食べ切ってから自慢の脚力で全力疾走という原始的な物だった。

 *

 食堂に行くと風丸が机に突っ伏して絶望的な空気を出していた。
「どうしたんだよ風丸」
「円堂……」
 夕食を乗せたトレイを貰ってから隣の席に座る。
「……昼間、吹雪と緑川と佐久間と一緒に出掛けたら外国人の男にナンパされた……」
「あ、いや、ほら……外国人って見分け難いし……」
 負のオーラを撒き散らしている風丸を何とかフォローしようとするも上手い言葉が見当たらない。
 そう言えば佐久間もいやにカリカリしていた事を思い出した。
「でも珍しい組み合わせだな。四人で何してたんだ?」
「クレープ食べてた」
「あぁ……そりゃあ、まぁ……」
 唯でさえ女顔なのに間違えられても仕方ない行動だろう、クレープは。
 しかも一緒に行ったメンツが吹雪と緑川と佐久間って。どう見ても女の子の集団だろそれは。
「俺ってそんなに女っぽいかな?」
「うーん……俺は風丸の性格を知ってるからそうは思わないけど、外見だけなら女っぽいんじゃないかなぁ」
 やっと顔を上げてくれた風丸に安心しつつ、これまた答え辛い質問に口籠る。
 言ったら怒るかも知れないから言わないが、俺も知り合ってからしばらくは女の子だと勘違いしていた。しかも昔は髪も長くなかったのに。
「……じゃあ今度は二人でデートに行くか」
「へ?」
 脈絡のない発言に頭が付いて行かず疑問符を浮かべる。
「女に見えるんなら手くらい繋いでも大丈夫だろ?」
 爽やかな笑みを浮かべる姿はいつもの男前な風丸で、その大胆な発言にはこちらがたじろいでしまうほどだ。
 それでも次にデートをした時に見せた恥ずかしそうな顔はどう見ても女の子で、男前時とのギャップにまたドキドキしてしまう。
 風丸には申し訳ないが俺は風丸の女の子っぽい所も含めて好きなんだと改めて思った。



end

男の娘ズおいしいですもぐもぐ。


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