※ほとんどの登場人物が女体化しています。 まな板とスイカ 「バカンス行こうぜ!」 まるでサッカーをやる時みたいなマモルの提案で俺たちはライオコット島の海へと遊びに来ている。 貧乳を人目に晒したくない俺としてはあまり乗り気ではなかったのだが、マモルお得意のいい笑顔で絆されてしまった。 仕方がないので胸が目立たないように(もともと目立つほどないけど)水着の上からTシャツを着る。 更衣室を出れば先に着替えたテレスやロココが場所取り用のパラソルの下で話し込んでいた。 ちらりと二人の上半身を見れば豊満な胸がこれでもかと主張していて、隣に移動するのをためらってしまう。 「どうしてあの二人はあんなに大きいんだろう……」 「大きいって、バストの話かいフィディオ?」 隣に居た貧乳仲間のディランにこっそりと聞いてみる。 海でもアイガードを着けているのかと思ったら、どうやら代わりに水中ゴーグルを着けているらしい。 「別にバストなんてなくてもいいんじゃないかい? 二人もサッカーするのに邪魔だって言ってたよ」 「でも胸があると色んな服が似合うだろ」 本当は単純に男の人は大きいほうが好きだろうからという理由もあるのだが、ディランには通用しなさそうだ。 「んー、そもそもあの二人ってカップはいくつなんだろ?」 「あぁ、ロココはDだったよ」 俺はやっと話に食い付いてくれたディランに知っている限りの情報を伝える事にした。 なんで俺がロココのバストサイズを知っているのかと言えば話は少し前にさかのぼる。 各国のメンバーが集まり親交を深めるという名目で一緒に練習をしていた時に、どうにもロココの胸に違和感を覚えた。 違和感というのは形とか動きとか何だか漠然とした物なのだけれど、気になったので確認をしてみればなんとブラジャーを着けていなかったのだ。 いちおうユニフォームの下にはシャツを着ていたのだけど、ロココみたいな発育の良い子がノーブラなんて危険すぎる。 自分の事でもないのに異様に焦ってしまい、不思議がる彼女を連れ出し慌てて洋服屋まで走った。 サイズはその時に知ったのだが、実物のブラを見て自分の物とはあまりにも違う大きさにかなりヘコんだ記憶がある。 「ロココでDあるって事はテレスはそれ以上なんだろうねぇ」 「確かに……」 頷いてから二人揃ってビニールシートの上でジュースを飲んでいるテレスのほうを見る。 女性にしては大きな体格に比例するかのように生えている巨大な胸。 効果音を当てるとしたら『バーン!』とか『ボーン!』とか、とにかく爆発音が相応しいだろう。 そうか、あれが俗に言う爆乳ってヤツかと一人納得する。 「あの二人はどっちも黒人だし……やっぱりお国柄もあるのかなぁ」 「そう言えばカタールのビヨンもナイスバディだったね!」 ディランの発言によりアジア予選で見かけたカタールのキャプテンを思い出す。 確かにあの人は胸が大きくて腰は細く、太腿は張りがあってグラビアモデルのような体型で。 ついでに言うと監督の女性も素晴らしいスタイルだった。 「はぁ……」 歳は近いのにどうしてあの人たちはあんなにスタイルが良いんだろうか。そう考えると自然に溜め息が零れてしまう。 「ディランもフィディオも入口で何してるんだ?」 「他の客の邪魔だ。お喋りをするなら浜に行ってからにしたまえ」 後ろにあった更衣室の扉が開き、着替えを終えたマークとエドガーが中から出てきた。 マークのほうはシンプルな柄のビキニを着ているが、エドガーは日焼け防止なのか淑女だからなのか薄い長袖を羽織っている。 「ねぇ、マークも割と大きいけど何か知ってる?」 二人が通り過ぎてから再びディランに尋ねてみた。 テレスたちには及ばないが、マークやエドガーもなかなかスタイルが良い。 ただこの二人は巨乳というよりはモデル体型と言った感じなのだが。 「ミーが聞いたら肉(ハンバーガー)をたくさん食べてるからじゃないかって言ってたよ」 「……それならディランもけっこう食べてるよね……」 「オフコース!」 もちろんさ! じゃないよディラン……。 エドガーには移動しろと言われたが、あの巨乳とモデル体型の輪に入る気には到底なれない。 大人しく海の家でフラッペでも食べていようと項垂れていると、また更衣室の扉が開いた。 「着替えるのに時間が掛かっちゃったね!」 「なんだ、まだ泳いでなかったのか二人とも」 「僕たちが先に行っちゃうよ?」 現れたのは上から順にリュウジ、カゼマル、フブキのジャパン組だ。 話の流れで無意識に胸へ目をやると視界に入ったのは断崖絶壁。 三人がきゃいきゃいと騒ぎながら海へと向かったあと、俺はディランにぽつりと呟いた。 「……俺ちょっと元気出て来たよ」 「? 良かったねフィディオ!」 end ジャパン組が遅かったのは更衣室でもキャッキャしてたからです。 |