※一マクでテレホンセックス。 電話越しの君 晩飯も終わらせ自室のベッドで一人サッカー雑誌を読んでいると、枕元に置いてあった携帯が鳴り出した。 ディスプレイを開いてみると画面には恋人である『一之瀬一哉』の文字が表示されており、すぐに通話ボタンを押す。 「もしもし、カズヤ?」 『急に電話してゴメン。いま大丈夫かな?』 「ああ、部屋で本を読んでいた所だ」 しばらくぶりに聞くカズヤの元気そうな声に安心して読んでいた雑誌を閉じる。 『声を聞くのは久しぶりだね。そっちはいま何時くらい?』 「夜の八時だ。そっちは?」 『こっちはもう日付が変わって朝の十時だよ』 そんな時間に電話して学校は大丈夫なのかと思ったが、今日は土曜日だから日本はもう日曜日なのだろう。 時間どころか日にちすら違うという事実に改めてアメリカと日本の距離を感じてしまった。 『俺が居ない間は寂しくなかった?』 「……寂しいに決まってるだろ」 わかりきった事をわざわざ尋ねられ拗ねたような返事になってしまう。 それを聞いたカズヤが受話器の向こうで微かに笑った気がした。 『ね、セックスしようか』 ドアに鍵を掛けてからベッドの上で脚を開く。 携帯を左手に移して右手でズボンのファスナーを開き、取り出した自身を握ってゆるゆると上下に扱いた。 「んっ、んっ……」 『マーク、気持ちいい?』 目を瞑って受話器から聞こえる声に耳を澄ますとまるでカズヤに愛撫されているような気分になる。 それに加えしばらくご無沙汰だった俺の自身は簡単な愛撫だけですぐにパンパンに膨れ上がってしまった。 「カズヤ、俺もう……」 『イキそう? じゃあ一回抜いて置こうか』 頷いてから(電話なのに)手の動きを強め、快感に小さく唸りながら掌に精液を吐き出す。 『ね、次はアナルに指を入れてみて?』 「む……無理だ、そんなの」 電話の向こうから出されたとんでもない指示に顔が熱くなるのを感じた。 後ろなんてカズヤに弄られる事はあっても自分で触った経験はない。 『大丈夫だよ、俺が付いてるから……ね?』 囁くような優しい声でそう言うカズヤは意地悪だと思う。俺がこの声に弱いという事を知っているんだ。 『指を舐めて濡らしてからゆっくり入れてごらん』 「う、うん……」 マイペースなカズヤに乗せられるまま自分の指を口に含んで濡らす。 「ひゃっ……!」 恐る恐る指の先端を後孔にあてがい挿入すると、思ったより簡単に入ってしまった。 胎内が想像よりもキツくなかったのはいつもカズヤが愛撫しているからだろうか。熱くてぬるぬるしていて変な感じだ。 「あっ……根元まで入った……」 『がんばったねマーク。奥まで入ったらお臍の方向に指を曲げてみて。気持ちいい場所があるから』 言われた通り腹の上側を狙って数度指を曲げると、何度目かでカズヤの言う『気持ちいい場所』に当たった。 「ふぁっ……あ、うん……」 緊張しつつそこに指を持って行くと、最初はピリピリと感じていた快感が次第に強くなって行く。 「あっ、うぅ、あんっ」 もっと強い刺激が欲しくて夢中で気持ちいい場所を弄くると無意識に声が漏れてしまった。 一本だけでは足りなくなり、入っていた中指をいったん引き抜いて今度は人差し指と一緒に挿入する。 ぐちゃぐちゃと濡れた音が電話の向こうまで聞こえていないか心配になってきた。 「カズヤぁ……カズヤのが欲しいよ……」 『うーん、そればっかりは無理だなぁ』 指だけの刺激では物足りなくて、もっと大きな質量が欲しくてカズヤにねだるが当然困った反応をされる。 だけど自分ではこの疼きをどうすればいいのかわからず啜り泣いていると、携帯の向こうから『そうだ』と閃いたような声が聞こえた。 『何か細長い野菜はないかな。ニンジンとかキュウリとか』 「キュウリならあるけど……」 キュウリなら昨日サラダ用に買ってきたやつが冷蔵庫に入れてある。 野菜なんてどうするのかと思ったが、いまの状況を考えるとカズヤの言わんとしている事がわかった。 『じゃあそれにスキンを被せて、舐めて濡らして。俺のモノだと思ってね』 「うん……」 冷蔵庫からキュウリを取り出し、カズヤとする時のために持っていたスキンを被せる。 それを口に含んで濡らし、喉につっかえて入らない部分は舌で丹念に舐めた。 『入りそう?』 「うん、大丈夫……」 余す所なく濡らしたキュウリを自らの後孔にあてがう。目を瞑り思い切って挿入すると難なく入ってしまった。 きっとこれよりカズヤのほうが大きいからだな、と無意識に考えてしまい一人で勝手に恥ずかしくなる。 「はぁっ、うん……」 カズヤのと違い固くて冷たくてゴツゴツしたキュウリは奥へと進める度に新鮮な快感を生み出す。 「あっ……すごい、奥っ……」 細長いそれが指では届かない奥のほうまでズブズブと入り込んで身震いをしてしまう。 息を飲んでから意を決して抜き差しを始めると、直腸がグニグニと圧迫され言いようのない快感が走った。 「ひっ、あっ、あぁっ」 過ぎた快感に我慢が利かなくなってしまい、奥の奥まで突くような勢いでそれを動かす。 抜こうとする度にキュウリから生えた僅かな棘が入口を広げる感覚がしてとても気持ちが良かった。 「あっあっあっ!」 後ろだけじゃ足りなくなり持っていた携帯を肩に挟んで自身を扱き出す。 「カズヤっ、カズヤぁ!」 携帯の向こうに居るカズヤを必死に呼びながら、俺は二度目の絶頂を迎えた。 『とっても可愛かったよマーク。おかげで今日の練習もがんばれそうだ』 受話器から妙に爽やかな声が聞こえる。そうか、カズヤは昼から練習があるのか。 『そうだ、今度オモチャを送ってあげるね。俺が居ない間はそれでガマンして』 「オモチャ?」 それだけを言ってカズヤは『じゃあまた』と電話を切ってしまう。 後日送られてきた荷物を見て、俺は恥ずかしさで顔が爆発しそうになった。 end 一之瀬の性格が悪そうになってしまった。 |