※エドマクで甘め。



英国紳士の裏側



 試合前の恒例である対戦相手を招いての晩餐会で、お目当てにしていた人物を見付けた。
 金色の髪と整った顔付きに黒いスーツがよく栄えている彼は以前から目を留めていたマーク・クルーガーだ。
「貴方がキャプテンのマーク・クルーガーだね」
「君は確か……」
「エドガー・バルチナスだ」
 騒がしいチームメイトが居なくなった隙を狙って話し掛ける。身長差のせいで少し見下げる形になり、翡翠色の瞳がこちらを見上げてきた。
「貴方には前々から興味があった」
「それは光栄だな」
 軽く挨拶を済ませ、社交辞令とも言える会話も終わらせて早めに本題へと入る。
「早速だが、今夜空いてるかな?」
「は?」
 腰を引き寄せながら耳元で囁けばマークは訝しげな表情を浮かべた。
「言っただろう、興味があると」
「……君は同性でも口説くのか?」
 身を屈め桜色をした唇をなぞれば、同性と言えどもさすがに意図を理解したようだ。
「綺麗な花を愛でるのに性別など関係ないさ」
「……おもしろい人だな」
 意外にも彼は乗り気らしい。もっと禁欲的な人物だと思っていたが、虚勢だろうか。



 部屋に招いたマークを早速ベッドへと押し倒し唇を奪う。意表を突かれたのか舌を侵入させてもされるがままだった。
 互いの唾液を交換するように口内を貪り、同時にシャツをはだけさせて行く。時折マークの口から赤い舌が覗くのが酷く官能をそそった。
「……いきなりこんな事をするなんて英国紳士らしくないな」
「あいにく私が紳士なのはレディに対してだけでね」
 口が自由になった途端に悪態を吐く彼の顎を指で持ち上げる。
「せめて明かりは消してくれないか?」
「暗い場所では貴方の身体をしっかりと見る事が出来ないだろう」
 入口のスイッチを見ながら不安気に開かれる唇を再び塞ぐ。誰だって綺麗な物は明るい場所で鑑賞したい物だ。
 シャツを完璧に脱がせ、露わになった陶磁器のような肌に指を這わせて滑らかな感触を堪能する。
 赤く色付いた突起を指先で摘むと鼻に詰まったような声があがり、そのまま指の腹で転がし愛撫をすると断続的に甘い声が聞こえてきた。
「……そろそろこちらも見せて貰おうかな」
 マークの履いていたスラックスを脱がし、脚を持ち上げて開かせる。普段日に当たらない太腿の内側は白磁のように美しかった。
 明かりが煌々と灯った中で生身を晒されるのが恥ずかしいのか、白い肌がうっすらと色付いてくる。
「あっ……」
 胸への愛撫により既に半立ちの状態になっているマークの自身を掌で包む。
 優しく揉みながら竿の部分を人差し指で撫で上げると、彼はもどかしそうに腰を揺らした。
「んっ……随分と意地悪なんだな」
「もっと乱暴なのがお好みか?」
「あっ!? あぁっ!」
 小さく笑ってから竿を握り素早く上下に扱くと、途端に女性のような喘ぎ声があがる。
 それが恥ずかしいのか自らの手を噛み始めた彼に、代わりにシーツを銜えさせた。
「んっ、ん!」
 扱きながら爪先を尿道にねじ込むようにし、同時に袋を揉みしだいてやるとマークは呆気なく精を放つ。
 思った通りこういう行為には慣れていないようだ。荒い息を吐く彼に口付けながら更に奥へと指を滑らせる。
「待ってくれ、やっぱりこんなのは……」
 指が後孔に触れた所で怖じ気付いたらしい。まさかそこまでするとは思っていなかったのだろう。
「大丈夫さ、すぐに何も考えられなくなる」
 不安がるマークを気にせずベッドの上部にある棚からローションを取り出す。
 中にある液体を掬いたっぷりと濡らしてから指を挿入すれば、彼の胎内は緩やかにそれを締め付けてきた。
「あっ、そこ変な感じがする……」
 内壁を擦るように指を動かしていると、第二関節が埋まる程度の深さで強い反応がある。おそらく前立腺だろう。
 その場所を重点的に責めてやるとマークの腰はビクビクと跳ね、自身の先端からは先走りが溢れてきた。
「あぅっ……」
 慣れてきた所で指を引き抜くと締め付けていた入口が名残惜しげにヒクつく。
「可愛らしいな」
 もう私の言葉に悪態も吐けないマークの脚を肩に担ぎ、勃起した自身を取り出す。
 スキンを被せてから後孔にそれをあてがうと彼の身体が強張った。
「大丈夫だ」
 脚に唇を落としてからゆっくりと労るように腰を進める。
 時間を掛け十分に慣らしたそこは圧迫感こそあるだろうが、さほど抵抗もなく私を受け入れた。
「んんっ……」
「痛くはないだろう?」
 マークは頷いて答える。固くシーツを掴んでいる手を離させ私の背中に回すと、縋り付くように抱き締められた。
「動くぞ」
 マークの呼吸が落ち着くのを待ってから緩やかに律動を始める。
 彼の胎内は突けば奥に導くように凝縮するにも関わらず、抜こうとすればきゅうきゅうと私に絡み付いてきた。
「あっあっ、エドガーっ」
 前戯をした時に見付けた前立腺を責めればマークは泣きそうな声で私を呼ぶ。
 そんな彼がとても愛おしく思えて夢中で前立腺ばかりを責めた。
「あっ、ダメだ、くるっ……!」
「我慢しなくていい」
 限界を訴えるマークの自身を根元から絞るように握り射精を促すと、悲鳴のような声と共に白濁が放たれる。
 射精の影響で脈動する胎内の動きに、私も程なくしてスキンへと精を吐き出した。



「……からかわれているだけだと思ったんだ。途中でやめるんだって」
 目が覚めてから、隣に寝ていた私にマークはぽつぽつと呟いた。
「私は冗談で人を抱いたりはしない」
「そうだな、誤解していた」
 そう言ってふわふわと笑う彼はやはり美しいと感じる。
 その姿にまた愛しさが湧いてきて、柔らかな頬に触れるだけのキスをした。



「所で連絡先を教えて貰えないか?」
「順番が滅茶苦茶だな……」



end

前後の投げやり感が否めない。


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