※ヒ→バン→←ガゼ前提のバンヒ。誰も報われない。 僕らは乖離する 今日はダイヤモンドダストとの練習試合だ。 俺たちのキャプテンであるバーン様は、試合開始前からガゼル様と相変わらずの口喧嘩に近いやり取りをしている。 試合が始まるとプロミネンスは先制点を取られてしまい、途中まで押される形となった。 だが後半戦からは巻き返してゴールを奪い、同点の状態で試合終了のホイッスルが鳴る。 試合が終わり仲間たちがクールダウンをする中、バーン様は水分の補給もそこそこにガゼル様の元へと歩み寄った。 「へっ、やるじゃねぇか」 「ふん、今日は運が良かったね」 また喧嘩でも始めるのかとバーラやサトスが不安気に見詰めていたが、今日はお互いに機嫌が良いらしい。 二人はその場で何か話し込んでいたが、それを聞きたくなくて俺は早々にシャワールームへと向かった。 「おい、ヒート」 シャワーからあがると話を終えたらしいバーン様が入口あたりで待ち構えていた。 「後でちょっと付き合えよ」 それだけを短く言ってシャワーの個室へと入って行く。またか、と思うと無意識に溜め息が漏れた。 付き合えというのは要は性処理の相手をしろという事だ。もう何度もやっているからわかる。 試合後だから興奮しているというのもあるんだろうが、それだけじゃない事を俺は知ってる。 そもそも性処理をするだけなら俺みたいな男よりも女の人とすればいいのだ。 エイリア学園には女性選手もたくさん居るし、バーン様に好意を寄せている人も居るだろう。 だがそれをしないのはバーン様の恋愛対象が同性のガゼル様だからだ。 もともと同性愛者なのかどうかは知らないが、情事中に名前を呼んでいたから間違いない。 そんなに好きならば早く告白してしまえば良いんだ。そうすれば俺だってバーン様を諦めるのに。 試合後の疲労感とこれから行う行為のせいで重い身体を引きずってひとまず自室へと移動する。 バーン様はまず慣らしてはくれないだろうから、行為の前に自分で後孔を解して置かなければならない。 事後処理もそうだが、この作業をしている時はとても惨めな気分になる。 「……んっ、ん」 薬局で買ったローションを掌に乗せ、体温で暖めてから滑りを良くしたそこにゆっくりと指を挿入していく。 この自慰に近い行為をする時に浮かぶのはいつも晴矢の顔で、女々しい自分に嫌悪感が湧いた。 「はるや……」 こんなに辛いのにどうして俺はまだ晴矢の事が好きなんだろう。 いっそ嫌いになれたら楽なのに。 準備を終えバーン様の部屋に入ると荒々しくベッドへと押し倒される。 破くように服を奪われ俯せの体勢を取らされたかと思うと、腰を掴み強引に自身をねじ込まれた。 「ぐ、うっ……」 拳を握り、口元にあるシーツを噛み締めて痛みに耐える。 胎内の奥を遠慮なしに突かれ身体がギシギシと悲鳴をあげている気がした。 「あ、はっ……」 はるや、と思わず呼ぼうとしてしまい慌てて口を噤む。 以前情事中にその名前で呼んでしまった時に殴られた事があったからだ。 きっとガゼル様以外に名前を呼ばれたくないんだろう。 だけど寂しいから小さく「バーン様」と呟いた。この程度なら許されると思いたい。 しばらく経つと胎内に熱い精液が注がれた。ああ、また処理しないと。 一方的な情事が終わったと思えば邪魔だと言わんばかりに部屋を追い出される。 ふらふらと廊下を歩いていると誰かににぶつかり、謝りながら顔を上げるとそこにはガゼル様が居た。 「あっ……」 「ガゼル様?」 驚いたのは向こうも同じようで、いつもの澄ました雰囲気ではなくどこか落ち着きがない。 その挙動不審な態度にもしや情事の声を聞かれていたのかと嫌な汗が流れた。 「すっ……すまない!」 どうやら予想は当たっていたらしい。短く謝罪の言葉を告げてガゼル様はその場を去る。 だんだんと小さくなるその背中を見ながら、俺の頭に罪悪感とほんの少しの優越感がよぎった。 (そして僕らは乖離する) end ガゼルやヒートは苛めたくなります。 title by:hmr |