晴茂(バンヒ)と修風(キューガゼ)ほのぼの。
エイリア学園の面々は全員おひさま園で育った設定です。



ランチタイム



 星の使途研究所は崩壊し父さんは警察に連行され、俺たちは宇宙人を名乗る必要はなくなった。
 ジェネシスの座を巡り衝突していたガイアやダイヤモンドダストの連中とも和解し、昔みたいに遊ぶようになった。
 ……が、それがまた新たな問題を生んだ。
 ここはおひさま園の食堂。ジェミニストームやイプシロンのヤツらも居るからかなりの大所帯だ。
 昼食の時間になり配給された食事をみんなで囲む。
 エイリア学園だった頃はチーム別に食べるのが普通だったが、現在は男子組と女子組に分かれている。
 全員が食事を終え食器を片付けた頃、瞳子さんがみんなにと大量のリンゴを差し入れに来てくれた。
 まだ皮の付いた状態のリンゴだったので、各チームの家事が得意な面々が皮を剥く事になった。
 ジェミニストームは三浦(ディアム)と近畿(パンドラ)が、イプシロンは瀬方(ゼル)と武藤(メトロン)が。
 ガイアは八神(ウルビダ)と駒沢(コーマ)が、ダイヤモンドダストは凍地の兄のほう(アイキュー)と栗尾根(リオーネ)が。
 で、我がプロミネンスは茂人(ヒート)と仁藤(ボニトナ)が。ってか、なんで女子がやらねぇんだよイプシロン。
 まぁそれは置いといて、皮を剥いて切り分けたリンゴはてっきり各チームごとに食べるのかと思っていたんだが。
 なにを思ったのか、隣の机に座っていた風介が椅子を持参してぴよぴよと茂人の隣までやって来た。
 そして茂人とその左隣に座る熱葉(ネッパー)の間に当たり前のように割り込む。ちなみに右隣は俺だ。
 茂人はそれに何もツッコミをせず、剥いたリンゴを食べやすい大きさに切って風介に与えている。
 ……コイツら、いつの間にこんな仲良くなったんだよ。
 だけどよく考えればもともと面倒見の良い茂人と、実は甘えたがりな風介が仲良くなるのは不思議ではないのかも知れない。
 鳥の雛のように口を開けリンゴが放り込まれるのを待つ風介と、母親のような笑顔を浮かべつつ小さくリンゴを切り分けてやる茂人。
 端から見れば微笑ましい光景だが、茂人を取られた俺としてはとてもつまらない。
 移動する前は風介の隣に座っていた凍地も、向こうの机から茂人を凍てつくような視線で睨んでやがる。
 頼むから気付け、風介と茂人。凍地の妹(アイシー)は兄の隣を占領できてご機嫌なようだが。
「……おい風介、凍地もリンゴ剥いてるだろ。あっちで食えよ」
 見かねた俺がリンゴを頬に詰めハムスターのようになっている風介に伝えれば、茂人も一緒にこちらへ視線を向けた。
「そうだよ風介。修児が寂しそうじゃないか」
 ちょっと待て茂人。フォローをしてくれるのは嬉しいが、なんで凍地まで名前呼びしてやがる。風介はまぁ許すとして。
 そんな俺の気持ちなんていざ知らずな茂人の言葉を聞くと、風介はもそもそと何かを呟いた。
「……修児は妹にリンゴをやるからいい……」
 小さく発せられた意外な台詞に俺と茂人は目を合わせる。
 ははぁ、要するにやきもちか。可愛い所もあるじゃねぇか。
 そんな事を口にすれば風介や凍地が睨んで来そうなので声には出さないが。
「……じゃあもうちょっと一緒に居ようか? そうしたら修児が俺にやきもちするかも」
 茂人がにこやかに提案すると風介がコクリと頷く。
 おい待て茂人。そう言うお前は俺がイライラしてるのに気付いてないだろ?
 そう言いたかったが悔しいので止めた。今はとりあえず凍地が風介を連れ戻すのを待とう。
 凍地が来るのと俺の堪忍袋が破裂するのと。さぁ、いったいどちらが早いだろうか。



end

カッコがうざったいですが、晴矢と風介だけ本名なのはおかしい気がしたので。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -