屋敷へ帰ると、総大将がなにやら騒いでいた。
「何してんです?」
「お、帰ったか名前!」
嬉々として振り返る総大将の腕には悪戯盛りの若がいる。
「おかえりなさい!」
「ただいま。」
元気な若に笑い返して総大将の向こうを見れば、ハートを飛ばす雪麗と項垂れる牛鬼がいた。
「そっちの2人はどうしたんです?」
「ちょっといたずらし過ぎたらしくてな!」
はっはっはと豪快に笑う総大将。
見れば牛鬼の着物が乱れている。あぁ、またからかわれたのか。
「あまり牛鬼をからかわないでくださいよ総大将。」
「わしじゃない。こやつだこやつ。」
「へっへー!」
言いながら牛鬼へ手を広げて見せれば、さめざめと泣きながらものそのそと俺の腕に入ってくる。
牛鬼も最近は素直で可愛い。
得意そうな若がVサインをしてみせる。
「お前たちの真似をしたがったんだ。」
「…真似?」
牛鬼に俺の長羽織を貸してやりながら肩を抱く。
……真似って、何のことだ?
「まぁ、ほどほどにな。」
そう言って総大将は若を抱いたまま歩き出す。
あぁ、もう昼寝の時間か。
欠伸をして眠そうに目をこする若がひらひらと俺に手を振った。
俺も手を振り3人を見送る。
「…大丈夫か?」
「…あぁ、すまん。」
そう言いながら俺の腕から出ようとはしない牛鬼をつれて屋敷へと上がる。
ふむ、とりあえず牛鬼の着替えかな。