僕が大好きなイギリスさんは、ツンデレらしいのです。
「こんにちは、イギリスさん。」
「…あぁ。」
挨拶しても素っ気ない返事。
菊は、照れてるんですよ。と言ってくれたけれど、どう考えても嫌われてるとしか思えません。
ふられるふられないの前に嫌われているとは、なんと前途多難な恋でしょうか。
でも僕はめげません。
僕の諦めの悪さと日本人らしくない押しの強さは、アメリカさんお墨付きなのです。
「こんにちはイギリスさん。」
「っ、名前…な、なんか用か?」
会議が終わって帰るところのイギリスさんに声をかけます。
「はい。今夜お暇ですか?よろしければ一緒にお食事でもいかがですか?」
「……へ…?」
いつものように僕から視線を反らしていたイギリスさんが僕を見ました。
ぽかーんとした顔。珍しいです。
「イギリスさん?」
「っ、こ、今夜は…その…」
「お、イギリスに名前じゃないか!」
「うわっ!?突然出てくんな馬鹿ぁ!」
「こんにちは、アメリカさん。」
そこへ通りかかったアメリカさんがイギリスさんに飛びついてきました。
なんて羨ましい!!!
「どうせ君、今夜は暇なんだろ?」
「お、おまっ!聞いてたのか?!」
「俺はヒーローだからね!」
「理由になってねぇよ!」
ギャーギャーと2人で騒ぐイギリスさんはとても楽しそうです。
「用事もないのに断るなんて君は馬鹿かい?!」
「だ、誰が馬鹿だっ」
「という訳で名前!イギリスは喜んでご一緒するってさ!」
「はい、ありがとうございます!」
それだけ言ってギリスさんに罵倒されながらアメリカさんは走り去って行きました。
空気読まないと言われてるけど、アメリカさんはこういう空気は読んでくれます。
大感謝ですね。
「じゃあイギリスさん。夜迎えに行きますね。」
「…仕方ねぇな。つ、つきあってやるよ。」
「ありがとうございます!」
優しいイギリスさんとそこで別れ、僕は一度家へと帰りました。
そして夜。
「こんばんは、イギリスさん。」
「…遅い。」
「すみません。」
イギリスさんは屋敷の前で待っていてくれました。
いつもの軍服じゃなくてスマートなスーツ姿。
おしゃれです。
「じゃ、行きましょうか?」
「…あぁ。」
車へイギリスさんをエスコート。
そして着いたのは…
「…ここ、日本の家じゃないか?」
「?はい。菊が今夕食を用意してると思います。」
そう言うと、なんだかとても不満げなイギリスさんは、ぷいっとそっぽを向いてしまいました。
「あの、イギリスさん?」
大変、機嫌を損ねてしまったようです。
「……んだよ、期待した俺馬鹿みたいじゃないか…。」
ぼそりと聞こえたイギリスさんの声。
…期待?
それは、僕の都合よく理解しても良いのでしょうか?
「イギリスさん、」
「…んだよ。」
僕の方を見てくれないイギリスさんの肩に触れる。
「期待って、どういうことですか?」
そっとイギリスさんをのぞき込むと、真っ赤な顔で睨まれた。
「……………お前が、誘うから…2人っきりだと思ったんだよばかぁ!」
そう怒られて開いた口が塞がらない。
「それなのに…それなのに日本の家かよ!」
ばかばかばかばかばかばかばかばか…とイギリスさんが子供みたいに泣き出してしまいました。
可愛い。
とりあえず謝ろうと思いますが、泣き顔は反則です。
「イギリスさん。」
思わずその唇へキスしてしまったじゃないですか。
「なっ、なっ…!?」
ぱくぱく金魚みたいなイギリスさん。驚きで声が出ないみたいです。
「好きです、イギリスさん。このまま2人っきりで食事に行きましょうか。」
「……そ、そこまで言うなら行ってやる。」
「ありがとうございます。じゃ、好きの答えもくれますか?」
「っ!?い、言わなきゃだめか…?」
「はい。イギリスさんの気持ちが知りたい…。」
そっと抱き締めるとイギリスさんの鼓動を感じられました。
僕と同じが、僕より速い気がします。
「………………お、俺も、す、すっ、す、す、す…!」
イギリスさんの顔から湯気が出そう。真っ赤になってそこまで言ったイギリスさんは限界だったようです。
「…俺も同じ気持ちだよばかぁ!!」
そう言って、抱きしめ返してくれました。
好きと言う言葉は聞けなかったけれど、相思相愛だったのでよしとしましょう。
菊の言うとおり、確かにイギリスさんはツンデレでした。
「好きです、イギリスさん。愛してます。」
「…………お、俺も……。」
見つめ合い、どちらからとも無くキスをしました。
イギリスさんのキスは、流石世界1でした。
僕もまだまだ精進が必要のようです。
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リクエストありがとうございました!
APHの英、と頂いたのですが…お気に召して頂けると嬉しいです