「おはよー。」
「あ、名前。おはよう。」
「はよ。」
隣の部屋から出てきた伊作と留に朝の挨拶をすると、眠そうな声が帰ってきた。
まぁ、昨日まで実習だったから疲れたんだよね。
「今日の授業はー?」
「さぁ?」
欠伸しながら留が肩を竦める。器用な奴。
三人で井戸へ向かう。
俺の一歩前を留が、隣を伊作が歩く。
まだ着替えていないから留の雑に結われた黒髪が揺れる。伊作もやっぱりいつもより下で縛ってあった。
留の黒髪は綺麗だ。しかしそれ以上に伊作の髪はふわふわしていて触り心地がいい。
そして俺はこの茶色を特に気に入っている。
「ん、なに名前?」
伊作の髪へと手を伸ばしまだとかれていない髪へと指を絡めた。
「や、なんか触りたくなった。」
「そう?」
ふふ、好きなだけどうぞ。と伊作が優しく笑う。
じゃあ遠慮なく、と返して俺は井戸へ着くまでずっと伊作の髪を触っていた。
1.隣同士がいちばん自然((ったく、人の後ろでいちゃつきやがって。))
(伊作ー、着替え終わった?あ、留も。)
(終わったよ。)
(俺はついでか。)
(ん?食堂一緒に行こう。朝飯〜!)
(うん、行こう。留さんも早くー。)
(…はいはい。(人の話を聞かない奴等め…。))
基本伊作優先の主と鈍い伊作と苦労する留。
(C)確かに恋だった