小平太に殴られ、私は滝の元へと向かっていた。
同室の綾部は先ほど廊下ですれ違ったので彼らの部屋には滝しかいない。
「滝、いるかい?」
滝の部屋の前で声をかけると鼻をすする音が聞こえた。
「入るよ。」
「…せんっ、ぱいっ」
部屋の隅で着替えもしない滝がぼろぼろと泣いていた。
「何を泣いてるんだ?」
「せんぱっ、ごめんさない…!」
泣きじゃくる滝の傍へ膝をつき必死な言葉を聞いてやる。
「あんなのうそです!ごめんなさいっ」
しゃくりあげながらごめんなさいを繰り返す滝が不安だったのだと語る。
「滝、泣かないで。」
抱き締めて背をさする。
可愛い可愛い私の恋人。
「愛してる滝。」
「私も、ですっ!」
「私以外を見てはいけないよ、滝。」
「はいっ…!」
やはり私はお前が一番好きなんだよ、滝夜叉丸。
「……人騒がせな2人だね。」
「名前が悪い。」
「お互い様だよ。」
「それにしてもな、」
「うん。滝夜叉丸は知らないのかなぁ?」
「名前は」
「本当は、」
「「学園一ドSなのに。」」