「…ふー…。」
あの後しっかり牛鬼を頂いた俺は後処理を済ませて縁側で煙草を吸っていた。
もう大広間の方もお開きになったようで静かだ。
(……まぁ、もう4時過ぎだしな…。)
夜独特の冷えた空気を肌で感じながら紫煙を吐き出す。
「…ずいぶんと楽しんだみてぇじゃねぇか。」
「…若、」
ひらりと舞って来る桜に顔を上げる。そこにある桜の樹から総大将の煙管を銜えた夜若が俺を見下ろしていた。
「途中で抜けやがって。」
「やきもちですか。」
「馬鹿言え。」
煙草を踏み消して若のもとへと歩く。
木の下から手を伸ばせば若はゆっくりと俺の腕の中へと舞い降りた。
「…天女みたい。」
「そんな可愛いもんじゃねぇよ。」
そのまま抱き締めれば、照れ隠しか若はそう言って俺の胸へと顔を伏せてしまった。
「そうですか?天女よりずっと可愛くて魅力的ですよ。」
「……言ってろ。」
若が顔を上げ、お互い視線が絡めばどちらからとなく唇が重なる。
「…ん、ぅんっ…」
若の細腰を抱き締めながら口内を舌で蹂躙する。苦しそうな、それでいて快楽に染まり始める若の吐息を飲み込みながら長く長く口付けた。
「………いやぁ、一晩に2人頂けるとは。」
「…黙れエロ妖怪。」
「酷いですね、若はマゾで淫乱じゃないですか。」
「誰が…ひゃぁっ…!!」
憎まれ口を叩く若の胸へと手を置き突起を押しつぶすように弄れば若の口から可愛らしい嬌声が漏れた。
「ほら、ね。」
「……てめぇがこうしたんだろ。」
「…それすっごい嬉しいんですけど。」
掻き抱くように若を抱き締め樹の幹へと押し付ける。
「…痛くすんなよ。」
「ちょ、あんまり可愛い事言わないでもらえますか。」
「お前暴走するからな。」
「若だってすごく喘いで感じてます…いてっ。」
一言多かったのか赤い顔の若に足を踏みつけられた。
「もういい黙れ。早く抱け。」
「…大胆ですね。」
「名前。」
「はいはい。」
我慢出来ないとでも言うように熱を帯びた瞳が俺を誘う。
頂きますと呟いて俺はまた若へと口付けた。
(11.01.22 修正)