(主→夢魔)
宴会の夜。
「飲めー!」
「歌えー!」
やんややんやと盛り上がる大広間では総大将から下っ端の奴らまで集まり無礼講の大宴会が開かれている。
「盛り上がってるねぇ。」
それを広間の端の壁に寄りかかりながら俺は酒瓶を抱えて見ていた。
「あぁ。」
俺の隣で杯を傾ける牛鬼もだいぶ酔いがまわっていてほんのりと朱の差した頬をしている。
「牛鬼?あまり飲むなよ。」
「あぁ…。」
胡坐を崩した牛鬼が俺の左袖を引く。どうした、と声をかける前に肩に重みがかかった。
「ほら、言った傍から…。」
「名前…。」
かなり酔っているらしい牛鬼は俺へともたれかかって来る。
昔からそうだ。酔った牛鬼は極端な甘えたになる。
そうなるまで飲むことはそうそうないが、総大将によると俺がいる時は結構多いのだそうだ。
「名前、」
「分かったって。」
よしよしと頭を撫でながら抱き寄せると嬉しそうに微笑んだ牛鬼は俺の首へと腕を回した。
あー、これ以上はまずい。
ここは大広間でみんな酔っているとはいえ見ている奴がたくさんいるのだ。牛鬼の名誉のためにもこのままここにいてはいけない。
「…牛鬼、」
「…ん…」
部屋を出よう。
耳元へそう囁くと理解しているか定かではないが牛鬼は頷いた。
こっそりと牛鬼を抱いたまま移動し静かに広間を後にする。立てない牛鬼を抱き上げて俺は自室へと足を進めた。
牛鬼の部屋には既に潰れた牛頭丸と馬頭丸が寝ているからだ。
「ほら牛鬼、もういいよ。」
「…なまえ、なまえ」
舌ったらずに俺を呼ぶ牛鬼は可愛くて仕方ない。敷いてある布団の上へと2人で座り膝へと牛鬼を乗せる。
「ん……」
ゆっくりと唇を奪えば心地よさそうな吐息が漏れた。
………ちょっとやばいかもしんない。
「牛鬼、待った、ちょっと、」
「ん、ぃやだ……なまえ、」
理性が持たなくなりそうで離れようとすれば、ダダをこねるように牛鬼は俺の背へと腕を回して抱きついた。
「……今夜は牛鬼が悪い。」
甘える牛鬼の前髪をかきあげ首の後ろに手を添えて逃げられないようにする。
「…ぅん……んん…っ」
深く口付けながら合わせに手をいれ首筋へと唇を落とす。
とりあえず言い訳まがいの言葉を呟いて俺は牛鬼を布団へと押し倒した。